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アーティストは自ら作品を売るために努力すべきか~お金に換わる「信用」について考える

みじんこアート, みじん講義

アーティストは自ら作品を売るために努力すべきか~お金に換わる「信用」について考える

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クラウドファンディングなどアーティストが自分でお金を集めるサービスも増えてきた。海外でアーティストに出会うと、クラウドファンディングで資金を集めて活動していると言われることもある。
アーティストは本来、創るのが仕事なはず。これまでは販売やプロモーションの役割をギャラリーが担ってきた。制作以外の雑事はギャラリーに任せ、創ることに専念すべきなのか。
売り出し始めのアーティストに欠かせない、活動費問題について考えてみた。

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さまざまなウェブサービスによって可能性が広がった

クラウドファンディングが浸透してきたことにより、まだファンが少ないアーティストでも活動資金を募り制作に専念することができるようになってきた。海外ギャラリーをまわっていると、IndiegogoやGoFundMeで資金を集めて渡航してきたアーティストに出会うことも多い。数年前にはイギリスの美大ですでにクラウドファンディングを教えてるという話も聞いたことがある。
自作を販売できるウェブサイトや無料でグッズがつくれるサイトもあり、まだ認知の低いアーティストでも活動費を稼ぐ手段が増えてきた。ほかにもカウチサーフィンやAirbnbなど滞在費を押さえるサービスや、WWOOFなどの労働を対価として食事や宿泊場所を確保するサービスの台頭。これにより活動費そのものを下げる手段も出てきている。
現代はまさに「金銭」を稼いでいないにも関わらず、自身のやりたい活動ができているという状態が実現する時代だ。
今を生きるアーティスト、これからアーティストとして活動していく身にとって、何を意識すべきか。作品を売ってお金が稼げるのが一番いい?だから作品を売ることを考えなければいけない?これは否だ。売るのは作品ではなくて、顔。
それが活動を始めたばかりのアーティストが一番やらないといけないことだ。

小切手を使ってタダ飯を食らうピカソ

アーティストの中でも最も「お金」をうまく稼いだ人物として外せないのがピカソだろう。ピカソには支払いの時に小切手をよく使ったという逸話が残っている。なぜか。当時すでに有名だったピカソのサインが入った小切手を、もらった側が「換金しなかった」からだ。大事に額に入れて飾られたサイン入り小切手。ピカソ自身は実質、その小切手を使ってタダで買い物ができたというわけだ。

参考リンク  経済的にも大成功したピカソに倣う「お金」の本質

自作を直接オークションに出したダミアン・ハースト

通常、アーティストはギャラリーに所属し、ギャラリー経由で作品を販売する。この作品が転売される時に使われるのがサザビーズなどのオークションハウスだ。高額落札で有名なのは2008年に1516万ドル(約16億円)で落札された村上隆氏の「マイ・ロンサム・カウボーイ(My Lonesome CowBoy)」
しかし、オークションで転売された作品が元値の何倍になろうとも、その作家には一円も入らない。売った人が儲けるだけ。億単位のお金が動く市場のこと。つくった本人を差し置いて、自分の資産を増やすために有名作家の作品を転売しまくる人がいるのも想像がつく。同時に、それが贋作の問題も生んでいる。作家の作品を「産直」で扱うギャラリーは、こうした贋作問題からアートの信用を守る役割も担っている。
このシステムを初めて打ち破った作家がダミアン・ハースト。ダミアンはギャラリーなどの仲介を通さず、いきなり自作をオークションにかけた。サザビーズに出された作品「Beautiful Inside My Head Forever」は約144億ドル(約211億円)で落札され、アーティスト一人の落札総額の史上最高額を最速で達成。作家が直接オークションに出すとことで贋作の問題も生まず、「価値」の対価が作り手本人に還ることになった。

参考リンク  【完全解説】ダミアン・ハースト「生と死」 サザビーズのオークションにかけられたフィギュア、16億円で落札

制作物を無料配布する佐藤秀峰氏、キンコン西野亮廣氏

作品に価値があるというなら、その利益は一次制作者であるアーティスト、クリエイター本人に還るべきだ、というのももっともなこと。しかし、それを創作者本人が放棄したらどうなるのか。
「海猿」で知られる佐藤秀峰氏は、自身の運営する漫画投稿サイト「マンガonウェブ」で人気漫画「ブラックジャックによろしく」を全巻無料公開している。また、キングコング西野亮廣氏も、「えんとつ町のプペル」の全文をブログに無料公開、発売前の新刊原稿を読書感想文を書く人に無料配布までしている。
これら制作物の無料配布によって何が起こったかと言うと、「収益が上がった」のである。
「マンガonウェブ」には人が集まり、サイト経由で作品を買って読む人が増え、プペルも無料公開後に本を買う人が増えたのだ。

参考リンク  信じぬくんだ。たとえひとりになっても。(えんとつ町のプペル) マンガonウェブ

漫画や音楽、動画などは違法に作品をアップロードし、広告料を稼ごうとする人たちがいる。
現在、たとえ違法であれ、アップロードされたものを「閲覧する」行為は違法にあたらない。この件について、佐藤秀峰氏が興味深い発言をしている。「アップロードという違法行為は容認しないが、読んでもらうのであればどんな形でも構わない」
また氏は「海賊版の存在により、売り上げが下がることはない」という。

参考リンク  『特攻の島』佐藤秀峰氏、「海賊版を読みたい人はどんどん読んで」発言の真意

お金に換わる「信用」とは?

お金というのは「信用」のことだ、という話をよく聞く。信用さえ貯めておけば、銀行に貯金がなくても困ることはない。いつでも信用を換金すればいいのだから。それなら信用度は「何かあった時に助けてくれる人の数」で測ることができる
理屈は分かるけど、そもそもこの「信用」ってどうやって貯めたらいいのか。
約束を守る?人の悪口を言わない?
そういうことなら、実はほとんど全員がやってるはず。では、大きく稼げる人と、そうでない人では何が違うのだろう。

私は「信用」の最初の一歩が「認知度」なんじゃないかと思っている。自分を知っている人の数。これは良いことで知られてようと、悪いことで知られてようとどちらでもいい。なぜかというと、悪いことで知られてようと、それを擁護する人は必ず一定数いるからだ。同時に、良いことで知られていても、貶めようとしてくる人は必ず一定数存在する。
とはいえもちろん、犯罪で有名になった人が、クラウドファンディングで「復讐で人を殺す資金がほしい!」というプロジェクトを立ち上げたところで、お金が集まるとは思えない。

「認知」を「信用」に換えるのは「約束」

自分のことを知っている人が増えた。じゃあそれがイコール信用か、というとそうではない。私はここに掛けられるものがあって初めて「信用」が生まれると考える。それは「約束」である。これがないということは、どれだけ認知があっても「ゼロ」を掛けられてしまうので、信用には繋がらない。
約束とは何か。
それは、「自分がどういう生き方をしたいか」だ。
それがたとえ「毎日エロ本を読んで暮らしたい」だったとしても、生き方を選択した段階で0より大きい数字になる。つまり、なんらかの信用が生まれる。
信用をシンプルに方程式に置き換えてみる

信用=認知×約束

これから世に出ようとするアーティストが意識することは、顔を売る(=認知を広げる)、そして約束をする(=生き方を決める)の2つ。
約束を大きくするには、なるべく多くの人が関わる約束にすること。
「久兵衛でごはんが食べられる生き方をしたい」は自分だけの幸せ。「安心できる食を未来に残すために環境保護に取り組みたい」は自分も含めた多くの人の幸せ。
もう一つ大事なことは、具体的に自分がイメージをつけられる「約束」をすること。
宇宙全体の平和や世界平和といって、その具体的なイメージがついているならそれでもいい。だけどまずは自身の想像力を活かし、呼吸するように生きる「約束」リアルにそこにある「約束」をしてみてください^^

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みじんこは、四角い顔を売りたいです!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「約束するよっ」
「指きれてないよっ!」

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