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最初に生まれた子は全員女性とみなすポリネシアの風習~LGBTについて考える

  • 6月 30 / 2018
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みじんこレビュー, みじん講義

最初に生まれた子は全員女性とみなすポリネシアの風習~LGBTについて考える

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人はいつから性別が生まれるのか。
女性なのか男性なのかニモなのか。そもそもそういった分類は必要なのか。
海外で、さらにアーティスト業をやっていると特に、LGBTの人に会うのはすごく当たり前なんですね。というか、そういうくくりにはっきり当てはまらないような人にもよく出会います。日本にいた時はなかなか出会えなかった。自分がどうなれば、もっと出会うことができるのだろうか。
※ニモ=カクレクマノミは環境によって性転換する。

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みじんこショップでご購入いただいた本のまとめ記事を公開するみじんこブックレビュー。去年から引っ張り続けていた記事をようやく公開!いつも勉強させてくださって感謝です。この学習はアート業にも確かに活きてますよ!
今回は脳科学についての書籍「脳はいいかげんにできている」から。脳科学それ自体とはちょっと方向性が違いますが、性別についての非常に興味深い記載があったので、こちらを掘り下げてみました。

参考リンク  脳はいいかげんにできている: その場しのぎの進化が生んだ人間らしさ

ポリネシアには、第一子を母親の助っ人とみなし、性別を問わず、女性としての役割を担わせるという風習がある。

なんと興味深い!身体とか心とかぜんぜん関係なく、「文化的な性」ですね。第一子として生まれると、女性として生き、女性の服を着て女性と共に踊り歌い、声も女性のようだそうです。

参考リンク  【第13回】ジェンダー概論

日本でも広がるレインボーな「パートナーシップ」

「あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。」
このキャッチフレーズで始まったプロジェクト「OUT IN JAPAN」。これは、セクシュアル・マイノリティにスポットライトを当て、5年間で1万人分のポートレート撮影を目指すプロジェクト。こちらの記事の執筆を担当したことが、私がLGBTの方と実際に出会えた初めての機会でした。日本では2015年に渋谷区が「パートナーシップ証明」を開始。その後も世田谷区、伊賀市、宝塚市、那覇市とパートナーシップを法的に認める自治体が増えてきています。

参考リンク  写真家、レスリー・キーの次なる挑戦~セクシュアル・マイノリティの1000人ポートレート

日本で同性婚が認められていないのは憲法のせい?

2018年現在の日本では同性愛は法的に認められていませんが、これは憲法のせいだという考えがあります。

日本国憲法第24条1項「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」

この条項の影響のようですが、この点について見解をまとめた法律家さんたちの記事にこのようなものがありました。→【論点】日本国憲法は同性婚を禁止しているのか?
彼らの見解は「日本国憲法は同性婚を禁止していない」です。
「両性」という言葉による解釈は確かにさまざまです。が、日本でもパートナーシップを認める動きが広がっており、同性婚が可能な海外で結婚した人が日本に入国する時も、異性配偶者のケースと同様に、パートナーとして在留できるようです。
近年は早すぎる社会の変化に法整備が追い付いていかないなんて言葉も聞きます。現在の日本国憲法は1946年(昭和21年)11月3日に公布、1947年(昭和22年)5月3日に施行です。72年前に決められた法律。現代の社会に合わせた解釈をしてもよいかもしれない。それと同時に、結婚ってそもそもなんなんだろう、という疑問もわきます。「離婚」は世間体が悪いと考える世代もあったわけで、「結婚」が枷になっているケースもあります。
一言によって「結婚」といってもそのシステムは国によってさまざま。フランスにはPACS(パックス)と呼ばれるゆるい結婚形態があります。しかし、日本には書類すらいらない「事実婚」がある。結婚という形式にあえてこだわる必要はないかもしれない。
たぶん、一番求められているのは「愛し合う人たちを肯定する社会」ではないでしょうか。結婚するにしろ、しないにしろ、望む形式を自分で選択できるような。

参考リンク  【論点】日本国憲法は同性婚を禁止しているのか? ほんとはPACSより簡単ですごい日本の「事実婚」(フランス婚)!

LGBTへの差別

当事者でないとなかなか見えにくい問題というのもあります。
記憶に新しいのが2017年の「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)問題」。ものすごく傷ついた人もいるだろうし、励まされた人もいるだろうし、批判しすぎることにより柔軟性が失われることを懸念する人たちもいる。あるいは全然気にしてない人たちも当然いる。提起された問題に対する「答え」も、アリかナシかの2択ではなく、「レインボー」なのです。
しかし、現状の日本において、LGBTの人たちが差別を受けているのであろうということは想像できます。なぜなら、海外にいる時と比べて、日本でLGBTの人たちに日常的に会う機会がほとんどないから。

参考リンク  保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)は何が問題なのか、専門家が時系列にまとめて解説 ミッツ・マングローブ「保毛尾田保毛男を狩る、分別できない人たち」

LGBTの差別状況をデータでまとめたこちらの記事に、こんなコメントが載ってました。

「みんなさあ、僕らゲイとストレートの人が一緒にいるとさ、『ゲイだから自分のこと好きになられたら困るわ』ってよく言うんだけどね~笑 失礼だと思わない?だってストレートだって異性のこと全員好きにならないでしょww」

確かにwwwww
「みんなが私のこと好きになったら困る~」って言ってるくらいウザいwwwww

参考リンク  性的少数者(LGBT)がどれだけ差別されているかデータで調べてみた

実際に会った海外のLGBTさんたち

ところで私がアーティスト・イン・レジデンスのプログラムで滞在していた上海のSwatch Art Peace Hotel。常時17、18人のアーティストが同じビル内で暮らしていました。アーティストの入れ替わりはあれど、だいたいいつも3人くらいはLGBTです。1/6ということは16.7%。日本のLGBTの割合はAB型と同じくらいで約8%といわれているのでほとんど倍ですね。日本人率はずっと1/18(5.6%)だったので、日本人でいることのほうがよっぽどマイノリティーでしたね。
彼らはカミングアウトしてるとかそういう大げさなものではなく、「彼氏いるの?」と女の子っぽい見た目の子に聞くと「うん、彼女いるよー」とふつうに返ってくる感じ。Swatchはパートナーに限り1週間だけ同居滞在してもよいというシステムになっていたため、彼らのパートナーもふつうにやってきて仲良く同じ部屋に滞在している。普段もカップルらしく振る舞っている。
見た目も身体の性も女の子だけど、「私は男なの」と言っていた人もいる。その人は女性と同じくくりで扱われるのがイヤなようでした。

2017年から同性婚が認められているフィンランド。フィンランド語には「彼」「彼女」を表す言葉がないそうです。彼も彼女もどちらも「Hän」。フィンランドで会った人は英語のHe、Sheの表現がイヤだと言っていました。

参考リンク  日本におけるLGBTの割合~13人に1人!?左利き・AB型と同じ割合!?~ 同性婚が認められている国は世界で何カ国?死刑になる国も存在します。

レジデンスの応募資料には「性別:その他」を選べるところも

海外アーティスト・イン・レジデンスに応募しまくっている私ですが、応募資料には性別を選ぶ欄がだいたいあります。日本の履歴書なんかも男女のところに○をつけさせられますよね。しかし、海外のレジデンス応募だと、男性、女性以外に「それ以外」みたいな項目を設けているところも多くあります。データを取ったわけではありませんが、その他項目があるほうが多い。
また、呼称についても、Mr、Mrs、Ms、Drとか自分で選べるようになっている。日本のものに応募することはほとんどないのですが、日本は記載の必要がある時は男女どちらかがほとんどでは?。これはきっと、苦しい人にとっては苦しいと思うのです。何かに嘘をついているような感覚にさせられるから。

ユニセックスのトイレとは?

男女別が明確だと苦しい思いをするだろう、と想像がつくものの一つが「トイレ」ですよね。
見ためと違う性別用のトイレに入るのはなかなかできないはず。しかし、じゃあ全部一緒にしちゃえば、というとそうもいかない。私は海外では公共のトイレにはまず行かない。女性用・男性用関係なくコワイから。完全1人用の個室(誰でもトイレ)というなら別ですが、全部共用しかなかったら、男性と自分の2人きりになってしまった時にちょっとコワイです。ただ海外のトイレだと、扉の下がのぞけば見えそうなほどかなり広く空いていて、中で異常がないか「見える化」されているようなところもあります。

参考リンク  さまざまな性-LGBT-の人が気兼ねなく使えるトイレを考える

そもそも性別は2つだけなのか?

海外で出会ったドイツ人アーティストさんから「日本はもともと性に対して寛容だったんだよ、アメリカに敗戦してから変わったんだ」と言われたことがあります。森蘭丸などの小姓は君主に仕え、それによって出世する、といった関係性もあったので、対等な愛情関係というわけではありません。こちらの記事によると、女性がいない戦場でその代わりになるとともに、君主を守る護衛の立場でもあったよう。
現代の社会で出世のために身を差し出して、みたいなことはあんまり褒められたことではなくなってますが、少なくともこの時代はもっと一般的だった。性に対する解釈は、ポリネシアの例のように文化・時代によっても変わるというのは分かりますね。

参考リンク  日本が男色・衆道に寛容だった説は本当か? 井伊直政と徳川家康も!?

生まれながらに差別される、という状況は他にもあります。「女性」をすべてモノとして扱う文化をもつ地域もある。肌の「色」にしてもそう。「障がい」もそう。生まれた「身分」にしてもそう。生まれた時から奴隷で自分が誰かのモノな人もいる。「年齢」も一つの偏見だと私は考えます(年齢なんてあらゆる場面で表記義務が発生します)。
誰かにとってはどうでもいいことでも、自分にとっては生きるのも辛いこと。そういうのは、誰でもいくつか持っていると思うのです。では、どうなってたらいいのか。それぞれにとっての楽な環境があって、自分の人生を組み合わせるように、自分だけの天国を社会の中に構築していけるといい。そういう社会に貢献したいですね。


みじんこは、多様性が大好きです!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「レインボーだよっ。」
「グラデーションだよー」

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