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【みじんこTALK】第2回~人身売買や障害者の自立支援プロジェクトに携わるJICAプロジェクトコーディネーターとの徹底TALK

タイの食品加工の変遷
みじんこTALK

【みじんこTALK】第2回~人身売買や障害者の自立支援プロジェクトに携わるJICAプロジェクトコーディネーターとの徹底TALK

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メガネのない時代の狩猟社会であれば、視力の低い人は『障害者』となる。本日のみじんこTALKは、『障害』とは社会環境によって左右されるものであり、問題の解決には社会との関係性を見直す必要がある、と語る、タイで19年に渡って活動を続けてきたJICAプロジェクトコーディネーターさんとの徹底TALKです!

元エンジニアでタイに19年在住し障害者支援活動を行ってきたT氏

今回TALKさせていただいた方は、JICAのプロジェクトコーディネーター、T氏(仮)です。途上国での社会開発プロジェクト、社会的弱者の支援プロジェクトなどに携わってきた方です。 長い間タイを見続けてきたからこそ分かるタイ人の価値観や文化の変化、日本にも輸出される食品加工や障害者支援についての考え方など、幅広くお話しを聞くことができました!

驚きの食品加工技術と人身売買について

みなさんは居酒屋に行かれることはありますか?低価格で気軽に行ける居酒屋。出てきた焼き鳥はもしかしたらタイ産かもしれません^^
タイでは食品加工と輸出が盛んに行われていますが、これらの工場で働くいわゆる低賃金労働者はミャンマー、ラオス、カンボジアから来ている外国人が多いんだそうです。特に社会問題となっているのが『人身売買』。人身売買と聞くと女性の売春などが思い浮かびますね。ですが、こういった低賃金労働者についても、連れて来られた後、当初の話と違い給与から手数料や住居費などを引かれ、手元にほとんどお金が残らないような契約で働かされている方が多いんだそうです。

タイの食品加工の変遷

タイでの食品加工は昔は焼き鳥も串に刺すだけでした。ですが、今は備長炭で焼いてから輸出するようなところもあるそうです。異常に低価格な”炭火”焼き鳥の場合、焼く時に燻液のようなものをスプレーでかけて炭火焼き風にして輸出することも行われているそうです。お好み焼きも焼かれて輸出。なのでチェーン店などのお店ではレンジでチンして出すだけ。ミャンマー人に加工された焼き鳥がはるばるタイからやってきているのかと思うと、ファミレスやチェーン店で食事する時の食べ物を見る目が変わりそうです^^
その他にもアジの開き、さしみこんにゃく、生わさび、納豆などはタイで食品加工されているそうです。他にも日本で採れたサンマをタイに輸出し、缶詰製品として加工して再度日本に輸入してくるということも頻繁に行われているんだとか。輸送費よりも人件費のほうがかかる、という経済の実態が見えてきますね。

障害者と非障害者という言葉

「障害者」という分類は、昔は「人」を見ていました。つまり、腕がない、足がない、体が動かない、などです。しかし、その体の状態が実社会で生きるのに困難かどうかは、その人が置かれている社会環境によります。パソコンで仕事をする人は足がなくても困らないかもしれない。あるいはメガネのない時代の狩猟社会では、狩りができないほど視力の悪い人は「障害者」と分類されるかもしれない。つまり、「障害」かどうかは社会環境との関係性の中で位置づけられるものだ、T氏はそうおっしゃっていました。
ところで、「障害者」に対して障害がない人のことは何と呼びますか?
一般的には「健常者」という言葉を使う方が多いと思います。T氏は「健常者」ではなく、「非障害者」という呼び方を教えてくれました。英語だと「People without Disabilities」です。すべての人は生きる上でなんらかの困難を伴い、人と人が助けあうことでその困難を克服しているのではないか。「障害」に対し「健常」という言葉を使うことで、社会の中に無意識に障害者に対するバイアスのかかった区別を持ち込んでしまうことを懸念し、障害学の世界で一般的に使われているのが「非障害者」という言葉だそうです。
社会の中で「障害があるからもう就職はできない」という人たちに可能性を提示し、やる気を取り戻して自立していくための支援活動をT氏は長く行ってきました。その中でコミュニティの重要性とエンパワーメントというアプローチの大事さを感じたそうです。

数値化できない『やる気』という価値

エンパワーメントとは、社会環境を整えることで障害者がもつ本来の力を開花させていくことです。T氏は、受け皿がないことでやる気をなくしている障害者にやる気を取り戻してもらうことで、自立していくような支援を行っています。これには特に、コミュニティの存在が不可欠だそうです。かつてのプロジェクトのやり方では、対策を作る人がいて、それを現場の実施者に伝え、実施者から障害者に指導する、という流れがありましたが、プロジェクトに対して本当に真摯に向かい合うのは、実際に「問題」に直面している障害者とそのご家族です。だからこそ、自分たちの問題として真摯になれる障害者同士で指導しあうというコミュニティが重要になってくるのです。ですが、そうして障害者だけで社会環境の問題に取り組んでいると、非障害者にとっては「誰かの問題」になってしまい、社会全体の問題としてとらえられなくなってしまうという別の問題が発生します。そこでコミュニティ内で非障害者も一緒に活動することで、社会全体の問題だという認識をもつことができるようになるのです。

参考リンク  エンパワーメント(empowerment)の用語解説

非難の可能性と障害者のもつ才能の開花

JICAというのは税金を使った活動です。日本で震災があり経済的な困難もある中で、諸外国への援助、特に明確に効果測定するのが難しいプロジェクトに対する必要性について、疑問視する声もあるそうです。特に「やる気が出ました!」というのは数値化が難しく、税金の使用用途として説得が難しいことは予測できます。ですが、現場にいると明らかに障害者の目の色が変わるのが感じられるのだとか。
ところで、さをり織りという織物をご存知でしょうか?城みさをさんが始めた織り方で、機械織りとの差をつけるために、今までは傷と言われていたものをなくすことにこだわらず、感性のままに織られた手織りのことです。子どもでも障害者でも織ることができる織物ですが、ある障害者が織ったさをり織りを見て、T氏は心が殴られたような衝撃を受けたんだそうです。芸術に詳しいわけでもない自分が、なぜこんなに心を動かされるのか非常に驚いたとか。アウトサイダー・アートという主に精神障害者による芸術の分野がありますが、純粋な衝動に突き動かされて創られるものには、人の心にダイレクトに刺さるチカラがあるのかもしれません。

関連リンク  手織適塾さをり・SAORI~

世界最先端のコミュニティ開発を日本へ逆輸入!

世界で最も高齢化が進んでいる日本の対応は、世界中から注目を集めているところですが、震災をきっかけに過疎化・高齢化の問題に取り組んでいるのが釜石市です。釜石市が取り組む『スマートコミュニティ基本計画』では、「もっと豊か」「もっと便利」「もっと安心」なスマートシティ 環境未来都市かまいしという理念のもと、エネルギーの地産地消でエネルギー的に自立し、家や公共施設、エネルギー施設がつながり、人と人がつながり、経済的に豊かに、環境に優しく、世代に関わらず安心して暮らせるまちづくりを目指しています。T氏はこのようなコミュニティの開発・構築を途上国で行い、得られたノウハウを日本に逆輸入することで、日本に貢献できないかと考えています。

関連リンク  釜石市のスマートコミュニティ構想 ECOネット東京62


T氏は今後、ミャンマーの人身取引被害者の自立支援プロジェクトに参加されるそうです。
本で読んだりネットで知ったりしている「知識」と、実際に自分がその世界に足を踏み入れ体験して知った経験とは雲泥の差があります。世界のすべての出来事を経験することはできないから、せめてこうして実際に何かの活動に取り組み、行動を続けている人と話をさせていただき、その体験の片鱗に触れさせていただけたら、自分自身も世界を広げることができます。
私自身、獣医師として「ペット」「飼う」「飼い主」「エサ」という言葉は、日常から極力使わないように心がけています。一般的に話すのに分かりにくい時は使いますが、それでも使用する前に使わずに分かる方法はないかと非常に考えます。それは動物を自分の家族として大事にしている方々がいることへの配慮として、長く臨床医をやっていた自分に染み付いた言葉遣いだからです。今回、「非障害者」という言葉を初めて聞き、その世界で真摯に向き合っている人たちの思いが詰まった言葉だなぁと感じました。
たとえば、差別語として現在は使われなくなった言葉たちがあります。言葉がなくなっても障害はあるのですが、一般的に流通していた言葉がなくなるおかげで、常識のように蔓延していた社会の認識を変えることができるのです。こういった言葉の使い方があることが、もっと多くの人に知れ渡り、新しい「常識」として社会に根付き、社会環境を変えることにささやかながら尽力できればいいな、と思いました^^


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みじんくん と みじこちゃん

「ぼくらは無報酬でみじんこやってるよね」
「炭火焼鳥で払ってよっ!」

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