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美術館でアートの展覧会をする際に求められる実務としての企画書の書き方

  • 10月 12 / 2019
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みじんこアート, みじん講義

美術館でアートの展覧会をする際に求められる実務としての企画書の書き方

毎月だいたい2本平均で海外アーティスト・イン・レジデンスの企画を出し続けているOumaです、こんにちは。最近はさらにレジデンス先の個展、釜山の美術館やアートスペースでの展示にも参加できることになり、なんだか企画書を書きまくっています。今日は企画書のおはなし。

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実務としての企画書

アーティスト・イン・レジデンスなどのプログラムに「応募」する時の企画書と、実際に現地に行って個展開催する時の「企画書」というのは、かなり内容が異なります。そもそも、応募は参加の1年以上前になるし、企画はだいたい作品1点のみについてなんですよね(プロジェクトとして出す場合もある)。個展をするとなったらもっと点数増やしたいし、1年の間にやりたいことも変わっている。今回は展示直前に出す「実務としての企画書」のお話です。

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ギャラリーでの企画展との違い

ちな、コマーシャルギャラリーでの企画展の場合はそこまでがっちりした企画書は求められないです。というのも、契約しているようなギャラリー、付き合いの長いギャラリーの場合、すでにギャラリストが自分のことを分かっているし信頼関係があるので、どんな作品をどんな感じで展示したい、という打ち合わせを繰り返すことのほうが私の場合は多いです。イメージ共有のために過去作品や、展示方法が特殊な場合は参考作品などを見せるなどして展示前にすり合わせしています。
ギャラリー側がアイデアを出してくれることもありますが、1)壁のサイズ、2)展示方法(特殊な展示をする場合は新たに什器を購入する必要もあるため)は早めに確認しておいたほうがいい。ギャラリーでの企画展の場合は、ギャラリーとの信頼関係が大事だと私は考えているので、今後も長く付き合っていけるようにこまめに自分の進捗などを連絡しておきます。
私の海外ギャラリーとの契約は、「系統樹」という作品1点のみの専属契約という特殊契約になっているので、「系統樹」をそのギャラリー以外で展示する際には必ず一報を入れています。レジデンスで成果展示する場合には販売するわけではなく、作品がいずれカタログに載るというメリットもあるので、いつもOKしてもらっています。作品全部専売という完全専属なわけではないふわっと契約にしてもらったのは、私が初めて個展をしたUNAC TOKYOや今、日本で作品販売してくれているギャラリータグボートとの兼ね合い、たまに声をかけてもらえる他のギャラリーさんやレジデンスでの展示などの兼ね合いがあるから。ガチガチの契約にされると自由に動きにくいからですね。自分がちゃんと売れるようになったら、今、チャンスをくれてるギャラリーさんたちにも恩返しできるようになりたい。そういった考えの上でのふわっと契約です。リアルな話、ガチガチにされる場合は、それだけの収益をそのギャラリーでの展示から引っ張ってこられないとアーティストとして生活できないので、ギャラリーの力や自分との相性、方向性などを考えてこのへんは慎重に決定してくださいね。
ちなみに、海外ギャラリーでの海外個展では渡航費・宿泊費はギャラリーがもつこともあります。あと滞在中のごはんはけっこう奢ってもらえます。てことは作品がしっかり売れてくれないとギャラリーは完全に赤字になってしまうので、お世話になってるギャラリーのことを考えると「自分の表現がうんぬん」よりも「たくさん売れてください、お願いします」という祈りのような気持ちでいっぱいになります。まじ切実。

費用が出る展覧会ほど細かい

今日の本題の美術館などでの展示企画書について。美術館に限らずなんですが、「先方が費用を出す場合」は特に詳細な展示企画書が求められます。今話題の?助成金をもらうとかではなく、展覧会直前に出す実務としての企画書ですね。ここから大きく変更をかけることはありません。この企画書をもとに、フライヤーや展示のための説明資料、什器などを準備するからです。具体的に必要なのはこんな感じ。細かくは展示場所によって異なりますが、これまでに求められたことを全部書いた感じ。

  • 展覧会のステートメント
  • 作品タイトル・素材・制作年・サイズ
  • 作品ごとの解説
  • 展示配置
  • インストール方法および特殊な什器がいるかどうか
  • 輸送方法(箱の大きさなど)
  • 作品の価格(保険のため)

これに加えて作家のCVが必要になってくる感じ。細かく説明していきますが、1はアーティストステートメントではなく、展覧会のステートメントですね。フライヤーとかに印刷されることもあるので、数行の短めバージョンとそれを丁寧に説明した詳細バージョンがあるといいです。海外アーティスト・イン・レジデンスの応募でもコンセプトの概要と詳細を分けて求めてくることはよくあるので、最初から一言二言のバージョンと、詳しく聞かれた時に話せるバージョンと両方用意しておくとみんなハッピーです。2については参考写真かスケッチを添えます。グループ展の場合は展示配置を先方が考えるので、イメージがつきやすいものを必ず入れておくこと。3はスタッフさんが説明できるように。レジデンスの展示の場合には、必ずしもスタッフが現代アートのプロでないこともあるんですよね。美術館やギャラリーではそんなことはないんですが、けっこうレベル的にまちまちなので、相手がどこまで分かってるかを自分が認識した上で話を進めるといいです。相手のほうがキャリアがある場合にはより良い方法をどんどん聞いて頼りながら学びます。自分が経験を積むチャンスですからね。相手がアート出身でない場合、あるいは新人スタッフなどの場合にはボトルネックになりそうな項目について早めに確認しておくとスムーズ。特に海外だと、自分がもっている常識は基本的に使えないと思っておく。就業時間に厳しい国もありますからね。しかし、「外国人アーティストにはそのへんが大変なんだよ」っていうのがあればそれも伝える。これは今後来る外国人アーティストのためにもなると思ってますし、私は改善点としてのフィードバックはなるべく残したいなと思っています。レジデンスによっては最後に改善点についてのアンケートを取るところもあります。

4は説明資料を制作する時に必要なやつですね。求められない時でも作家として考えておくほうが、「展示全体で伝えること」が把握しやすくなっていいかもしれません。2019年7月の韓国展示で韓国の批評家さんに指摘いただいてから、私は意識的に考えるようにしています。それまでは全体のバランスみたいなものしか考えてなかったですからね。

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5として、インスタレーション作家にとってけっこう大事なポイントは「インストールを手伝ってくれる人がいるかどうか」です。たとえば中国のギャラリーでは業者に頼んで展示するのが一般的ですが、場所によってはインストールを手伝うスタッフが全くいないとこもあります。その場合は一人で全部やるかアーティストさんに頼むかしないといけないので、インスタレーション作家には死活問題になってきます。私は上から吊るす展示が多いので、吊るす作品がある場合には、レジデンス先についてすぐ、館内案内の際に天井にモノを吊るして平気かどうかを聞いていますw

6は初めて聞かれたんですが、もしかしたら木箱つくってくれるのかもしれないですね。7も今回の韓国で初めて聞かれましたが、作品に保険をかけるためかもしれません。
以上でした!同じ「韓国」でもレジデンスによってやり方はだいぶ違うし、スタッフの経験値によってもだいぶ違うので、基本はどこのどんな展示であっても「臨機応変に」が大事^^ 今後、展示依頼が来た時のためにも、レンタルギャラリーで展示する際にもこれらを意識し、プロとして実際に企画書としてまとめてみるのはいかがでしょうか。

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みじんこも、展示されたいよっ!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「されたいよっ。」
「カメラ目線しちゃうよー」

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