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鉄塔写真家ふじのえみこから考える「障がい」という言葉をなくすということ

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鉄塔写真家ふじのえみこから考える「障がい」という言葉をなくすということ

ふじのえみこという鉄塔写真家がいる。私がまだ、ふわっふわ生きていた時に出会った人で、大切な友人の一人。今日は彼女について紹介しようと思う。彼女についてのプライベートな話をどこまで書くかは、なかなか悩めるところなのだけど、私を信頼して話してくれたので、丁寧に伝えていけたらと思う。

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鉄塔は人と人をつなぐもの

鉄塔の写真ばかりを撮り続け、鉄塔のうんちくにもなんだか詳しい彼女のことを、わたしは「くまこ」と呼んでいる。ので、ここでもそう統一する。


鉄塔写真家ふじのえみこ撮影

参考リンク  【WFC】鉄塔写真家 ふじのえみこさん 松本のカフェで鉄塔写真展 「鉄塔も風景の一部」、魅力写し出す(松本経済新聞)

長野県内のあちこちで写真展もやっているのだけど、東京電力と関西電力とのコラボ展示の経験もある。写真集はいつの間にか6冊も作っていたようだ(私が知っているのは3冊までだった)。くまこは文章がうまく、言葉の使い方が心地いい。以前、言葉も得意なんだから、写真集に言葉を添えては?と提案したら、写真だけで伝えたいからと却下されたことがあった。表現に対する彼女なりのこだわりがそこにあるようだ。

世界各地で鉄塔を見るたびに思い出す

世界のどこにいても、鉄塔を見かけるとくまこを思い出す。長野に住んでいながら、私が個展をやるとバスに揺られながら、はるばる東京まで見に来てくれる。ただ、帰宅の時間もあって、滞在は1時間もないことがある。本当に来て、帰るだけ。移動に往復で12時間くらいかかってる気がするんだけど、それでも彼女は毎回、スプーンを持って来てくれる。スプーン・・・?
見たことがある人もいるかもしれないけど、いつも来てくれたお客さんたちの前でスプーン曲げを披露してくれるのです。そしてスプーンは置いて帰るw 前回は、「ターバン野口」を差し入れに置いてってくれました。その前には何度かちくわを持ってきてくれたことがありましたが、夏の時期にバスで煮え立ったらしいちくわが、ヤバイ雰囲気を醸し出していたことがあり、ちくわは断念するように説得したことがありました。そんなくまこは・・・

2級精神障がい者で、統合失調症なのです。19歳の時から精神科に通い始め、いろいろ検査をし、ナルコレプシー、パニック障害などさまざまな病名を言われ、障害年金をもらう際に「統合失調症」っていう病名に落ち着いたらしい。極度のネガティブ、極度の人間恐怖症、睡眠障害、摂食障害があるという。私との出会いはアメブロ経由だったので、あんまり人間恐怖症な感じはしないのだけど、長く付き合っていくのが苦手なのかな。ちなみに、会うとずーっと喋ってる。そしてたまに、すごくたまにだけど、落ち込んだようなメールが来る。ちなみに、2級ってなんだろって調べてみたら「金銭管理能力がなく、計画的で適切な買い物が援助なしにはできない。」って書いてあるページがあった。わ、わたしの作品はいいから買ってくれてるんだよね?適切な買い物だよね・・・??

参考リンク  精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準(2級)

取材を受けるときには「鉄塔写真だけで生活していけてるんですか?」というアーティストに対する定番みたいな質問がよく飛んでくるらしいんですが、障がいについては伏せてもらうように頼んでいるみたい。障がい者の作品ね、というのが、作品を見るときに枷にならないように。それはわかる。アーティストとして立った時、「アウトサイダーアート」的な枠は保護でありながら隔離にもなっているから。障がい者の作品だといわれると、その段階で人は批判しにくくなる。優しくしなきゃ、みたいな思いにかられる。それが、境界線を濃くしていく。

別にさ、脳とか精神に障害がある人みんなに、芸術的才能があるわけじゃないじゃん。

障がいがあるイコール芸術的才能がある、みたいな風潮に腹が立つとくまこは言う。鉄塔に関していえば、自分は誰よりも撮ってきたと。そうなんだよね、実際に鉄塔についてもすごく詳しい。赤い色の鉄塔は高さがなんとか、みたいな話を聞いたことがあった。私は残念ながら鉄塔にはだいぶ興味がないので白目で聞いていただけだったけど。彼女には鉄塔への愛が確かにある。もしも、ほかの人が撮る鉄塔よりも光るものがあるなら、それはそもそも撮っている枚数が違うからだ。イチローだって誰よりバットを振ってきたわけだし、才能なだけでうまくいった人はたぶん、ほとんどいない。

障害年金をもらってる人はわかると思うのだけど、受給者の生活は本当にギリギリになる。人が「お金なくて」って言ってる時、そうは言っても貯金が数十万~数百万はあるのがふつうじゃないだろうか。年金生活の場合には、本当にギリギリ。それでもそのお金の中から、くまこは私の作品を買ってくれている。しかも1点だけじゃなく、何点も。1万円近いのだって買ってくれたことがある。そして、彼女自身の展示の時に私の作品も並べて見せてくれるんだ。
お金の価値というのはね、人によって同じではないんです。たとえば、貯金1万円の人の100円と、貯金100万円の人の100円って重さがぜんぜん違う。私の作品を買うことで、くまこの生活はリアルに削られてしまうわけだから。でも、くまこのお金の使い方は美しいと私は思っている。以前、老舗のカフェに一緒に行ったことがあった。彼女はコーヒー好きなのだけど、メニューちら見で「コロンビア」を注文。老舗のカフェなだけあって、けっこういい値段だったと記憶している。その時くまこが言ったのが「最近テレビでコロンビアの話を見てさー、コロンビアの経済を応援したくて」だった。自分の使ったお金の流れとつながりを分かっている人の言葉だなぁと。私は基本的にスーパーでは割引品ばっかり買うし、葉物野菜なら自分の好みよりも、なるべく安いやつを選んで買う人なので、こういう姿勢をすごく美しく感じるのです。一度だけではなくてね、実際に長野から何度も東京に会いに来てくれてるし、作品を何度も買ってもらってる。そういう姿勢こそ、アートだなぁと思うのです。アーティストは人生が作品に乗るわけだから、生活と作品が一体化していること、そこに嘘がないことが大事だと私は思っているんですよ。鉄塔が人と人をつなぐように、自分の行動ひとつひとつが、次の誰かにつながっている。くまこの生き方はそういうつながりを示唆させる。世界平和を祈って絵を描く人が、ふだんの生活の中で世界平和を意識してなかったとしたら、それって自分を素敵に見せたいだけの嘘じゃないですか。そもそも、祈るだけで世界平和って成り立つの?って。マザーテレサもガンジーも、祈るだけではなかったよね。自分の日常と作品が一体化していること。そうなって初めて、作品に説得力が出るかなと私は思っているのです。

上海のSwatch Art Peace Hotelというところでアーティスト・イン・レジデンスに参加していた時、3割くらいがLGBTのアーティストだったんだけど、なんかね、LGBTって言いたくなかったんですよ、すごく。単に同期で参加した友人たちなのに、その言葉によって壁ができてしまうような。「障がい」っていう言葉も本当はなくなるといいんですよね。辛いときはどんな状況にある人だって辛いわけで、600億円の貯金がある人が、死ぬほど人生辛くなることだってぜんぜんあるはずなのです。障がいがあろうとなかろうと、イヤなやつはイヤなやつだし。でもそういう意見は、私からはなかなか出しにくいわけで。「あなたは実態を知らないよね」と言われれば本当にそのとおりだから。介護の大変さにしろ、差別にしろ、そういうののリアルは、私にはわからないです。
でも、くまこは、障がい者って感じじゃないんだなぁ。「最近うまくいかない」というメールを送って慰めてもらうこともあるし、アート観の違いで意見がぶつかることもある。でもね、一番重要なのは「気兼ねしなくていい」ってこと。傷つけないように、優しくしなきゃ!っていう感じじゃなくて、悪いこと言ってしまったって思ったら謝ってもう一回やり直せる感じ。ビクビクした人間関係じゃなくて、もっと普通なんだよね、私にとっては。ボーダーをなくすってこういうことだろうなって思う。だからね、彼女の存在と鉄塔写真は、もっと知られてほしいなと思うのです。
そんな彼女がちょうど鉄塔Tシャツをつくったと言っていたので、みじんこブログで売りに出すことにしました。送料とBASE手数料込みで3300円です。オーダーいただけたら、くまこに連絡して手配してもらいます。くまこにはBASEの手数料300円を引いた3000円を送金します。

鉄塔Tシャツはこちらからオーダー  鉄塔写真家ふじのえみこ「鉄塔Tシャツ・氷点下7度の夜明け」


エストニアとモンゴルの鉄塔写真はOuma撮影です。

私はTシャツを着ない人なのでオーダーしないんですが、代わりにエストニアから買ってきたコーヒーをお土産に送りました。今、韓国で私が飲んでるやつと同じやつですね。香りが甘くるしい感じで美味しいです。濃いコーヒーが苦手なので、薄く淹れて香りを楽しみながらブラックのまま飲んでます。私と同じくTシャツは使わないけど、鉄塔写真家ふじのえみこを応援したいっていう人は世界中にちゃんといるはず。そんな方のために、Amazonの欲しいものリスト「鉄塔写真家バージョン」をつくりました。新鮮野菜とか米とかコーヒーとか入れてるので、気が向いた方はポチって送ってやってください。私もたまにふと思い立って米送ったりしてます。こちらの欲しいものリストからご注文いただくと、うちではなくて鉄塔写真家のおうちに届くように設定しています。

美味しい野菜を送れるリスト  鉄塔写真家ふじのえみこのためのほしいものリスト(みじんこ作)

最後に。くまこの転機の一つは、親友を自殺で亡くしたこと。本人も未遂っぽいことをしたことはあったようで、その時は「自分が死んでも誰も悲しまない」って思ってたけど、今は「必ず悲しむ人がいる」という考えに変わったみたい。この世には、世界を何回も滅ぼせるだけの武器があるようだけど、同時に世界中の人がそこそこ幸せに暮らせるくらいの富もあると思うんだよね。それはどこにあるんだろうね。世界は自分が思うよりずっと優しい。優しい世界でありつづけるように、世界をつくる仲間でありたいね、自分も。


みじんこも、新鮮野菜が食べたいよ!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「炊き立てお米が食べたいよっ。」
「おいしいお寿司が食べたいよー」

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