良著を濃縮還元してお届けするみじんこブックレビュー。今日は『世界史を変えた13の病』から。
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人類はこれまで、多くの感染症に対峙してきたのですが、いくつかの感染症は文明をまったく破壊してしまいました。本書では、感染症の症状や、当時の権力者がどのように対処しようとしたり、また医療者たちが治療を行おうとしてたのかが描かれています。
14世紀の治療法
たとえば14世紀の腺ペストに対する対策として、こんなことが行われていたそうです。
- 上等のワインを少量飲む
- 下水道に住む
- 砕いたエメラルドを食べる
- 卵と果物と野菜を食べる
- 病人を見ない
- 生の玉ねぎを刻んで家じゅうに置く
- 尿/膿を飲む
現在では、ペストは菌によって起こることが分かっているので、治療法は抗生剤を飲む、です。ネズミによって媒介されることが多いことを考えると、下水道に住むとか、かかりにいってるようなもんな気がしますね。
ペストのお医者さんの格好
- 蝋を塗ったローブをまとう
- 職業を示す杖をもつ
- 鳥のカタチをした仮面をつける(くちばし医師と呼ばれていた)
鳥の仮面には香りのよいものが詰め込まれていて、意図せず防護機能があったようです。鳥が悪魔を追い払ってくれる、みたいなイメージもあったみたい。
マッドハッター(頭のおかしな帽子屋)
19世紀の帽子製造業者は水銀蒸気にさらされて正気を失うことが多かった。18~19世紀には水銀を摂取したり注射したりする治療も行われていた。不思議の国のアリスに「いかれ帽子屋」っていうのが出てくるんですが、そのモデルになるような事象があったんですね。
悪臭が病気の原因
強烈なにおいはすべて、重大な病気に直接関係すると思われており、天然痘や麻疹、猩紅熱は悪臭によって発生すると思われていました。匂いというのは、危険を察知する重要な指標なので、間違いとも言い切れない気もします。
病気の予防の考え方として、集団免疫というのがあります。みんなが免疫力をもっていれば、集団の中の誰かがかかっても大流行しないので、徐々に収まっていく、みたいな感じです。身体の免疫っぽい感じがするんですが、本当の意味での集団免疫は「知恵」で、集団の「教育」によってなされるなぁと思ったんです。
腺ペストの時、多くの人たちは「下水道に住まなきゃ!」って思ってたんですよね、本気で。当時の科学知識だとそれが正しいと思われていたわけです。「砕いたエメラルド」と「良く分からない飲み薬(抗生剤)」だったら、エメラルド食べたほうが効きそうって思ってる時代もあったんですよね、きっと。それはたぶん、周りもみんな「砕いたエメラルド」を食べてたからで、集団がそれを信じていたからじゃないかなと。
時代の変化が激しい時だからこそ、学び、考えるってとても大事で、それこそが集団を守るなって思いましたよ。
とても興味深い一冊だったので、ぜひ読んでみてください。物語をつくる人には創作の参考にもなりそうでした!
今日も読んでいただきありがとうございました!
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みじんこは、知恵のかたまりだよ!ヽ(=´▽`=)ノ