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『キュレーターの極上芸術案内』から「鑑賞が堕落」など興味深い言葉を読み解く

  • 5月 15 / 2020
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『キュレーターの極上芸術案内』から「鑑賞が堕落」など興味深い言葉を読み解く

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良著を濃縮還元してお届けするみじんこブックレビュー。今日は新見隆さんの『キュレーターの極上芸術案内』から、興味深い言葉をいくつかご紹介します。

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キュレーターの仕事とは?

キュレーターの原理原則は、自分で勝手に思い込んだ「モノや事象の、背後に隠された象徴的意味に簡単にとびつくのではなく」、まず「モノをよくよく実物として穴があくまで観察し」(オブザベーション)、「自分の言葉で形容し」(ディスクリプション)、「並べてみる」(インスタレーション)こと、これに尽きる。

新見隆さんのこちらのコメントを短くまとめると
1)観察
2)言語化
3)設置
がキュレーターの原理原則ということ。キュレーターの仕事っていうなれば、作品たちを素材にした空間芸術をつくること、なんですよね。

たとえばこちら。ウーゴの作品のように展示の仕方が違うと、空間から感じる「感覚」が変わります。

合わせて読みたい  ウーゴ・ロンディノーネ「孤独のボキャブラリー」レイヤーによって変わるコミュニケーションプ

ロサンゼルスLACMAの展示では、作品の前に一つずつ椅子が置かれ、作品と1対1で向き合えるようになっていました。

作品は言葉を発さないです。だから、作品と対話するにはこちらから感じ取ろうとしないといけない。その受け取る作業を助けてくれるのがキュレーターさんたちです。キュレーションって本当に重要で、作品が心に残るか素通りになるかもキュレーション次第、作品の設置次第だなぁと思うことは多々あります。

鑑賞は堕落

僕は、ミュージアムの授業で、学生には極論と断った上で、「鑑賞が始まる瞬間、それが、本来の、幼稚で、原始的で野蛮な「目」=「見ること」の、堕落なんだよ」と言っている。

これ、とてもおもしろいなぁと思うんですよね。
アート鑑賞ってほんとに、へたするとただ流して終わりなんですよね。しかし、アート鑑賞だと認識していると、自分では何かとても素敵なものを「見た」気になる。実はほとんど見ていないんじゃないの、そもそも「見る」ってなに、物体の外観について記憶してるってこと? 外観だけならすでにネットで写真だけ見ればいいんじゃないの、なにを見てたの? って問われているようです。

フランスの詩人マラルメの言葉

「マラルメはね、言語の前に、詩があった、と言ったんですよ」。

19世紀末のフランスの詩人ステファヌ・マラルメ。すごく色っぽい言葉で、それがすでに詩っぽいのですが、これを冷静に分解すると、
詩 → 言語
というように発展してるよ、って言ってるんですよね。

言葉より早く「詩」がある。
私は、詩より前に「音」があるんじゃないかなと考えました。
音 → 詩/音楽 → 言語
抽象から具体へ。その過程で失われてこぼれ落ちる概念もあるみたいで、詩や音楽はその橋渡しをしてくれるような気がします。

絵画は物質を越える何か

「絵画とは、物質であり、またそれを超える何かだ。それは、出来事なのである」

バーネット・ニューマンのインタビューで語られていたという言葉です。ニューマンはこんな感じのシンプルな色構成の作家さんですね。

参考リンク  【美術解説】バーネット・ニューマン「カラーフィールド・ペインティングの代表格」

絵画は作家が色を積み上げた結果なわけですが、単なる物質ではないと。物質と出来事の差とは何か。翻訳にも寄りますが、その差を私は物語のあるなしと考えます。出来事にはその状態に至るまでの物語がある。作品はその物語を感じ取れるほど、自分の細胞が振動するような感じでおもしろくなると思っていますよ!

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「深いやつだよー」

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