あいちトリエンナーレで展示中止になった「表現の不自由展・その後」に展示されてた作品の一つが、「平和の少女像」。本物は見られないのかーと思いきや、韓国国内には40体以上も設置されているようです。1点は韓国大田(テジョン)市役所の近くに。今日はこの作品と戦争について考えてみました。
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少女像は市役所の近くに
GoogleマップでBoramae parkを検索すると、ちょっと広い四角いエリアが出てくるので、てっきりこの敷地内に少女像もあるのかと思いきや、ボラメ公園は市役所をはさんで南北に分かれているみたいなんですね。近隣の人に像の写真を見せて案内してもらい、ようやく発見。市役所のお向かいにあるような感じです。
✓ 合わせて読みたい 韓国大田(テジョン)のボラメ公園に行こう~南側レポート
テジョン市の像は2015年に建立されており、全国で初めて官民共同協力事業としてつくられたもののようです。少女像の細部に込められた意味は下記のとおり。
大田平和の少女像のサイズは横160センチ、縦180センチ、高さ136センチで、むしられた髪の毛は、日本帝国主義によって強制的に故郷·親と断絶された姿を表現しており、固く堅く握りしめた両手には、謝罪どころか韓国政府を圧迫して少女像の建立に反対する、日本政府の横暴に対する怒りが込められた。少女像の肩に乗っている小さな鳥には自由と平和を、床のお婆さんの影には時間が経って少女からお婆さんになった姿を、胸に抱いた蝶の影には、恨みと悲しみを抱えたままこの世を去った被害お婆さんたちが生まれ変わり、切望していた日本政府の謝罪を受けなければならないという意味をそれぞれ込めた。
✓ 参考リンク 「人権·平和の象徴になるように」大田市で慰安婦少女像除幕式
慰安婦問題を語る時にまず出てくることと言えば、2015年の慰安婦合意があります。この時、日本は安倍晋三総理大臣、韓国は朴槿恵(パククネ)大統領です。この時に「和解・癒やし財団」に10億円を日本が出しています。この財団を韓国側が日本の合意なく解散したことで、「せっかく不可逆的に解決したのに何を言っておるんやー!」っていうのが日本の言い分。んで、なんで解散されてしまったのかを、韓国メディアのハンギョレ新聞をたどって調べてみたところ、こんな感じのようでした。(ハンギョレ新聞のみを参考文献にした自分の理解の図式化なので、ほんとかどうかはご自身で調べてみてくださいませ。ハンギョレを参考文献にしている理由は、韓国内でも韓国寄りのメディアだと聞いたからです。相手側の主張を知るのに一番いいんじゃないかという判断です)
なんか、日本側のメディアを見ていると、「韓国が一方的に財団解散したー!」っていう主張が多く見受けられたましたが、市民がもともと納得していなかったのね、という事情を知るとそこそこ理解はできる気がしませんか。
✓ 参考リンク 日韓両外相共同記者発表(外務省のHP) [社説]さらに問題解決難航させる慰安婦財団 韓日政府とは別に市民が作った「慰安婦財団」発足 [社説]反発と対立のなか発足した慰安婦財団
とはいえです。パククネ政権も韓国国民によって選ばれた政権です。つまり国の代表として日本と約束したことなわけですから、「国民の大多数は実は納得してなかったんですー」って後から言われても困るやん。っていう日本の事情もそのとおり。韓国では10億円を返すべき!という話もあるようですが、まぁ、日本は受け取らないでしょうね。受け取る=合意してない、の証明になってしまいますから。
ただ、慰安婦合意については2018年に国連の人種差別撤廃委員会で日本はこんな勧告を受けているようです。(強制力はなし)
慰安婦問題への勧告では日本側に「元慰安婦らの人権を侵害した責任を認める」ことも求めた。
✓ 参考リンク 慰安婦問題、持続的解決を 国連委(日本経済新聞)
日本の庶民として気になるところって「これまでけっこうお金も出してるし謝ってるのに、なんで許されないんだろう、、」ってことだと思うんですよね。それについて、こんな記事がありました。
✓ 参考リンク 日本政府は慰安婦問題で韓国に「謝罪」していない
謝ってないの・・・!?「お詫び」って謝罪かと思ったら。。(※この記事はあくまで慰安婦問題について語っていますが、慰安婦問題について語った日本首相の発言もこれまでに何度もあります。「公式謝罪」っていうのは賠償金やその後の教育、再発防止策などとセットになるっていう考え方なのかな。あとは靖国参拝のおかげで謝罪発言がなかったことになってる説もあるのかも。分かりません!)これでちょっと思ったのは「お金の名目」問題なのかなと。1965年の日韓協定が徴用工問題含め個人請求権についてよく言われているんですが、この時、日本は「財産・請求権問題が解決されたことを確認するとともに5億ドルの経済協力(無償3億ドル、有償2億ドル)を実施」しています。つまり、払われたお金は経済協力金で賠償金ではないんですよね。ただ、請求権とかは解決しているよ、と。韓国側は「賠償」として要求してたけど、アメリカの強い要望(ベトナム戦争のため)もあり、経済発展のことも考えてはっきりしないような状態で韓国側もお金を受け取った。(※ハンギョレ新聞や外務省HP、世界史の窓という個人?のHPを参考に解釈しているので、あくまでイチ参考意見程度に思ってください)また、朴正煕さんについては、もともとが日本軍将校だったという話があるようで「日本側に有利な取引をしたんだろー!」っていう考え方もあるようです。
また、韓国への謝罪については、第二次世界大戦当時、韓国と日本は1910年の条約により「日韓併合」していたわけで、一つの国としての扱いだったと考えることもできます(日本と韓国は戦争していたわけではないので、賠償は必要ない、という考え方)。この条約の解釈によっては、自国のために自国民が頑張るのは当然ではないのか、という考え方もあるかもしれない。ただもちろん、韓国人はこの併合を強要されたもの、と捉えているし、武力を背景とした強要だったという話もあります。この日韓併合の解釈についてもいろんな見方があるので、気になる方はぜひ調べてみてください。また、日本は敗戦国なのでこうした賠償問題が発生していますが、100年くらい前は多くの国がアジアを植民地化していたわけで、そのことについて諸外国は謝ってはいません。当時の常識では、植民地は「アリ」だったんですよね。日本がもしもきちんと韓国に謝罪し、賠償金としてお金を払った場合、アジア諸国もそれにならって謝罪要求を始めるかもしれません。どうするのが正解なのかは、はっきり言って分からない。ただ、諸外国の対応はともかく、日本が今後、どういう国として国際社会に見られたいのか、どんな国を目指したいのか、を問われているのではないでしょうか。
✓ 参考リンク 日本の具体的戦後処理(賠償、財産・請求権問題)(外務省HP) 日韓基本条約(世界史の窓) 日本の戦争謝罪発言一覧(Wikipedia) 日本の戦争謝罪 「日韓併合」の正当性を唱える人たちへの最終メッセージ 【実況】池上彰緊急スペシャル 知っているようで知らない韓国のナゾ【コメ付き】
慰安婦問題についてはこんなリンクもあったので貼っておきます。
The resultant by-product is racial hostility between Japan and South Korea, which appears non-repairable for the next decades. These two nations are otherwise two democracies that should enjoy mutual friendship and peace as good neighbors. In effect, you are violating the human rights of the present-day Japanese by false accusations of sexual slavery, quite like witch trials in the Medieval Age.
一九歳だった私は、「慰安婦」と呼ばれる人たちがいること、軍が彼女たちを管理して検診している事実を知り、とてもショックでした。三亜というところは、当時、日本の海軍の司令部があったところですから、海軍・陸軍問わず軍隊が集中していた場所で、慰安所も無数にあったようです。こんなに恥ずかしいことを、日本はしていた。どういう事情があっても、こんなことは許されませんよ。
✓ 参考リンク 7. Comfort Women and the Coomaraswamy Report(PDFファイル) 特集1 戦後70年 「泣き声が耳から離れない」 戦地で出会った「慰安婦」 元従軍看護婦 中里チヨさん
そもそもなんで日本は戦争に向かったのか
個人のホームページみたいなところをザラザラとさらいながらおさらいしますが、超簡単に言うと、経済的に追い詰められて無理難題な要求でしかないハル・ノートを押し付けられ、対抗するために戦争せざるを得なかったということ。(※何度も書きますが、歴史についていろんな価値観、見方があるので、この記事全体はあくまで参考程度に思ってください)
ちな、年表を確認すると、日韓併合は1910年、第二次世界大戦は1939年(ドイツがポーランドに侵攻、日本の真珠湾攻撃は1941年)です。
✓ 参考リンク 【今さら聞けない】日本とアメリカが戦った『太平洋戦争』の原因をわかりやすく説明するよ 日米戦争とは何だったか ハル・ノート
A級戦犯と靖国神社について
東京裁判が戦勝国の都合に沿った裁判だったということも言われていますが、ううむむむむ、これは「現在の」常識からすると「ひどいー」なんですが、当時ってけっこう、、、「勝てば官軍」な時代だったんですよね。負けたほうが全ての賠償を背負わされる、という展開をドイツは二度食らっています。ちなみに、インドから派遣された唯一の国際法の専門家、ラダ・ビノード・パール判事だけが「日本は無罪」と主張していたとのこと。「勝った側の理論で負けた側に全責任負わすとかマジやばくね?」らしいです(超訳)
インドが急に好きになりました。今度、インド人に会ったらお礼言お。
朝鮮戦争が始まったこともあり、最終的に投獄されていた日本の政治家の何人かも公務に復帰(岸信介もそのひとり)。日本では、1953年の「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」によって、戦犯はいなくなり、処刑された人たちも全員「公務死」という扱いになった。つまり、靖国に眠る人たちは、何はともあれ、苦しい時代に日本という国のために命を賭けて戦ってくれた日本のご先祖様で犯罪者はいない、ということになります。特に、司令官クラスでない人たちの中には、上官の罪をかぶって死罪にされた人もいたようなので、ここに関しては彼らの名誉を守るという意味ではよかったかもしれませんね(いやでも、上官は、、)。実際に第二次世界大戦の起こりを考えると、どうしようもない状況に追い込まれて戦争に向かったわけで、もともとは侵略戦争「したかった」わけではないのかも。それならば、お参りだってしたい、という気持ちはすごくよく分かりますね。
ただ、諸外国が見てどう思うか、はまた別の話。ヒトラーだって国の未来をそれなりに考えたでしょうし、二度と戦争を繰り返さない、国を守ろうとしてくれてありがとう、の慰霊だったとしても、虐殺された民族の人たちが納得できるかと言えば「また戦争始める気なんすか!」って気持ちになるのも分かりますよね。
あ、ドイツ人の友人に聞きましたが、ドイツでは「ハイルヒットラー」の掛け声とポーズをするだけで投獄なんだそうです(もちろん文脈による)そういう意味では徹底しています。なんかドイツは第二次世界大戦後に国がなくなっちゃうかも、みたいなことも言われていたので、徹底的な反省により、国自体を守ったのかもしれないね。(←個人の感想です、分かりません、詳細は調べてください、と繰り返しておきます)
✓ 参考リンク 日本の戦争の歴史 極東国際軍事裁判所(世界史の窓) 米国人弁護士が語る真実。日本には「A級戦犯」のみならず、戦争犯罪人もいない。英霊を祀る靖国参拝は尊ばれるべきだ
市役所周辺のボイコットジャパンバナー。市内にもNOアベのバナーとかちょいちょい見かけます。
歴史のことについては、各国の思惑なんかもあり、なかなか簡単にはいきません。「民間人虐殺」が当時の常識からしても一番の悪だったと言うなら、「原爆」はその中でも最たるもの。海外の人と話していると、「アメリカは日本に謝るべきなのに」なんて言われたりもします。
アメリカの世論調査があり、2016年とちょっと古いアンケートですが、アメリカ人でも若い世代になると、「間違ってたんじゃないの」と考える人が増えてきているよう。てかね、利害関係のない国の人たちはだいたい「原爆ひどすぎ」って言います。だからこれからまた50年くらいかけて徐々に「日本はやむなく戦争に向かった」っていうことに関しては理解が進むかもしれない。
ただ、私はあんまり「アメリカ謝罪しろ!」とは思わない人なんですよね。それは、私自身が何かされたわけではないから。原爆に限らず、ひどい目に遭った本人や家族が主張するのは分かる。しかし、周りの人は「謝罪しろ!」と一緒に主張するよりは、なぜそういうことが起こってしまったのか、どうしたら二度と起こらないかを社会として一緒に考える人になったほうが優しいと考えているからですね。未来をつくる人でありたいかなぁと。苦しんでる人の仲間になる姿勢も大切だとは思うんだけどね。責める人が多くなりすぎると、隠ぺい体質も進んでしまう、という懸念もあります。
✓ 参考リンク アメリカの若い世代「日本への原爆投下は誤った決断」と回答する傾向 YouGov世論調査
しかしですよ。確かにアジアで欧米諸国に植民地化されてないのは日本とタイのみでした。しかし、自衛のための戦争であるなら、オーストラリアまで侵攻する必要は果たしてあったのか。実際に南京大虐殺や、日本軍による人体実験「731部隊」とかもあったんですよね。日本兵による残虐行為もあちこちで知られています。当時の常識、時代背景、なぜ起こってしまったのか、どうやって再発を防ぐか、をもっと学び、考えてもいいのかもしれません。現代において大事なことは、二度と起こさないことなので。
✓ 参考リンク 731部隊の真実 ~エリート医学者と人体実験~
フェミサイドについて考える
あいちトリエンナーレ2019で大きく取り上げられていた作品の一つが、昭和天皇の写真を燃やすもの。大浦信行さんの映像作品「遠近を抱えてPartII」では実際に天皇写真が焼かれているシーンが挿入されています。この大浦作品の経緯をもとに作られている作品が「焼かれるべき絵」 この作者はOTA FINE ARTS所属の嶋田美子さんです。どんな作品作られてるのかなと調べてみたんですが(Twitter見てると、びっくりするほど作品背景について調べずに批判してる人多いんですよね、なんとなく、調べない人のほうが攻撃的になりがちなような、、なんにおいても)、自分が慰安婦像みたくなって座ってるようなパフォーマンスアートもやっているよう。「女性と戦争」をテーマに作品制作している彼女は、慰安婦だけではなく、あらゆる「フェミサイド(女性差別による女性殺害)」に対して声を上げているようなんですね。
民族紛争の時には、対抗民族の女性をレイプすることで「蹂躙」するような意味合いを持たせていたり、場所によっては女性がレイプされると、レイプされた女性側が死刑とか重罪になったりするような国もあったはず。お金のために親戚に売られてる女の子もいるし、男性パートナーによるDVもまた。沖縄では、米軍の犯罪を日本が裁く法律がないために、そのほとんどが不起訴になっているよう。天皇ご一家が一年で祈る日が「8/6 広島原爆投下」「8/9 長崎原爆投下」「8/15 終戦記念日」、それに「6/23 沖縄慰霊の日(沖縄戦の組織的戦闘が終結した日、戦没者の追悼と平和を祈るために県が制定した日)」なんだそうです。沖縄のことが本土の人たちにももっと気にしてもらえるように、みたいな想いがあるようですね。
ちょっと天皇写真の話とはそれてしまうかもしれませんが、「フェミサイド」という視点から考えたら、多くの女性は共感できるところはあるのではないでしょうか。実際に、女性は物理的な「力」という点で男性より弱いですし、性犯罪による傷が深いです。私は海外を旅していて、自分が屈強な男性だったら、もう少し気が楽だろうな、と思うことはよくあります。どんなに安全とされる町でも、ひと気が少ないところには昼でも行かないですからね。フェミサイドという視点から考えたら、「慰安婦」とされた人たちが自分の意志で楽しく仕事していたとはとても思えないので、もうそういうのは、世界的にやめてほしいな、って思います。
✓ 参考リンク 表現の不自由展・その後 嶋田 美子(OTA FINE ARTS) 在日豪人女性「本当に地獄だった」 米兵からの暴行を語る 米軍内の性的暴行事件、38%の増加 2018年調査(CNN) 米軍基地周辺の性暴力 「天皇陛下と沖縄」
個人的な正直な気持ちとしては、新しい概念や科学のことを学ぶことのほうが好きなので、あまり政治や歴史について興味がなかったし、戦争をしないこと、繰り返さないことに必要なことって必ずしも「歴史の勉強」のみではないと思っています。ただ、それは現代を生きる日本人の意見であり、実際に身内が殺された人たちにとっては「謝罪、二度と繰り返さないための教育や公的システム(慰霊日の設定など)、賠償」というのがあってようやく納得できるものなんだろう、というのも分かります。日本がいくらお金を払っていたとしても、それらが「経済協力金」であり「賠償金」でないのであれば、これからもずっと要求されつづける、責任追及され続けるような予感はします。同時に、「それなら賠償以外の一切のお金は受け取らないって最初から言ってよー」っていう現代日本人としての気持ちもあるし、終戦後の状況で復興のお金がすぐに必要だった状況ではそこまでできなかったという理由もわかる。アメリカの「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画 / War Guilt Information Program」のせいなのか、中高生くらいの時から私が戦争に対する「罪悪感」をもっていたのは事実だし、次の世代にそれを遺したくないという気持ちもわかる。じゃあどうすればいいのかっていうのは、あんまり分からないんですが、・・・っていうか、世代ごと、国ごとに出す答えは違いますよね。
少なくとも今回、韓国に滞在してみて、前より少しだけ深くこのセンシティブな問題について触れることができました。「反日教育」っていうのももちろん影響あるでしょう。ただ、その中身についての詳細を私は知らないし、そうなってきた背景などをしっかり理解しているわけではないので、反日教育「のみ」が原因、とはあんまり言いたくないですね。それよりは、もっといろんなことを知りたい。
今は昔よりもずっと、情報が入手しやすくなった。海外の人と出会い、話す機会も圧倒的に増えた。未熟な英語力でセンシティブな話題に触れることはなかなか危険なので避けてきましたが、アート以外にも少しずついろんなことを学び、日本から見た歴史の側面も機会があれば伝えていけたらなと思っています。
とりあえず、韓国には「歴史を忘れた民族に未来はない」みたいな標語があるので、日本人が「歴史、そこまでいる?」みたいなことを韓国人の前で言うことはかなりタブーだろうな、というのは理解しました。
あと、一度だけこちらで年配の韓国人の方と議論になったのですが、「日本はこれだけお金払ってるし、韓国政府はこういう合意をしていて、天皇は謝ったことがあり」という説明をしようとしたのだけど、「お金の多寡に意味があるか?いくらもらったって安い(=命には代えられない)、それは侵略者の論理だ」と言われて、とても議論にならなかったことがありました。(日本が払った金額が知られていないこと、天皇による謝罪があったことなどが知られていないことは残念に感じたのです)その方の英語力の問題もあるんですが、「侵略したのが悪い」と言われてしまうと、それ以上の話ができなくなってしまってですね。。しかし、それだけ今の日本に怒っていることの表れでもあります。(この件については別の韓国人さんがむしろ怒っていて、本当に申し訳ないと言われました、基本的にみんな私が「日本人」なことを知り、現在の日韓関係も知り、私が暮らしにくくならないように気を使ってくれることがほとんどです。現代の日本人に対して怒っているというより、戦時中の日本政府に責任が何もないみたいなことにしないで欲しいっていう感じでしょうか)
でもこの「聞いてくれない」に関しては日本でも同じで。「反日教育が悪いんだよね」「韓国はただお金が欲しいんだよね」でそれ以上の事情などを聞いてくれない人ってたぶんいますよね。自分のほうが悪いみたいに言われたくない、という抵抗の気持ちはあるだろうし。
また、少女像と合わせて「ライダイハン(ベトナム戦争の時に韓国兵のレイプによって生まれたベトナム人と韓国人のハーフ、差別の対象にもなっている)」のことを引き合いに出す人がいるのですが、これについても、背景をどこまで調べているのかなと。ハンギョレ新聞によると、韓国のこれまでの大統領は何度か「遺憾の意」を表明していますが、公式謝罪したことは一度もありません(ベトナム政府が韓国からの経済協力のことを考えて、ベトナム市民側を抑えているという話もある)。しかし、韓国ソウルでは模擬法廷ですが、このような判決を2018年に出しています。(※模擬法廷の形式なので、強制力はなし。参考に入れてますが、実際の判決が出たのだと間違えないように!)
「70人以上の民間人が殺害されたのに、果たして“仕方のない犠牲”と見ることができるのかどうか、極めて疑わしい…ベトナム戦争時の韓国軍による民間人虐殺が派兵期間全体にわたって発生したのではないか、合理的な疑いが持たれる…。主文。大韓民国は原告らに国家賠償法賠償基準によって賠償金を支給し、原告らの尊厳と名誉を回復するように公式謝罪せよ」
韓国国内でも民間レベルでは謝罪の動きが出ていますし(慰安婦問題については日本にも民間の動きはある)、今後の対応に注目、といったところではないでしょうか。現在の私は、「日本は戦争賠償関連は全部終わったことにしようとしている」けど、韓国は「まだ整理途中である」と考えています。韓国は政権が変わると方針がガラッと変わるので(漢字教育のレベルなども世代によって大きく違うらしい)、今後どのような対応になるのかはまだわかりませんね。あと、ライダイハンは組織的というより個人の犯罪であり、慰安所についてはもっと組織としてやってたことなので、そこについての意味合いはかなり変わってきますよね。
✓ 参考リンク 「ベトナム民間人虐殺市民平和法廷」ソウルで開かれる 授業は終わっても「ベトナム記憶プロジェクト」は続く Women raped by Korean soldiers during Vietnam war still awaiting apology(英ガーディアンのライダイハンについての記事)
では最後に、実物を見た個人的な感想です。素直な気持ちとしては「これからずっと、私が死んだ後もずっと、誰かを恨んだり苦しんだりしたまま在り続けるさまがかわいそう」ですね。日本の性暴力を世界に伝えるために作られている、という側面があるし、握った拳には怒りがにじみますよね。世界には楽しいことも美しいことも幸せなこともたくさんある。それらに触れて「めっちゃたのしー!」ってなる気持ちを感じている表情では全然ないので。この像が背負わされたものが大きく、存在としてかわいそうに感じました。テジョンでは8月(今月)、この隣に強制徴用労働者の像を設置する動きもあるみたいですね。
個人的には、「平和」を訴えものだとするなら、この像の形状ってあまり適していないと私は考えています。単に「慰霊」であるなら、長崎の平和祈念像が素晴らしいと思うんですよね。あの像ってアジア人っぽい顔をしてないし、あれを見て「アメリカ人の戦争犯罪を思い出す、くうううう」って思う人はあんまりいないと思うのです。つまり、像は誰かを責めるためには存在してないですよね。少女像はその形状とサイズから、いたずらする人もいます。そういうイタズラってどうしたって世界で何人かはするんですが、そのたびに問題になってしまう(問題にすることで想起させ、社会に忘れさせないという意味なら、その意図は成功するんですが)。そういう意味で、生み出された目的や、その後もなんかされつづけてしまうものがこの世に在ることが、私には気の毒に思えて仕方ないです。
望まれて生まれてきて、さらに多くの人を幸せにするようなものがこの世に増えて欲しい。少女像には確かな使命があるのでしょうが、私はそういうものを作る人になりたいです。
✓ 参考リンク 大田平和の少女像に日章旗と旭日旗差した大学生、警察調査で「処罰できず」 少女像に唾を吐いた日本人? 全員韓国人だった 韓国・大田の市民団体、8月に大田平和の少女像横に強制徴用労働者像設置
最後にもう一度。この記事自体はいろんな記事を参考にまとめていますが、歴史・政治にはいろんな見方があり、世代ごと、国ごとに感じること、考えることもさまざまなことが普通だと思います。あくまでこの記事の内容は「あなた自身が」自分の意見をもつための「参考」程度に考えていただけると幸いです。ただ、私自身が切に伝えたいメッセージがあるとしたら、「話を聞こう」です。相手は自分とはまったく違う経験・考え方をもつ人。戦争したくないは多くの日本人の願いだと思うんですよね。聞いてもらえないのは悲しいし、また自分も聞かないと、立場が違う人の気持ちってなかなか分からないから。以上でした!長文にここまでお付き合いいただき、ありがとうございます!
✓ 参考リンク 韓国大田(テジョン)のボラメ公園に行こう~南側レポート
みじんこは、悩めるよ!ヽ(=´▽`=)ノ