読んだ人が好きな金額を支払える実験本「実験思考」に、医療診断のアイデアが書かれていて、とても興味深かったので今日はそれについて書いてみようかなと。
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この本自体が「実験」
著者の光本さんによるさまざまな「実験」アイデアが書かれた本なのですが、こちら本の価格が390円。これは本の印刷に必要な原価だそうですね(つまり、著者や編集者、売る人たちの労力は入ってないということ)。電子書籍版は0円なので、誰でも新刊がタダで読めるということです。
思考停止の時代になっていくっていうのは、おもしろかったですね。「考える」っていうのはある種のエンターテイメントかもしれないな、なんて思いました。考えるのが面倒な人は、とりま、考えるのが得意な人たちの言うことを自分の意見だと思って生きていれば、楽しく暮らしていける。洗脳っぽい意見ではありますが、考える人たちが善であるなら、面倒な考え事を任せて言われたとおりに生きて漫画だけ読んでる人生というのもそこそこ悪くありません。
こちらの「実験思考」は、実験思考と名付けられているだけあって、いったいいくら支払われているのか、リアルタイムでだれでも見ることができます。こういうのいいね、おもしろい。サイトはこちらから→https://jikken-shiko.com/QR/
価格によって特典が違って、対談動画が見られたり、ビジネスのアイデアが送られてきたりする。こういうやり方は一時期はやってたネットビジネスの情報商材っぽい感じなんですが、「実験思考」は集まった分の半額を100万円ずつにわけて、誰かの「実験」にプレゼントすることになっています。なんかね、田舎の農協で作った人の名前が書いてある野菜とか買うときにも思うのですが、お金が血液のように流れていっているのを感じられるので、私はこういうのは好きですね。2019年5月22日深夜現在で、1,386人から58,392,800円が支払われています。単純計算で1人あたり42,130円が払われていることになります。なんか高い感じしますが、Kindleで本を読んで、このページにまで飛ばない人、買った選択をしてない人もいるはずなので、実売とダウンロード数で出したら1人あたりの金額はもっと下がるでしょうね。私はせっかくだし、インスタフォローできるくらい払おうかなと思ったんですが、インスタを自分がたまにしかチェックしないことに気づいたので、この本でいう「対価交換」という方法を取ることに。この本のことをこうしてブログ記事で紹介し、多くの人に伝えることを対価としてお返しすることにしました。
医療サービスについてのアイデア
本文に医療関連のアイデアでこんなものが載っていました。
1万円の予算で20人のお医者さんから診断してもらう
レントゲンなどの画像を見たお医者さんが「これは異常」「これは正常」みたいな診断をつける、というアイデアです。何人のお医者さんが正常と言っている、みたいな%が出るので、20人全員が正常、だったらかなり安心できますよね。お医者さんにはクイック診断するだけで500円の報酬が入ると。ちょっぴりうれしいお小遣いになるやつですね。「電子画像は画像の精度が低い」「臨床は本人を見ないと診断できない」とかもっともな意見はあるんですが、このアイデアで一番いいな、と思ったのは「責任をみんなでもてること」です。みなさん、医者の自殺率が高いことは聞いたことがあるでしょうか?こちらの「知られざる医師の実態」記事では、「医師の自殺率を日本の全体の自殺率と比べるとなんと30%も多くなっています」と書かれていますね。具体的な数値と調べた年などが書かれていないのでなんともですが、医師や獣医師の自殺率の高さについての記事は調べるとけっこう出てきます。アメリカでの自殺率が高い職業リストは2018年版が出ているようで、男性は建設、採掘関係、女性は芸術、デザイン系、エンタメ、スポーツ、メディア関係だそうです。あ・・芸術w
✓ 参考リンク 医師の自殺はなぜ多いのか?(2013年の記事) 4人に1人が「うつ」になる世界で「医者」を殺さないために(2014年の記事)
自殺率が高いかどうかはともかく、医療みたいに一つのミスで誰かの命を落としてしまうようなものに関しては、責任を分散化させたほうが、一人にかかるプレッシャーが減らせると思うんですね。たとえば、車に不備があって事故を起こした場合、エンジニア一人の責任なわけではないですよね? 責任が分散化されたら、ちゃんと仕事しないんじゃないかっていう疑問も生まれるでしょうが、分散してくれたほうが能力を発揮できる人と、プレッシャーがかかったほうが能力を発揮できる人がいると思うのです。医者の給与は知りませんが、たとえば獣医の給料ってぜんぜん高くないんですよ。ふつうに働いてた時は、ハイシーズン(春~夏)で12~14時間くらいは普通に働いていたし(中休みが2時間くらいあるけど、病院内に拘束されている)、冬でも拘束時間は12時間が普通。うんこおしっこにまみれているから、家に帰っても手に臭いがついてることも多々あるし。連休で休んだことなんて、インフルエンザに罹ったときだけでした。こちらによると、平均年収は600万円になってましたね。病院の規模によりますが、ふつうの勤務医でこんなにもらえてるとはあんまり思わないけど、どうなんですかね笑。専門職だけど、地道に働いてても給料が爆発的に上がるなんてありえないし、IT関係でもっと稼いでいる人、山ほどいるよね。
個人個人の能力の差ではなく、医療全体の質というのを考えたとき、「医者が途中でリタイアしない」っていうのは非常に重要なんです(ってリタイアしている元獣医の身で言ってますが)。ほかの仕事でもそうかなって思いますが、経験を積んでくると、感覚的に察知する部分っていうのが、どんどん大きくなってきます。基本的な治療アプローチみたいなのはあるけど、病気がどう進行していくかっていうのは、その人ごとに違う。動物の場合は種類もたくさんなので、より違くなるわけです。そういうとき、多くの経験を積んでいる医師が医療業界に多く残っているのって強いと思うんですよね。医療の質を社会全体で考えたときね。できることが増えれば増えるほど、ミスによるリスクも高くなるのが医療。そのプレッシャーを分散し、責任を医師全体でもてれば、続けていける医師も増えるんじゃないかなって思うんです。また、こういうアプリに診断でなく、「実習」的に参加できたら、医学生やリタイアした医師、子育てで一時的に臨床を離れている医師たちが遠隔でもリアルタイムに学びつづけられるんじゃないかなと。
ちなみにアメリカなんかでは、医師は2~3年ごとに更新試験を受けないといけないですが、日本ではそういう制度はないので、そういう意味でも「責任の分散化」「遠隔研修」は医療業界全体を育てるかなと思ったのでした。
光本さんの人生も含め、すごく面白い本だったので、「実験思考」は、ほんとにおすすめですよ!Kindleなら0円ですしね^^
みじんこは、思考停止してるよ!ヽ(=´▽`=)ノ