今日は、ロサンゼルスのBroadという美術館とニューヨークのWhitney美術館で展示してた作品と合わせてご紹介しますよ!
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アメリカを代表するポップアーティスト、キース・へリング。調べてみたら、1990年に31歳で亡くなったんですね、すごく若いしかなり最近!1988年にエイズと診断され、財団を設立するとともに、アートを通じてHIVやエイズ予防を訴え続けています。
✓ 参考リンク キース・ヘリングについて | 中村キース・へリング美術館
✓ 参考リンク Keith Haring – Bio | The Broad
キースへリングはかなり描き込んだ作品なんかものこしてるんですが、わりとあちこちで見かけるのは、こんな感じのポップな作品じゃないでしょうか。
✓ 参考リンク 「キース・へリング展 Keith Haring; Prints and other Works From Nakamura Keith Haring Collection」
すごく親しみやすいですよね。美術史の知識があるとかないとかに関係なく、なんかかわいいし、なんとなく分かるし、色合いも明るいし楽しめる。キースへリングの作品は、概念を記号化したもの、と考えることもできます。2016年にドコモの絵文字がMoMAにコレクションとして収蔵されたことが話題になったのですが、雨=傘マーク、よりもさらに複雑化した概念がアイコン化したらキース作品ぽくなるんじゃないかなぁと。
✓ 参考リンク MoMAがドコモのEmoji(絵文字)をコレクションに収蔵
たとえば差別だったり、貧困だったり、なんか深刻な社会問題を善意で語られてると、聞くのがしんどくなることってありませんか。いや、本当に差別とかなくなるといいなって思うんですが、「世界から差別をなくすために協力を!」「恵まれない子供たちに支援を!」と言われると、義務を感じて疲れてしまうんですよね。いいことなんだけど、いいことをしないといけないことに疲弊してしまうというか。
でも、キース・へリング作品から感じるエネルギーは一貫してポジティブなんですよね。グッズもたくさん出ていて、ファッション的に持ち歩くこともできます。でも、冷静に考えてみると、エイズって世界的に深刻な問題です。2018年末の段階で、3790万人の人がHIV陽性だというデータもありました。ただ、これを深刻に伝えようとするとやっぱり広がらない。エイズを撲滅するためにうんぬんとか、母子感染した子どもたちを救ってどうこうとか。素晴らしい事なんだけど、どっかで疲弊しちゃうと思うのです。それが、これだけポップでカラフルなキース作品やキースグッズだと、けっこう喜んで持てちゃうし、広げたくなっちゃう。すでにキースという存在自体がエイズ予防のアイコンみたいな感じになっているため、グッズを持つ人が増えるとそれだけで概念も無意識のうちに伝わっていきます。
概念が伝わって保持されるようになるって、けっこうすごいことだなぁと思うのですが、たとえば、目に見えない「ウイルス」をみんなが認識してるってすごくないですか?細菌やウイルスという概念がなかった時に「感染予防に手を洗おう!」とか言ってもふつうに変な人扱いだったと思うのですね。でも、今はみんな、見たことなくても「ウイルス」があるのだって分かってるから、ちゃんと予防する。みんなでウイルスという概念を共有できているっていうことです。
また、具体的な言語でなく概念で伝播していくことは、どこか優しいところがあるなと思っています。「差別反対!」っていうのは、そのとおりなんだけど、知らずに差別していたり、そういう教育の中で暮らす人たちに対する逆方向の差別につながってしまうこともありますよね。
言語化されてないけど、視覚化されている概念は、けっこうたくさん「解釈の余地」があって、それがどこかクッションみたいに作用してくれます。
キースの概念が記号化され、余白を伴って伝播し、概念を認識していない人たちの無意識や日常に入り込んで、世界中の人たちがもっている概念を少し変える。そうして共通の概念をもっていることが、今回のウイルス問題の時と同様に、どこかで見えない力になっているんじゃないかな、と思いましたよ。余談ですが、キースの存在が大きすぎて、黒くて均一な線で描かれた作品はみんなキースだと思われてしまう事件が海外あちこちで発生しています。
↑ キース作品
↓ Ouma作品
均一な線、密度がある、のキーワードに自作が当てはまっちゃう作家さんはお気をつけくださいませ。びっくりするほど「キースへリングでしょう!?私も好き!」と世界中で言われます。かなしみ。
✓ 合わせて読みたい 現代アーティストになりたい人のための~初心者の第一歩から海外展開まで役立ち記事まとめ
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みじんこは、伝わりたいよヽ(=´▽`=)ノ