良著を濃縮還元してお届けするみじんこブックレビュー。今回は内科医の日野原重明さんと、ちひろ美術館館長(当時)の松本猛さんとの対談本「アートを楽しむ生き方」から、
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作曲もやっていて音楽の道に進もうかと考えたこともある日野原さん。在学中に結核を患い、1年ほど療養していたこともあるという。『アートが病んだ人の心を癒し、生きる力を引き出すことをぼくは体験的に知っている。ひとのいのちをすこやかに保つのが医療の役割ならば、医療もまたサイエンスに基づく、癒しのアートであるべき』というのが日野原さんの言葉。アートセラピーは『人間を丸ごと捉え、言葉や医療だけではなく、アートの持つ力を使って、患者さんの体と心全体をよくしていくという理論』だと二人は語る。
松本猛さんは『科学は部分部分を細かく分けて研究していくものだけど、医療に関しては全体をみなくてはいけない、部分と全体、両方のバランスが必要だと日野原先生は言っていたが、絵も同じ』と言っています。
科学は確かに、非常に細部の謎を解き明かすものではあるけれども、その小さな発見が社会に影響を与えるのだから、社会との関係性を常に視野に入れておくというのは必要なことだと思うんですね。また、絵は細部と全体の両方を見ないといけない、とあるけれど、「絵1枚」であるなら、社会(世界)から比べたらその存在自体はごく一部の話になる。「アート」という言葉は、「絵」だけを指すわけではなくなった。細胞と世界の関係が相似になっているように、細部というのは実は全体を示しているのだと私は考えています。
つまり、世界はどこを切り取っても金太郎飴のように全体(あるいは細部)でできているということ。
みじんこは、世界と同じだよ!ヽ(=´▽`=)ノ