臨床獣医時代に、病理の専門医になりたかった私。なんと、その病理医が主人公の漫画を発見しましたよ!臨床医に比べたらだいぶ地味感がある専門職なのに、ここにスポットライトを当てるってすごいですね。Kindleで無料で2巻まで読めるので、ぜひこの機にオススメしたく記事にしました!
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病理医とは?
日本病理学会のサイトによると、病理医の本業は『病理解剖(剖検)』、『組織診断(生検および手術材料)』、『細胞診断』 簡単にいうと、顕微鏡を見てどんな病気かを診断する専門家です。臨床領域だと腫瘍なのか腫瘍でないのか、腫瘍ならば種類は何か、悪性度はどのくらいか、などを診断し、臨床医の治療の指針にするものです。
獣医領域だと病理解剖は通常、大学任せ。組織診断は手術後に専門の会社に送るようになります。臨床医が診るのは細胞診断ですが、これも診断が難しいので、判断がつかない細胞が出ている場合には専門医に送って診断をつけてもらいます。
✓ 参考リンク 日本病理学会のサイト
漫画を読んでて興味深かったのは、手術中の診断があることですね。腫瘍切除の組織診断で重要なのは腫瘍の種類、悪性度以外に「ちゃんと採りきれているか」というのがあります。切除し切れてなければ再手術になっちゃいますから。それを手術中にやるというのは、なかなか獣医領域では見られないですね。(動物病院の規模では専門医が病院内にいない。腫瘍切除は基本的に余裕をもって行うが、腫瘍によっては腫瘍の辺縁から何センチ、深さ何センチの切除が必要、と決まっているものもある)
漫画の中で、3回も検査をしているのに明確な病理診断が下りず、臨床医が可能性の高い病気を疑って治療を始めるケースがありました。病理医側から見ると、はっきりした初見が出ていないのに診断を下すことはもちろんできないし、かといって臨床医としては患者さんからの「検査したのにまだ分かんないの。。」という不安感を浴びないといけないし、早く治療を始めて安心させたいという気持ちもある。どちらの気持ちも分かってなんかヤキモキしました笑。
私の師匠だった病理医の先生がよく「鑑別診断を出せ」と言っていました。統計的になりやすい、若くてできる、などの条件を考えながら、鑑別診断に上がった病気を一つ一つ除外していく。細胞・組織、臨床所見から身体に何が起こっていくのか探っていく。それにしても、「組織診の顔つき」というセリフは本当に病理医のセリフ。私の初期の絵に顔がいっぱい描かれてますけど、細胞にも顔つきがあるんですよ!笑
内容がかなり専門的なので、楽しく読みたいなら「はたらく細胞」がおススメですが、医療のおもしろさ、奥深さをのぞきたい人にはおススメの一冊です^^!
みじんこは、専門職だよ!ヽ(=´▽`=)ノ