ヘレン・ケラーは汗の匂いでその人の性格が分かったんだそうです。障がいの話を聞くほど、人間の脳の可能性を知り、嬉しくなります。今回のみじんこ体験は獨協大学工藤ゼミの学生さんたちが主催した障がい体験イベントの参加レポートです。障がいを持つ方と直接話す機会って意外とない。自分と違う生き方をしている人たちと同じ目線でじっくり話す機会があるというのは、学ぶところの多いことですね。
クラウドファンディングで見つけた視覚・聴覚障がいの体験イベント
クラウドファンディング研究家として、いろんなプラットフォームの案件を調査していて見つけたプロジェクト。もともと「障がい」の体験に興味があったこともあり、見つけて即応募しました!
イベントでは目隠しして食事をしたり、耳栓をしてゲーム感覚で他の人と意思疎通をはかったり、障がいを日常的な場面の中で体験できるように工夫されており、非常に興味深いイベントとなっていました。
全体の感想を一言で言うと「思ったより普通」でした。感じ方は人によると思いますが、聴覚障がい、視覚障がいがあっても、大きく変わることは何もないんじゃないか、というのが私の感想です。
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「聞こえない」状態で知ること
聴覚障がい体験では、砂嵐の音が聞こえる部屋で耳栓をして対話。筆談を使わずに伝達ゲームをしながら、参加者同士でコミュニケーションしました。口パクでも意外と内容が分かるんですよね、これが面白かった。
私が一緒になった班の方は手話サークルの方などが多く、非障がい者の方も手話がかなり使えていたので、最初は私だけ海外にいるような感じになってしまいましたが、アテンドしてくださった聴覚障害者の方がまんべんなく声をかけてくださり、さみしい思いもせずにすみました。一番若い学生さんは、すごくいろいろ身振り手振りをしていたので、手話ができるのかと思っていたら、全部ジェスチャーで手話ではなかったんだそうです。「伝えたい」「分かりたい」って思った時、手話や言語はツールに過ぎず、他にどんな手段でも使うことができるんだな、と気づかされました。
また、聴覚障がい者の方は顔の表情や動きで伝えようとされるので、非常に表情が豊かだと感じました。
「見えない」状態で知ること
視覚障がい体験では、サポーターさんがついた状態で白杖を使っての移動から暗闇の中でのお食事体験まで。
ダイアログ・イン・ザ・ダークをご存知ですか?完全に光を遮断した空間の中で、視覚障がい者のアテンドさんの導きによって味わう暗闇のソーシャルエンターテインメントです。完全なる暗闇の中で飲むジンジャーエールに鮮やかな印象を抱き、五感で感じられることの美しさみたいなものを知りました。私はそれに参加したことがあったせいか、暗闇に対する恐怖や不安は全くなく、出された食事も完食、暗闇の中で白杖を持って1人で歩くときも、サポーターの方が驚くほど、さくさく歩いていました。
ただ、飲みものを注ぐのは難しかったです。指を少しコップに入れて、指先に液体が触れるところでやめるのですが、簡単にあふれそうになる。視覚障がいの方でも熱いものは難しいし、人にやってもらうと言ってました。また、小銭などは手探りでは非常に判別がつきにくかったですね。モノの位置を伝えるときは、時計のX時の方角にあるよ、と伝えるのが一般的のようです。確かに分かりやすい^^
✓ 関連リンク ダイアログ・イン・ザ・ダーク
障がい者との「対話」~障がいがあってよかった!と思うこととは?
イベント終了後、2人の視覚障がい者の方とお話しさせていただいた時、「障がいがあってよかったことってありますか?」と伺ってみました。
「それはね、いっぱいあるんです」
最初の男性の方に質問した時に返ってきた答えがこちらでした。お二方とも、病気で数年前から見えなくなった方だったので、直後はとても大変だったそうです。男性の方は、見えなくなった直後、施設で目が見えなくても生活できるようになるリハビリを行ったんだそうです。その際、洗濯機に入っているものがすべてちゃんと取りきれるように、手で槽内をくまなく触れて探し、端に張り付いていた靴下を発見できることが嬉しい、と言っていました。
「自分の時間が増えた。目が見えないだけで他は同じ」
女性の方は病気になるまで、非常に忙しく、仕事に追われて暮らしていたんだそうです。本来ポジティブで明るい性格だった彼女は現在、卓球(サウンドテーブルテニス)をやったり、バリアフリー映画を見たり、人生を楽しんでおられるのだとか。目が見えないってだけで、他は変わらないからね。明るく話される女性の笑顔が印象的で、もっと話したいのに時間が足りないって思っちゃいました。
「対話」する場所があることの大切さ
その障がいがない立場である時、「障がい者にこれは聞いてはいけない」「障がい者の障害の部分を見てはいけない」などの思いが心をよぎりませんか?
数人ですが、私が今までに出会った障がいを持った方で、障がいの程度やなぜなったのかなどを詳しく聞かれて嫌がった方はいませんでした。ですが、「その障がいがない」立場からすると、どこを気を使ったらいいのか、全然わからない、というのが本音なのではないでしょうか。
今回、主催してくれた獨協大学工藤ゼミの学生さんたちも「対話」を最も重要視されていて、障がい者、非障がい者の間で対話する時間を設けてくれました。その中でこんな風にしてくれたら嬉しい!という障がい者の方からの言葉を伺ってきたので、今後、みなさんが障がい者と接することがあった時には、参考にしていただけたら嬉しいです。
名前を言ってから声をかけてくれると嬉しい
視覚障がいがあると、誰が自分に向かって話しかけているのかがわかりません。電話している声に反応してしまったり、隣の人に話しかけたりしているのを、自分への呼びかけと誤解してしまって気まずい思いをすることも多いんだそうです。「○○さん」という呼びかけが先にあるだけで、コミュニケーションがスムーズになります。一言、名前の呼びかけができるといいですね!
白杖を持っていても障がいがあることに気づいてもらえない
びっくりしましたが、白杖は視覚障がいの方が持っているものだと知らない方が、世の中には多いんだそうです。そのため、白杖を持ってゆっくり歩いていると、早く行けと責められることもあるんだとか。白杖に対する認知がもう少し進んだら、お互いに配慮しあえるのかもしれません。
手伝いましょうか?の声かけが嬉しい
親切って照れくさかったりしますよね。また、親切にしたつもりが余計なお世話だったらやだな、とか気兼ねしちゃうこともあると思います。でもやっぱり、「伝えないと分からない」んですよね。今後、困ってる方を見かけたら、自分もなるべく、声をかけるように心がけますね^^
今回、イベントに参加して一番よかったことは、「障がい者の方と直接お話しする機会をいただけたこと」です。障がいは障がいを持つ人だけの物事ではなく、社会全体の物事なんですよね。なぜなら、今、障がいがなくても、病気や事故でなんらかの障害を負う可能性はすべての人にあるからです。みなで少しずつでも意識する姿勢が持てたら。交流できることで前よりもっと障がいと障がい者という存在が、自分の身近なものになりました。主催してくださった獨協大学工藤ゼミのみなさん、お疲れ様でした!また、素晴らしい企画をありがとうございます。
「障がい」については以前、自立支援プロジェクトに関わるJICAの方のインタビューを記事にしたことがありますので、こちらもご参考に^^
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みじんこは、みんなのFun!をすくすく育てる体験を実行します!ヽ(=´▽`=)ノ