ArtStickerから、鮫島 弓起雄さんの作品をStickerさせていただきました。
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この作品の一番興味深いところは、「モノクロって言われてるからモノクロに見える」というところです。タイトルが『モノクローム-ユリ理容室』ですし、作品も理容室を斜めに半分モノクロにしたような感じに見えます。
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わー、モノクロとカラーを半分ずつ同時に体験できるなんておもしろい!と思ったのですが、よく考えてみると、完全に「モノクロ」の世界をつくるとしたら、バーチャルリアリティの世界でないと難しいんじゃないかなと思ったのです。
今、目の前にあるモノクロっぽいものを丁寧に見てみると、それらは完全にモノクロなわけではありません。よく見るとオレンジの光が混ざってたり、近くにある赤い色をわずかに反射していたり。 実際の作品も、モノクロ写真と比べるとモノクロ部分もかなり色が多いですよね。それでもモノクロだと言われると、モノクロな気がしてしまいます。カラーとモノクロの世界が混在しているように見えてしまう。
『モノクローム-ユリ理容室』の中では、モノクロとカラーの世界を選ぶことができ、それぞれの中で自分の気分がどう動かされるかを知ることができそうです。でも、私がもっと興味深く感じたのは「モノクロ」と言われているから「モノクロ」だと思っているんじゃないかということです。
モノクロとカラーの世界をそれぞれ一瞬で切り替えながら体験するのであれば、たぶん、VRの世界ならすぐです。完全なモノクロが視覚体験できると思います。設定によってすぐにできる分、「中途半端にモノクロ」の場合は「中途半端にモノクロ」だと認識しやすいと思うのですね。
でも、実在としてあった場合、厳格に彩度をコントロールできるわけではなく、「モノクロ風」と「カラー」ができあがることになります。
それを私たちは約束事として「モノクロ」だと思って見ます。
モノクロだとしましょう。
青だとしましょう。
透明だとしましょう。
カラフルだとしましょう。
「ゾウ、イラスト」で検索すると灰色か青い色のゾウがいっぱい出てきますが、実際のゾウって青じゃないですよね。ウサギは白が多いけど、ピンクで描かれてることも多いです。リアルにピンクなウサギがいたらそこそこ怖いです。 リアルなピンクウサギは見たことがないけど、イラストでピンクのウサギはよく見かけるので、特におかしい感じはしません。
上海のアーティスト・イン・レジデンスに参加した時に同期だったスイス人のアーティストで、ニキさんという方がいます。
彼女は本人もピンクなんですが、ピンクをモチーフにした作家で、とにかくピンクについて追及しまくっています。その彼女が言っていたのですが、ある刑務所の壁を一部ピンクに塗ったところ、受刑者の性格が穏和になったという研究結果があるそうです。 興奮を誘う色、気持ちを落ち着かせる色。意識をしていなくても、色によって私たちは感情を揺さぶられてるんですよね。 ということは、周りに置く色を選ぶ、あるいは特定の色を排除しないということは、実は自分自身の性質を選んでいることに等しいのではないかと思ったのです。
リアルでいたらコワイですが、ピンクのうさぎはぬいぐるみやイラストならとっても可愛い気がします。私は、いつの間にか色にまつわる約束事を身に着けていて、それらが自分に影響を与えていることに気づかずに生活しています。
金色に塗られていると高級な気がしてしまいませんか。色やデザイン、材質を通じて常に教育されつづけている中で、私自身が色から感じるイメージは本当に私が感じていることなのでしょうか。
もしかしたら「カラーだとにぎやかで楽しい感じがするよね」と教え込まれたからそう感じているだけなのかもしれません。学んできてしまった色のイメージを抜きにして、色を通じて自分自身を開拓したくなるような作品でした。
今日も読んでいただきありがとうございました!
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みじんこは、にぎやかな感じだよ!ヽ(=´▽`=)ノ