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SICFやタグボートアートフェア、書道系フェアを通じてアーティストとしての生き残りを考える

  • 9月 30 / 2020
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みじんこアート

SICFやタグボートアートフェア、書道系フェアを通じてアーティストとしての生き残りを考える

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改めて、SICF21にいらしてくださったみなさん、ありがとうございました!私は初出展・初参加だったのですが、若いお客さんがすごく多くておもしろかったですね。
獣医からアーティストになってしまった身として、どんな考えで参加したかというのを詳しくご紹介したいなと思います!今後、アーティストとしてやっていきたいという方の参考になれば幸いです。

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SICFに参加するなら学生が有利

SICFは出展審査アリ(倍率は3~4倍くらい)のブース展示の展覧会で、ジャンルは現代アートに限らずさまざまです。サイトにあるように、若手の発掘・育成・支援が目的なんですね。

東京・南青山にある「スパイラル」が若手作家の発掘・育成・支援を目的として2000年から開催しているアートフェスティバルです。

合わせて読みたい  出展者作品紹介 | SICF

審査座談会をよく聞いていると、「学生」「高校中退」みたいな言葉が審査員から頻出していますよね。スパイラルとパートナーになれるかという視点とともに、若手になるべく希望とチャンスをという視点が審査員の中にもはっきり組み込まれていることが分かります。

自分が選ばれなかったひがみもぜんぜんあるんですが、たぶん、草間彌生さんが出しても大賞は取れないと思うのです。育成される若手じゃないからですね。なので賞を狙うのであれば、学生や年齢が若いほうが有利で、自分が学生だったら学生のうちは毎年出します。

ちなみに、コロナの状況でお客さんの入りが少ないことが予想できたのに、ブース費用出して出すことに決めたのは「出展者のキャンセルにより賞レースの競争率が下がるから」です。実際、いつものSICFは150組出展なのに、今回85組で賞数は変わらないので、競争率は通常より低かったですよね。
私は確率論で自分が通りやすい道を探して通っていくタイプなので、裏でこういうことを考えながら、何に時間とコストをかけるかを考えています。

SICFは初参加だったので通常時の人の入りは自分には分からなかったんですが、毎年参加されてるお客さまによると、ふだんは人でぎっしぎしなんですって。今年は入場制限がかかり、さらに1時間の入れ替え制だったので、全ブースをじっくり見て回るというのはかなり厳しい感じでした。(45ブースを60分でまわるとしても、1ブース1~2分。17時半とかにきてしまうと30分で全ブースまわることになる)

お客さんにとっては、空いてるほうが絶対いいですが、作家としては圧倒的に機会損失です。(音楽ライブとか舞台、映画館とかの苦労が身に染みて分かりました)

現地に来られない作家さんが不利にならないようにと今年のSICFではオンラインビューイングが用意されていて、ブースにも「この時間にオンラインで作家と話せます」みたいなのが掲示されてたんですが、正直、見る側に時間がなさすぎてその時間をメモっておくとかぜんぜんできないなぁと思いました。スタッフさんたちが頑張ってくださったのは本当にありがたいんですが、リアルにそこにいる作家とオンラインで所定の時間だけ話せる作家で、どっちが出会いのチャンスが多いかって考えたらやっぱりリアルですよね。

緊急事態宣言以降、ギャラリーオープニングは中止になったところが多く、それはお客様の健康と安全を守るために必要なことなんですが、やっぱりきつい。特にこれから出ていく若手にとっては大打撃だと思われます。(誰かの個展のオープニングに行ってギャラリストや作家と直接話すことができなくなるため、もともと細いチャンスがさらに皆無になる)

SICFは21年もやってるイベントで、イベント自体のファンが多い印象だったので、通常時はお客さんとの出会いはかなり楽しめそうな気がしました。出展者も若いですが、お客さんも若い方がめちゃくちゃ多かったんですね。

未来は若い側にあると思っているので、若い人たちの作品や考えに触れられる貴重な機会なので、また見に行きたいなと思っています。出展はたぶんもうしません。これは自分が受賞に絡む確率が低そうだという判断ですが、まったく出したことがない人は、一度は出してみることをお勧めします!SICFは出展が選抜性なので、出せてるだけでちょっとイメージいいかなーっていうのもあります^^
あ、あと外国人のお客さまもいらっしゃいましたね。モンゴル出身の方、上海出身の方に私の作品をとても喜んでもらえ、故郷の家族に連絡する!と言っていただけました。(それぞれの国の写真を使っているため)

作品販売については、かなり安い作品でもぜんぜん売れてなかったようなので、学生だったら売るよりも賞狙いの作品を出してポートフォリオの充実と次のチャンス狙いをするのもいいかも。

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平常時はもっと売れるんですかね?わかりません。

売りにくいジャンルの作家はタグボート狙いがおすすめ

年末のタグボートアートフェアもブース展示なのですが、こちらはアンデパンダン形式で誰でも出せます。

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私はすでにタグボートさんで取扱いしていただいているのでこれには出さないのですが、もし学生じゃなく無名でどっかに見つかりたいーっていう場合にはこちらに出してタグボートの取り扱いを狙います。 賞はグランプリのみですが、賞よりもギャラリストとの出会いの多さが多いところが無名アーティストには大事で、これが多いということは次のステップへのチャンスが多いってことなんですね。
こちらのフェアでは「会場では約 30 人の著名ギャラリストなどによる審査を予定」と書かれているように、アート関係者を積極的に誘致しているんです。

つまり、賞がとれなくても選抜展に選ばれなくても、来てくれたギャラリストの1人が気に入ってくれれば、そこから企画展(レンタルギャラリーでなくギャラリー主催の展示)のオファーにつながることがあるので、実はチャンスが多いんですよね。 ギャラリーの取り扱いって基本的に「オーナーの好み(一存)」で決まることが多く、ギャラリーオーナーの好みってそれぞれ違うので、いろんな人を呼んでくれるってことは、それだけ自分の作風とあうギャラリストとの出会いが多いってことになります。すぐに取扱いでなくても、グループ展で一回試してみようとか言ってもらえるのもチャンスですからね。
ちなみに、私みたいにインスタレーションがメインだったり、パフォーマンスがメインだったりする作家は、タグボートでの取り扱いを狙うのがおすすめです。 インスタレーション、パフォーマンス系の作品ってもともと売るのがすごく難しいです。お金もらえるとしたら美術館展示やアートイベントへの招待だと思うのですが、実績としてのポートフォリオがないと、なかなかそういう話につながりません。

合わせて読みたい  「TAGBOAT × 百段階段」展 ~文化財と出会う現代アート~ | tagboat

もともとオンラインギャラリーとして12年もやっているタグボートですが、数年前からリアルギャラリーを開設するとともに、リアルでの大型イベント主催にかなり力を入れているんですね。
タグボート取扱いになっているとこういう展示に無料参加させてもらえるので、実績ができるともにポートフォリオ写真が撮りやすいんです。「売る」だけでなく、発表の場があるっていうのも、アーティストにとってはすごくメリットなんですね。特にもともと売りにくい系の作家にとっては、「場」がとても大事。

大型インスタレーションをつくる作家は、室内ではできないような大型展示を発表し、その写真をポートフォリオにして次のチャンスにつなげていくので、「場」を提供してもらえるのはすごくありがたいのです。
私は海外レジデンスに参加して作品発表しながら、ポートフォリオをつくっていましたが、コロナの影響で海外行きがそこそこ厳しくなっています。国内で「場」を提供してもらえるチャンスが多く、インスタレーションやパフォーマンス系など、通常売りにくい作家も総合的に推してくれるギャラリーってなかなかないので、平面じゃない作家さんには特にチャンスだなぁと思っています。

SICFも通常は150組が今年は85組。ほぼ半減です。タグボートアートフェアは今年は出展料が安くなっているんですが、同じように出展者数が減っているとしたら、ギャラリストに見つかる可能性は上がると思われます。お客さんとの出会いのチャンスは確かに減ってしまうのですが、選抜展への出展やギャラリストとの出会いのチャンスは上がるので、私がどこからも取り扱いがなければ、まずは後者狙いで出します。

タグボート取扱いは目に見える以外のメリットがある

実際の取り扱いアーティストとして少しウラ話をすると、タグボートの代表の徳光さんが足を使って泥臭くコネクションをつくりまくっているので、タグボートの取り扱いになっていると、目に見えていない部分のメリットがすごくあるのです。
2018年頃、私は上海のアーティスト・イン・レジデンスに半年間参加していたんですが、その時に上海のギャラリストさんを徳光さん経由でご紹介いただき、そのギャラリストさんがキュレーションする成都藍頂美術館での展覧会に出展させていただけたことがありました。

↓ 展示内容はこちら。

合わせて読みたい  成都藍頂美術館

その後もそのギャラリストさんのギャラリーでの企画展に呼んでいただけてるんですが、もともとのきっかけは徳光さんの紹介です。

最近、noteでめちゃくちゃ読まれてるデンマークのアートコレクターさんのおはなしですが、このコレクターさんとコペンハーゲンの家は本当にあって、実は徳光さんのご紹介です。(物語中ではレジデンス先のアーティストさんが紹介してくれたことにしています)

こちらの記事でまとめた文化助成金の情報も徳光さんからタグボートアーティストにシェアされていたために、一次募集から応募できました。(差戻が多かったので、申請が下りるまでは時間かかりましたが、、)

あとは2020年9月27日にアートコレクターの集まる「ワンピース倶楽部」でのオークションイベントに出展させていただくんですが、こちらも徳光さんのご紹介です。

合わせて読みたい  第13期ワンピース倶楽部展「はじめてかもしれない」

ほかにもテレビで取扱いアーティストを紹介するなど、いろんな手段を使って作家を推してくれています。それでありながら、取扱いなんだから他で出しちゃダメという縛りがなく、かなり自由に自分で活動も広げられるので、相乗効果がすごくあるなぁと感じています。(ギャラリーによっては、販売エリアの他のギャラリーと契約しちゃダメとか、世界中どこで売ってもギャラリーが手数料を取るとか、縛られるケースもけっこうあります。縛られるのにギャラリーのプロモーションが弱いとアーティストはかなり苦労します)

あと、非常におもしろい特徴としては、ギャラリータグボートは取扱い作家の作品傾向が少ない(ほぼない)ギャラリーなんですね。通常、オーナーの名前を冠したギャラリーはオーナーの好みが出ることが多いです。その場合、好みに合わない作家は絶対にピックされないのですが、タグボートは意図的に特定の色が出ないように、オールジャンルの作家を取り扱ってるんですね。これは本当に全アーティストにチャンスがあるってことなのと、オールジャンルを取り扱うって大変なので、その分、作家をどうプロモーションしていくかの知見がギャラリーにたまりやすいんじゃないかと思っています。

書道系ならART SHODO FESTA

自分は書の人ではないので、ジャンル違いで出せないのですが、現代アートとしての書をやっていきたいという方に圧倒的にオススメなのはこちら。
現代アーティストで書家の山本尚志さんという、私がアートを始めたばかりの頃に出会っていろいろ教えてくださった作家さんがメインで動いてらっしゃるフェアです。

合わせて読みたい  ART SHODO FESTA

こちらはまだ出展者が少なく、山本さんの個別指導もかなり入ってると予想されるので、書のバックグラウンドがある現代アーティストだったら、絶対これがチャンス多いです。超おすすめ。

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こちらもこの会からギャラリー取扱いになったり、ギャラリーでの企画展に呼ばれる作家さんがとても多く、書系現代アーティストはかなり見つかりやすいです。

そんな感じでした!
海外アーティスト・イン・レジデンスは募集延期になったり、応募してたけど国内アーティストのみに制限がかかってしまったりしてるところもちょっぴりあります。
後追いでアートを始めて国内から攻めるって、その段階ですでに厳しいなぁと思うのですが、文化助成のイベントや推しのアーティストを残そうとする人たちもいるので、なんとかがんばっていきましょう!

今日も読んでいただきありがとうございました!

合わせて読みたい  みじんこの旅を応援できるショップ OumaのArtSticker ギャラリータグボートのOumaページ


みじんこは、がんばって生き残るよ!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「残りたいよっ。」
「生きたいよー」

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