最近、ギャラリーストーカーに気をつけようみたいな漫画がはやってるようで。かくいう私も、自分がアーティストになる大きなチャンスをくれた人からホテルに誘われたことがあります。もちろん断ったけどね。ただ、その人はその後も私の活動を応援してくれました。私もその後もお礼状は送り続け、メールで進捗のご連絡もしてたのですが、ある時から連絡が途絶えました。高齢だったので何かあったのかもしれません。
好きなことをやっている人は性別に関わらず輝いているもの。今日はアーティストのパトロン問題について考えてみました!
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そもそもギャラリーストーカーってなに?
ネット上にこんな画像が出ていて、かなり話題になってましたね!話の展開が上手で私も見入ってしまいました。キャラも可愛いし、悪魔の腕も謎!
(ギャラリーストーカー漫画を開きます)
明確な定義はないですが、「女性アーティスト目的でギャラリーに入りびたり、買う気もないのに接待を強要するような迷惑行為を繰り返す人」でしょうか。しかし、楽しいことの多い世の中で、自分の個展に足を運んでくれる人なのも確か。迷惑な人から自分の応援者へと変えるにはどうしたらいいのかを考えてみました。
嫌だと伝える、断る。
解決法は超シンプル。「それはできません」「お断りします」とはっきり言うこと。
冒頭の人は草間彌生のハプニングを例に出し、新たな発想が生まれるかもと言って誘ってきましたが、もちろんお断りしました。しかし、本当にお世話になってたのも確かだったので、その後も私はお礼状やお礼メールを出し続けました。結局、そういうことを言われたのは一度きり。この頃はまだ、自分にアートの知識も経験もまったくなかったので(2011年頃。UNAC TOKYOでの初個展(2013)よりだいぶ前です)おずおずと受け流したくらいでした。断わってからも悪い関係になるわけではなく、その後も応援してくれてたことは確かです^^
作品論評してくるのがイヤ?
ネットで見てたら「的外れな論評を延々と聞かせたがる」ところが困っていると。
いやいや、そんなん理論で一蹴でしょ。論評されるというのは、アーティストにとってはプレゼンのチャンスでもある。突っかかってくるなら公然とボコり倒せますよ、ヤッタネ!。分からないことを言われたらそこから学べばいいし、知識自慢したい人は結局、理論が破たんしてるので、そこを突いてボコればいいよね。相手が怒りだしたら「議論の途中で感情的になる人ってほんとは負けを自覚してるんですよね」でとどめです。
以前の記事にも書いたように、現代アートの作家はさまざまな意見にさらされて育ちます。言い返すためには自分も学んでないといけないし、言い返せなければそこから学べばいい。
ちなみに下記は実際に私の展示に来た「見知らぬ人」への回答集。議論にはなってないけど、実際に言ったことです。見知らぬ人に言うなんてって思うかもしれませんが、友だち相手の方が正直難しいです。見知らぬ人なんてもう二度と会わないんだから笑。
Guest「常識にとらわれる生き方をしたくなくてね」
Ouma「そう言ってる段階で常識にとらわれちゃってますよ」
この人は同じ日に二度きて、アートについて持論を展開していました。
Guest「そうじゃなくてね、ぼくは答えを知りたいんだ。こういう解釈でいいの?」
Ouma「いいえ、全然違います」
Guest「踏んでいいって言われても、ぼくは誰かの作品を踏みつけることはできないんだ」
Ouma「踏まなくていいですよ」
最後の人は別の作家の「顔が描かれた床を踏む」という作品について言及し、顔があると踏めないんだというのを繰り返していました。彼は「人の顔を踏めないなんて優しいですね」と言ってほしいだけ。それを「踏まないで作品も見ないで帰ればいいのでは?」というまっとうな回答をしてしまうのが、心ない返信の例です。
しかし、本心に気づかせるというのも、アーティストの存在意義です。人の顔を踏めない自分を優しいと思ってほしいのであれば、「人の顔を踏めないなんて優しいだろう?」と言えばいい。その心の裏には「誰かに褒めてもらいたい、優しい人だと思ってもらいたい」という心がある。だったら、遠回しなことをせずに、優しい人だと思ってもらえる行動を取ればいい。黙って毎日家の周りを掃除しているほうが、よっぽどそう思ってもらえる。本人の心も満たされるはず。
結局、アーティスト側も誠意をもって本心を伝えない限り、誰も幸せにならない。誰もが本心を覆い隠して暮らし続けてしまうのです。
✓ 参考リンク 新人作家に捧ぐ!アート通ぶるエセ目利きによくある5つの特徴
あとで酷評されるのがコワイ?
現在トップアーティストと言われる人のほとんどが、無名の自分よりはるかに痛烈な批評を受けて、それでもアートの世界に立っています。自分も彼らと同じ土俵に自分も立とうとしているのだと想像してみましょう。
2017年にニューヨークに行ったら、ガゴシアンギャラリーで作品展示中の作家が「批評家に自分の作品を酷評されて、全部捨てた」と言ってました。その後やっぱり作り直したようですが。セミナーの後にアーティストとして続けていく時に必要なことは何かと聞いたら「人の意見に惑わず、自分の作品をつくることだよ」という言葉をもらいました。
嫌な人に作品を買われて嬉しいか?
作家の河原温は作品を誰にでも売るわけではなく、買う人を試験したと言います。その試験に合格し、「デイト・ペインティング」を入手したのが日本有数のコレクター、佐藤辰美氏。無名の作家が「売らない」という選択肢をするのが難しいのは分かります。しかし、自分が売りたくない相手であれば、「売らない」という選択肢もあるのです。ギャラリーとの相談も必要ですが、自分の「この人には持ってもらいたくない」という気持ちを大事にしましょう。
✓ 参考リンク コレクター佐藤辰美氏について 石川康晴氏が語る「現代アート×ビジネス」が導く未来
応援を装って関わりたいだけな人もいる
世の中には応援を装って実際には応援してない人もいます。そういう人は個展に来ないのはもちろん、作家の個展情報のシェアもしません。もちろん活動経過も追ってないし、たまに見かけて「応援してるよ!」という言葉だけ残していく。作家が売れたら「昔から応援してたよー」と言いたいんでしょうが、こっちだってそんなん分かるよね?
ひどい時は自分の情報だけ個別メッセしてくるので、何度でも迷惑を伝えましょう。
作品を買わないけど応援したいという人もいる
作家は自分の作品を気に入ってる人かどうかはすぐ分かるものです。同時に、作品は好きでないけど、応援したいと思ってもらってることも分かる。
音楽活動を真剣にやってる友だちは応援したいけど、パンクロックは聞かない、だから買わない。でも応援はしたい。それと同じこと。応援したいと思ってくれる人たちは、作品購入に限らず、さまざまな形でちゃんと応援してくれるのです。
✓ 応援したい人がOumaにご馳走できるサイト→ みじんこショップ(ごはんだけでなく画材や本を買ってくれる人も!)
正直な気持ちを言って大丈夫!
自分にとって制作が大事なら、そう言って断わればいい。ちゃんと応援してくれる人は、断っても応援してくれるし、そうじゃない人はちゃんと離れてく。せっかくアーティストであることを選んだのです。自分の言葉を押し隠してどうする。自分自身だって自分の作品なのだから。だからアーティスト諸君、正直な気持ちを言って大丈夫、世界を信用するのだ!
✓ 合わせて読みたい 現代アートについて考える~初心者の第一歩から海外展開まで役立ち記事まとめ
間違うことはいっぱいある。失礼なことをしてしまうこともいっぱいある。そしたら、まずはちゃんと謝る。謝っても許してもらえないこともある。謝られても許せないこともある。それでも、ぶつかっていけばよいのです。
※ちなみに私は求められない限り、個展にお邪魔しても意見は言いません。のでご安心を!笑
みじんこは、今日もぶつかりつづけてます!ヽ(=´▽`=)ノ