海外でアート活動をする場合に必要なことはぶっちゃけ1点だけ。フレキシブルさ、これのみです。文化も習慣もいろいろ。相手に負担をかけすぎることなく、自分の活動も広げられるように、どんな場所であっても長く続く関係を築きたいものです^^
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1)海外での展覧会ではフレキシブルさが大事!
レジデンスの状況は場所によっていろいろ。終了時に展覧会があるところもあれば、制作のみのところもあります。
たとえばこのロシアの展示ではインストール時間が1時間、展覧会自体は2時間でした。もともと滞在も3週間と短かったので、1週間は時差ボケと戦いながら身体を整え、2週間目からペースをあげて制作していった感じ。このサイズを1時間で設置するのはなかなか大変で。手伝ってくれる人もたくさんいたのですが、英語で指示出しをするのがこの頃の自分にはまだ難しく、「あっ、そこちょっと違う、少し下げて。これはどう見えるかいったんこうして試したい」みたいなことをパパパっと言えなくてですね。。スタッフさんに「躊躇せずに全部頼んでいいから」って言われるんですが、うまく言えないので自分でやる、みたいな状況となりました。あとね、手伝ってくれる人もそんなにアート作品を丁寧に扱う感じがなかったのです。設置中に容赦なく踏み荒らしてビリビリになったり(V)o¥o(V)
しかし、そこはもともと「破けていいもの」としてつくっていたので事前の予測の範囲内。設置は30分!とか言われても、「そんなん無理っす!」ってならずにその場でできるだけのことをやるフレキシブルさはアーティストとして必要です。言われてたのと違う、言ってたことがやられてない、とかザラにあるのでね。今現在の状況から、じゃあどうするを組み立てていく。言うなれば、トラブルこそアーティストとしてのクリエイティビティを発揮するチャンスとも言えます。
2)事前に打ち合わせをしてオーバーワークを防ぐ
初の海外企画個展となったのがバルセロナでのレジデンス。ちゃんとサイズを測って始めずに目算でつくっていたため、作品サイズがギャラリーの「梁」のサイズと合わずに引っかかってしまうことが展覧会直前に判明。作品を切って縮小しようかとも考えたのですが、アーティストでもあるギャラリーオーナーのWernerさんが壁にワイヤーを通して吊るす方法を提案してくれて、そのようにすることに。インストールに十分な時間がかけられる時は現地スタッフとの打ち合わせを綿密に。バルセロナの時は壁に大穴を開けることになっちゃったので、オーナーは気にしてないけど、私が気にしたwwどこまでやって大丈夫なのかは事前に相談しておくことで先方にも負担をかけずにいい展覧会をつくっていけます。
フィンランドの1回目の展示の時は、この長い作品をどうやってきれいに展示するかアイデアがなく、美術館の専門スタッフにアイデアを出してもらいました。いつもはクリップで留めて展示していたのですが、ギャラリースペースは壁のみでクリップをひっかけたり、ワイヤーを垂らしたりするものがなかったんですね。この時はオープニングの10日前に相談し(日程はもっと早くから詰めてある)、展示用に注文した備品が届いたのが1週間前。2日くらいかけて準備できました。フィンランドでは特に、就業時間がしっかり守られているので、「いつでも相談していいから」と言われていても、なるべく休みの日に連絡したり就業時間オーバーしたりしないように気をつけました。仕方ない時もありますが、レジデンスアーティストなんだからやってもらって当然、という態度はしない。
これね、当たり前のようですが、アーティストによっては「自分たちは選ばれてるんだから、当然」という感じの人もいるんですよ。自分はまだまだペーペーなのを自覚してるのでね、手伝えることはやったり、手伝いましょうかと声をかけたりするほうです。もちろん、ライトのセッティングやテキストの翻訳など頼めるものはどんどん頼む。遠慮するっていうわけじゃないのです。「いい展覧会にしたい」という思いはどちらも同じなので、その中でお互いが心地よくやっていける状況を意識するということ^^。
3)撮影および触ることについての配慮を
中国での展覧会の場合、専門の美術スタッフが設置してくれるのが通常になります。だからアーティストは指示を出すくらい。一般の人が作品をかなり余裕で触ってくるので、作品が触られてマズイ人は事前に注意書きをする、進入禁止にするなど対処が必要です。
肖像権の配慮も国によってさまざま。アーティストと一緒に写真を撮りたがる人も多く、自分の写真が拡散されたくない場合には注意が必要です。中国、ルーマニア、タイ、スリランカ、フランスなどはあまり気にしないようで、気にしない国の人たちは「撮っていい?」と聞いてくることもなく撮った写真をSNSにもアップしていきます。子どもの写真でも気にしないところもあるので、自分あるいは家族が気にする派の場合は気をつけましょう^^
アーティスト・イン・レジデンスに参加する場合、場所によっては終了時にフィードバックを返すところもあります。いいところや改善点を伝えるものですね。そうはいってもうまくいかないこともあるだろうし、気になることがあればレジデンスが終わる前に主張しましょう。お互いに違うバックグラウンドがあるからこそ、伝えないと分からないこともいっぱいです。私もコミュニケーションが上手な方ではないですが、コミュニケーションも失敗しないと上手にはならないですからね^^。勇気を出してちゃんと伝える、大事。
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みじんこは、フレキシブルに生きます!ヽ(=´▽`=)ノ