良著を濃縮還元してお届けするみじんこブックレビュー。今日は『難聴者と中途失聴者の心理学》』。聴覚障がいがあるとどんな困ったことがあるのかというのをまとめた本を読みました。
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すごく興味深かったのは、アメリカの障がい者法「Americans with Disabilities Act of 1990」の考え方です。この法の下では、目の見えない人が横断歩道を渡る時に苦労してそうなのを助けないのは差別だと考えるようです。
耳が遠くなったおばあちゃんが家族と一緒にテレビを見ていた時、家族がテレビで笑ってたのに、おばあちゃんだけ聞こえなくて分からなかったとします。おばあちゃんが家族に聞いても「大したことないよ」と言って教えてくれなかったっていうことも、差別にあたるんですって。
おばあちゃんとテレビの例だと「重要なことじゃないし、わざわざ訳さなくても」って思ってしまいそうなんですが、情報から疎外されてアクセスできない状態になっていることを差別と考えるようなのです。情報は基本的人権に含まれる、ということですね。
この法律の具体例や、1990年の法律なのでその後の発展などは分からないのですが(誰か分かったら教えてください)、これが「差別だ」という意識になるかならないかで、自分のふだんの振る舞いが大きく変わると思うのです。 差別する側ってなりたくないじゃないですか。「あいつ、差別してるー」って言われたくない。だからそういう意識があったら、分かんないでいる人たちをもっと積極的にサポートしたいと思いますし、自分が分かんない側だったとしても、強めに主張できそうな気がします。
そのほか、本書から学んだことをまとめました。
難聴、聴覚障がいの問題点
聞こえに問題があることが外から分かりにくい。
毎回新しい人に会うたびに「聞こえないです」って言うのもストレスですよね。また、これって海外で外国語を話してる時に近いと思うのですが、「英語うまくないんです」って言った瞬間はゆっくり話してくれますが、けっこうすぐ忘れられちゃうんですよね。
でも、こっちからすると何度もお願いしにくいので、音声入力しながら話してもらうとか、なんか技術的にカバーできないときつそうです。
難聴者の悩み
聞こえないから返事をしなかっただけでも、無視したと誤解される。
聞き返しを能力が低いと思われる。
聞き返しすぎて相手が「もういいよ」となる。
同時通訳をわがままと思われる。
聞こえないより聞き取れないことがストレスだと理解されない。
障がい者であることを伝えることに抵抗がある。
難聴と心の状態
著者さんが行った大人の難聴者を対象とした調査では、難聴が重いほど心の状態が悪いというわけではない。身体障がい手帳をもっていない難聴者のほうがうつの程度が高い。
完全に聞こえなければフォローしてくれるけど、ちょっと聞こえないようなレベルだと、周りのフォローが少ないかもしれないですね。 英語もすっごくヘタだとなんとかしてくれやすいですが、そこそこ話せたりすると、分かんないよって繰り返し言っても気を使ってもらいにくいっていうことがあります。 たぶん、似た感じかなぁと思うのですが、ちょっと分かるだけに分かってもらいにくい。テクノロジーでカバーするとともに、違いをお互いに感じ取れるといいですよね。
社会は口語優位
難聴であることで「普通と違う」「劣っている」と見なされてしまう。
生まれながら聴覚に障がいがあると、言葉がうまく話せないことが多いので、それで知能まで劣っているとみられてしまう話をほかにも聞いたことがあります。
劣っていると思われることと同様に、劣っているとみてしまうことも不幸な気がするんですよね。優劣って状況によってぜんぜん変わるので、優劣で物事を考えるクセがついてしまうと、自分が劣に分類されることに怯えるクセがつきそうな気がするのです。
適性を考えて、適切な場所に移動すること、自分が適していることに気づきやすく、適した場所を見つけやすく移動しやすくするには、なにが必要なんだろうなぁと考えています。
あんまりまとまらない話が続いていますが、ここまで読んでいただきありがとうございます!
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みじんこは耳がないよ!ヽ(=´▽`=)ノ