良著を濃縮還元してお届けするみじんこブックレビュー。『言語化力』から、現代アーティストという職業と照らし合わせながら考えてみました。
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スタンスを決める
三浦崇宏さんの著作、『言語化力』読みました!一番おもしろかったところは、言語化する前に「自分のスタンスを決める」っていうことです。これは、アーティストでいうと「ステートメント」に近いものかなと思っています。
1)スタンスを決める
スタンスを決めるととてもいいのが、対応について考える時間が短くなるということですね。挑戦する人を応援する、って決めたら、どんな挑戦でも応援する。たとえ「腕に耳を移植する」みたいな挑戦でも応援すると決めるのです。
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アーティストの場合は、スタンス=ステートメントということもできますが、もっと簡単に「キーワード」を決める、とかが分かりやすいかなぁと思いました。
たとえばジェームズ・タレルって「光」な感じしますよね。ダミアン・ハーストは「死」とか「生命」な感じ。アレクサンダー・カルダーは「幾何学」とか。自分にキーワードを決めれば、いつもその立ち位置から作品を考えられます。基準のキーワードをもとに、ちょっとずつキーワードを増やしていくと、それが徐々に個性になっていく気もしますね。
たとえば、生命だけだと言ってる人はたくさんいるけど、生命×細胞×医療×治療×物語、とかだと、どんどん競合が少なくなる気がしますよね。
作品をつくりつづけながら、軸としてのキーワードを1つ決め、そこから周辺領域としてワードを増やしていくんですが、第一想起となるキーワードは変えずに行くと、いずれキーワード=自分になっていき、それがオリジナリティをつくるんじゃないかと今は考えています。
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Ouma(オーマ)の場合は「細胞」です。生命とか治療とかも「細胞」を基準に広がっています。
2)どんな変化を起こすかを定義する
言葉は変化をつくることができるという三浦さん。でもその前に大事なのは「どんな変化を起こすかを定義」すること。
変化し続ける時代の中で、言葉だけが風化しない
この言葉をもうちょっと分解すると、言葉の中に内包される概念(想い)は風化しない、と言い換えることもできるかなと。上述のキーワードに加え、どんなことをしたいか(どんな未来にしたいか)、を乗せると、作品に背骨が通った感じで強度が増しそうです。
3)価値を証明する
なんだかんだアーティストで言語化ができるかどうかは、けっこうアーティスト人生の明暗を分けると思うのですが、それがこの価値の証明ができるかどうか、っていう部分だと思います。
価値を創造するだけでは市場競争で生き残るのは難しい。その価値を証明しなくてはいけない。アーティストは基本的に作品がすべてなのですが、いい作品をつくるアーティストってすでに大量にいるんですよね。で、その価値を証明(言語化)できる人の数のほうがよっぽど少ない。
ってことは、作品の価値証明に手が足りていないのかなと。アート作品は自然資源と違って人がつくれる価値のひとつですが、価値を証明し価値を伝えていかないと、手に取ってもらえません。
かつてのアーティストの中にも、言語化が非常にうまく、それで評価を得ていた作家もいます。インターネット時代になり、みんながせーので競合するようになった時、言語化力を身に着けるかどうかは、けっこうその後の展開に影響するなと思っています。なにしろ、海外のアートプログラムに応募する時には必ずテキストを求められますから。
で、とても大事なのは、そのテキストって「かっこいい言葉を並べる」わけじゃないってこと。本書でも指摘されていたことですが、「醸成」「創出」みたいな言葉を使わずに、「よく考えて」「生み出す」という誰にとっても分かりやすい言葉を使わないのはなぜか、使う言葉を吟味する必要はありそうです。
ものすごく簡単な言葉でいいので、自分がどう考えているかをちゃんと言葉にするということがとても大事なことだと思っていますよ。
それができないうちに、賢そうなワードを使ってしまうと、たぶん、自分が「できる」と勘違いしてしまうと思うのですね。自分が分かる言葉で、自分が考えていることを言う。それを積み上げて作品に反映させ、それをまた言葉にする。
言語化するというのは、分かった気になるという弊害も生みますが、言語がなく作品のみと向き合っていると、自分が向かっている方向が分からなくなります。作品と言葉は両輪のように共同作業でアップデートされていくものだと私は考えます。
いろんな人の名言が散りばめられていて、名言ブックと言うこともできそうな『言語化力』。こういう言葉を生み出せたから有名人になったのか、あるいは、有名人が言ったことだから名言に感じるのか。
アーティストとしても参考になるところが多かったです、ぜひ読んでみてください^^
今日も読んでいただきありがとうございました!
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