病院をテーマにした展覧会をやりたいなとずっと思っていたのですが、「免疫療法」というタイトルの展覧会を発見。日本にいる時でよかった!元獣医で治療の代替となるアートとはなにか、というところを起点にアートを続けている身としては、非常に学ぶところの多い展示で、見に行けて本当によかったなぁと思っています^^
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セラピーが行われるギャラリー
池袋のTALION GALLERYで行われた「免疫療法」は、「超高齢化社会における介護やソーシャルロボットを通したコミュニケーション」などをテーマにしたサウンドインスタレーション。合計6つのプログラムがあり、全部聞いていると全部で1時間くらいかかるようでした。
✓ 参考リンク 松本望睦&ナイル・ケティング「免疫療法」(美術手帖)
円筒形の物体、アレクサがセラピスト役。残りの2つのスピーカーのうち、1つが「イエスマン」もう1つは「キュリオシティ」で、イエスマンのほうは同意意見を口にしており、キュリオシティは「どうなん?」みたいに疑問を投げかけるような役割を担っているようです。
彼らが喋ってる言葉は全部英語なんですね。英語なのは、言葉の意味合いよりも「サウンド」として捉えてほしいというような意図があるようです。「ライトの色を変えてー」「もっと光らせて」みたいな言葉に従い、点在しているライトが光ったり画面に変化が現れたりします。右奥のビニールっぽいやつは乗ってもOKです。アレクサに話しかけるのは、プログラムが変わってしまうためにNGのようでした。
液体はソーダ水。Sodaをテーマにしたプログラムもあるんですね。
壁に取り付けられた小型の画面には、会話の内容を端的に表したものが表示される。
空間を使ったセラピー
おもしろかったのは、アレクサがセラピー役という部分ですね。環境を医者にできないか、という視点でしばらく作品を考えていたのですが、自分自身が医師として環境を治療し、その効果が自分に還ってくるというサイクルをつくるというのもアリかもしれない、と思い立ちました。動物を使ったセラピーは多くあるけれど、「モノ」をセラピストとして扱う、あるいは「キャラクター」をセラピストとして扱う場合、やりようによっては本当に治療的効果があると思うんですよね。あるいは「環境」を「患者」とした場合、その治療はどのように行われるのか。どのような症状が出ていることが問題なのか。
「音」は空間に充満するし、環境を明確に構成する要素でもあるんですよね。誰かがセラピーを受けているところって通常はプライバシーの関係で第三者は見ることができないですが、それができる場であったというのもおもしろかった。どこまで治療効果があったのかは、はたから見てると分からないんですが、なぜ分からないかというと、セラピストとスピーカーの感情の動きが分かりにくいからかなと。存在感を感じさせる空間、想像力を喚起させる何かをキーワードに、新作が創れそうな感じでした。
非常に参考になる作品でした。行ってよかった。どうしてもギャラリー展示だと売りやすい平面画の取り扱いが多くなってしまうのですが、こういう展覧会がちゃんと取り扱われているというのも嬉しい。ぜひ多くの人に行ってもらいたいです^^
場所がちょっとわかりにくかったですが、ビルの横を回り込むと地下に下りる階段がある感じです。正面口ではなく、側面から入る感じだったので来訪の際にはお気をつけて。
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みじんこは、医療が好きだよ!ヽ(=´▽`=)ノ