ニューヨークに行った際、現地で落書き消しのボランティアに参加してきました。体験の様子は以前、ブログでも紹介させていただきましたが、今日はそのアメリカ人さんからのメッセージ。どんなに大きなことをする時にでも踏み出す最初の一歩。無償で町のボランティアを続けるDavidさんから、日本のあなたへのメッセージをもらってきました。
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日本での12年の経験がDavidさんを変えた
Even if the mission failed, we carry on to the end and start again.
たとえ失敗しても最後までやって、また新しく始めればいいさ。
日本で会社勤めをしていたDavidさん、企業では最初に朝礼があって、その後ラジオ体操があって、その後みんなでタバコを吸いに行ってたんだとか(笑)。その奇妙な風習に違和感を覚えつつ、チームで働くことの大事さなどを学んだんだそうです。あとはいらない紙を細かく切ってメモ帳にする倹約さや、どんな時でもお客さんには笑顔で接するなど、それまでのDavidさんにはなかった価値観をいろいろ知ったようです。
特に響いたのは町の美しさ。他の国に行くと思い知りますが、日本は本当にきれい。自分の生まれ育った町が少しでもきれいになってほしい、というのがDavidさんがボランティアを始めた最初のきっかけだそうです。
David流、チーム作りの秘訣
1人でボランティアを始めたDavidさん。次第に一緒に参加してくれる仲間が現れたようですが、「何も要求しない(No demanding)」を徹底しているんだそうです。入りたい、やりたい!と思った人が自分で動いてくれることが大事だ、そう言っていました。マジメ日本人の私は「ボランティアに参加してるだから遊んでばっかりいないで!」とつい思ってしまうところなんですが(笑)、そういうのは日本人的で、アメリカ人の感覚にも合わないのかもしれません。自主的にやりたいと思ったことをやってもらう。それが無理せず人を巻き込み、継続してもらう秘訣なんですね。特に、町をきれいにするというのは、自然に町の人たちに染み付いて「常識」にしてもらいたいこと。永遠に終わることのない継続です。
それでも、Davidさん本人は誰よりも働いています。みんながカタツムリでわいわいしている間、女の子たちがおしゃべりしている間も、笑顔で周りに声をかけながら1人で黙々と誰よりも汗をかく。そういう姿を見ると、自分も手伝いたいという気持ちが自然にわいてくるのです。
先日、お世話になっている絵本作家ののぶみさんの講演に行った時、自由人・高橋歩さんは出版社を作ったりバーを作ったり、自給自足ビレッジを作ったり、オンザロードというボランティアを立ちあげたりしても、すぐに誰かにあげてしまう、という話をしていました。歩さんは何かを始める時、みんなの意見をまず聞くんだそうです。それで、「こういうのやったらいいんじゃないか」と言い出した人にそのままそれを任せるんだとか。言い出した人は自分が言い出したことなので、そのままやり始める。そうしていくうちに、だんだん歩さんが入らなくても自立して組織がまわっていく。そうなったら離れていくんだそうです。
チームを作る方法もリーダーによっていろいろ。Davidさんは「自分はみんなの使いっ走りだよ」なんて言ってました、笑。
「継続」と「撤退」の選択
高校2年生までの私の価値観は、「始めたことはやめちゃいけない。やり通す」でした。高校2年生の時に、しんどくなっていた吹奏楽部をやめて、プレッシャーがかかっていた心が楽になってから、「辛かったらやめてもいいんだ」ということを学びます(笑)。
大学入ってから、3つのサークル・部活と研究室をかけもちし、研究室が忙しかったこともあって夏前には研究室以外を全部やめます。それでも、一度臨床獣医師になったら、ずっと獣医師なんだろうと思っていました。でもたぶん、「臨床獣医」を続けるには、続けられるだけの才能がなかったんでしょうね。日々のプレッシャーの中で「失敗したらどうしよう」という恐怖と「得体のしれない罪悪感」を抱えて、今でも臨床の現場に立つと狭くて暗い部屋に閉じ込められるような圧迫感を感じます。
獣医という特殊な職業なこともあって、履歴書には転職歴がわんさか。カタイ職業だと信用されないことはよくあります。現代の社会においては「継続」が「信用」を表す数値であることは確かです。
ですが、30年サラリーマンやってましたっていうのは信用でしょうか?もしかすると挑戦せずに無難な道を選んだのかもしれない。もちろん、すぐにやめる=飽きっぽくて無責任、かもしれません。ただ、「信用」は継続しているかどうか「だけ」では測れないと思うのです。継続は「信用」を測る尺度の一つということ。他の尺度はなんでしょう?Kickstarterで話題になったポテトサラダのプロジェクトの人、今までのキャリアは分かんないですが、日本でも知られるくらい有名になってますよね?たとえば知名度も「信用」の一つと言えます。他にも、人からの評判がいいというのも「信用」の一つですよね。他に、なんとなく、という直感的な「信用」もあると思います^^
どちらにしろ、その人のもつ性質がその人のやることとうまくマッチしているかどうか、が大事なところだと思うのです。創造的な仕事をするには挑戦的な性質が必要。毎日の通常業務を間違いなくこなすには、忍耐強く注意深い性質が必要。たとえばそのように。
何よりもまず、継続も撤退も「しなければならない」ではなくて、「してもいい」なんだと思います。続けていたければ続ければいい。やめたくなったらやめてもいい。やめたくなっても続けてもいい。やりたくてもやめることもあってもいい。それは自分の選択なんだってことを思い出して欲しいなって思います^^
✓ 関連リンク データで振り返るKickstarterの「ポテトサラダ」プロジェクト(調達額は$55,492)
おまけ:落としたiPhoneが戻ってくる日本の不思議
ボランティアの後、みんなでカフェに行ったのですが、その時に上がった話題が「落とし物が戻ってくる日本はクレイジーだ」っていうこと。お財布落としたら、それもちゃんと帰ってくる。私もiPhoneを落としましたが、何事もなく戻ってきました。ニューヨーク在住の方が言ってましたが、「こっちではお財布を拾ったらお金だけ抜いて、さらに電話をかけてきて『カードとかあるから、届けてやるから金よこせ』とさらにお金を取ろうとする」んだとか。
ゴールドコーストに住んでた時も、ステイ先のオーナーさんが「日本人は小銭を出していても誰も取っていかない」と言っていました。
町にゴミを捨てる習慣がなかったり、落とし物を届けるのが普通だったり。私は世界に善悪はないと思っていますが、日本人に生まれてよかったなっていうのはよく思います^^
Davidさんは「政府の対応を待つ必要はないんだ。自分たちで活動できる、自分たちで始められるんだ、ってことをみんなに実感して欲しい」とおっしゃってました。Davidさんが活動を伝える秘密のグループに招待してくれたおかげで、私のFacebookには毎週、ウッドサイドのボランティア活動の情報が流れてきます。ウッドサイドではゴミをその辺に捨てない、落書きしない、それが当たり前になるように、これからも頑張ってね!
みじんこTALKでは引き続き、Oumaとみじんこたちが出会った世界の魅力的な人たちを紹介していきますヽ(=´▽`=)ノ