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人はなぜアート作品に感動するのか、須田悦弘

  • 6月 20 / 2020
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みじんこアート

人はなぜアート作品に感動するのか、須田悦弘

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ArtStickerというアートコレクションサイトでもコレクションさせていただいた須田悦弘さんの作品から、人が感動する理由を考えてみました。

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ArtStickerコレクションした時に入れたコメント

風力発電所の上に生えた金色の雑草。一年に一度、数人が見られるだけで、直接作品を見られる人はほとんどいません。
創作物はだいたい、誰かに見てもらいたがっています。

でも「雑草」はただそこに生えているだけ。

誰にも気づかれなくても、ただそこで生きているということ、存在していることを想像するだけで、幸せになれるような気がしてしまうのは、「雑草」の生き方が人の人生に似ているからかもしれません。

ほとんどの人の人生は目立つことなく、ただ存在して消えていきます。
風力発電所の上みたいに、すごい場所に生えても、ほとんどの人には気づかれません。

目立つ人生、素晴らしいことを成し遂げる人生はかっこよくうらやましく見えます。
「雑草」は目立つ目立たないでは測れない人生の美しさを、存在によって説いてくれるようなとても素敵な作品です。

作品画像はこちらで見られます  雑草 | 唐津市湊風力発電所 – 須田悦弘 | ArtSticker

タイトルは雑草

ArtStickerに掲載されている須田さんの作品を丁寧に見ると、タイトルはすべて「雑草」です。

作品画像はこちらから見られます  雑草 | 唐津市役所本庁舎 – 須田悦弘 | ArtSticker

とても好きな作品なんですが、どうしてこの作品に心動かされるのか、すごく不思議に思ってしまうんですね。だって、本物の雑草がどこにでも生えていて、それらに感動することはほとんどないから。

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須田さんは東京都美術館で展覧会やワークショップをされてたこともあるんですが、つくるのがとても速く、1つの雑草をつくるのに30分~1時間とかいう話がありました。(また聞きなので、正確なところが気になる人は調べてみてください)

つくるのが早かったとすると、1時間でつくられた「雑草」に感動してることになります。
かたや、本物の「雑草」は1時間では生えません。それどころか、雑草がその形になるまでに、自然の淘汰を経て現在に至っているので、途方もない時間がかかってるはずなんですよね。須田さんは、それらの本物の雑草を見て、形状をコピーしているだけ、という見方をすることだってできるのに、須田作品のほうが本物よりも心が動かされてしまう。

なぜか。

タイトルに秘密がある

一つ、思いついたのは「タイトル」です。

合わせて読まれたい  雑草 | 旧唐津銀行 – 須田悦弘 | ArtSticker

雑草、というタイトル通り、須田さんの作品って展示されてる時に、分かりやすく展示されているわけではなく、言われないと絶対見ないような壁の上だったり、椅子の下だったりに展示されているんですよね。
ふつうに歩いていたら見逃してしまいそうです。直島のベネッセミュージアムにも須田作品が隠されていて、アートツアーで作品だと教わった私は本当にすごく感激したのです。

合わせて読まれたい  ベネッセハウス ミュージアム

それまで、アートって壁にちゃんと展示されているものだと思っていたのに、こんなに「見られない」ことを選ぶ作品があるのか、、と。そんな、さりげない存在を自分は見たことがなかったので、とても感動したんですね。雑草っていう言葉に、どんなイメージをもつでしょうか。
「目立たないけどがんばってる」「一生懸命さ」「生命力」みたいなのが浮かびません?

展示の仕方も含めて、作品の姿=「雑草」っていうタイトル=コンセプトがしっかりマッチしてるんですよね。これが「雑草」でなく「ハコベラ」とかだったら、感動量がちょっと落ちた気がするのです。本物の「雑草」も、自分で「雑草」って名前をつけるわけではなく、彼らがどう生きたいかの主張は人間である私には分からないので、コンセプトの独自性を感じないんですね。「生きる」だと、みんな同じだし。本物の「雑草」で感動するのであれば、もっと濃厚な接触と分かり合う時間が必要な気がしています。

須田作品の「雑草」は、タイトルと作品を見て「あー、雑草だー」って分かる。同時に生えている場所とかを見て「こんなとこに生えちゃったか」みたいなホンワカ感がある。「見られる」ように生きてるアート作品の中で、「目立たない」存在として生きようとする反骨精神もある。

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分かることが見る人にも安心感を呼び、美術の専門教養を受けてないような人でも、すぐに「素敵!」と分かる。「分かる喜び」が感動なんじゃないかと思いました。
同時に、アート作品というのをとてもうらやましくも思います。作品としての「雑草」は、存在しているだけで人を感動させる力があるのに、自分はどうなんだろう、と。存在してるだけで誰かを感動させるってことは、とてもとてもできそうにありません。しかし、ここで気づきました。「雑草」が誰かを感動させつづけるためには、「雑草」という人生を選び続けなければならないということを。

「雑草」が「靴下」ってタイトルだったら、ちょっと感動しきれない。つまり作品「雑草」は、「雑草」以外の生き方を諦めてしまってるんですよね。「雑草」は、期待されている通りの生き方をしているから感動されているのかもしれません。

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今日も読んでいただきありがとうございました!Ouma作品はギャラリータグボートさんで販売しているので、のぞいていただけると嬉しいですよ!

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