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『約束のネバーランド』のアイシェから考える見栄え問題~ユニークフェイスのジャーナリストとは

みじんこレビュー

『約束のネバーランド』のアイシェから考える見栄え問題~ユニークフェイスのジャーナリストとは

良著を濃縮還元してお届けするみじんこブックレビュー。今日はユニークフェイス石井政之さんの『顔面バカ一代―アザをもつジャーナリスト』『約束のネバーランド』の共通点から「顔」について考えてみます!

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顔にあざを持つ少女

大人気マンガ『約束のネバーランド』16巻はお読みになりましたでしょうか。もー、世界観がヤバすぎるっ!レイ少年がいきなりおじいさんになって登場。エマちゃんはいなくなってるし、ストーリーの壮大さとそのストーリーを彩る作画のコンビネーションが最高すぎる!16巻になってまた世界の謎が解け、物語は重厚さを増しました。と、この16巻に出てくる割と新しいキャラクターに「アイシェ」という女の子がいます。

※画像は『約束のネバーランド』からでなくてきとうに貼ってます^^

このアイシェは鬼に育てられた子なんですが、赤子の頃のアイシェが廃棄処分になるところを顔が病気でふくれあがった鬼に助けられるという過去をもってるんですね。アイシェの顔の右側にはアザがあり、鬼は自分自身を見ているようでアイシェを殺処分にできなかったのです。
鬼を父親として慕いながら育ったアイシェですが、ある時突然やってきた人間たちに父鬼を殺され、無理やり人間社会に連れてこられます。鬼語も解し、鬼と暮らしていたアイシェは、問答無用で鬼を殺す人間とは相いれません。そんな感じのおはなしが約ネバ16巻。そしてこのアイシェと同じアザをもつのが、ユニークフェイスという言葉を生み出したジャーナリストの石井政之さんなのでした。

合わせて読みたい  石井政之 ユニークフェイス研究所Blog

ユニークフェイスとは、外見(容貌・アピアランス)に病状・ケガなどがあること。その当事者の総称(社会に問題提起として、提案している新しい言葉) / ユニークフェイス研究所Blogより

「見た目」と心理的関係

ご自身の経験と調査内容が分かりやすく書かれていて、顔のハンディキャップについてよく分からない人にも分かりやすく書かれています。ちょっと古めの研究ですが労働経済学のダニエル・S・ハマーメッシュさんが、見た目がいいほうが生涯年収が上がるという研究結果を出しています。石井さんの著作によれば、身体的なハンディキャップについて、伝染するんじゃないかと誤解することがあったり、あまり周りにいないためどうやって接したらいいか分からない、ハンディキャップを見苦しいと考える人がいる、などの理由で身体障がいが対人関係に否定的な影響を与えているのではないかと考える研究者がいることが書かれています。

参考リンク  なぜ、外見で生涯年収が4760万増えるか(President Online)

顔に障がいがあるキャラクターが出てくる物語についても石井さんは言及しています。顔の障がいがある登場人物はだいたい不幸であり、そのパターン化により「顔の障がい=不幸」のイメージがつき、そのイメージが膨らんで障がいが感染するという誤解につながっているんじゃないかという意見でした。
顔に傷があるキャラクターってフィクションの世界ではとても多いんですよね。手塚治虫のブラックジャックもそうですし(本人がわざと傷を残している設定)、今回ご紹介した約ネバのアイシェもそうです。ドラゴンボールの人造人間8号は自爆装置を体内に埋め込まれていました。顔に傷がないとフィクションの世界ではモブキャラになりがち。現実世界の場合で、目立たず生きたいと思っていても、それがなかなか叶わないかもしれません。また、もしも周りが「不幸を期待」している場合、それが見えないプレッシャーになってしまうかもしれない。
個人的には、顔に障がいがあるキャラクターは心がきれいで特殊能力をもっている設定であることが多いので、人気のキャラクターになることが多い=いいイメージに繋がっているんじゃないかという気がしていました。ただ、最初からなんらかのイメージがある、というのは、そういう生き方をしたくない人にとっては苦しいことになるだろうというのもうなずけます。
昔、ゲイの男性が「ゲイと言うと女言葉を求められる」って言ってたことがありましたが、まさにそんな感じ。顔の障がいやLGBTQ、オタク、みたいな言葉もそうですね。その言葉に付随するイメージがあると、それ以外の生き方を選択しにくい。個人的に私は割とマンガを読む人なので、オタクという言葉が好きじゃないんですね。。オタクっていう言葉に似あう生活習慣やファッションを強要されるようでイヤなのです。ただ、IT関連でいえば、ITオタクではなくギークって呼ぶとなんか突然、知的なイメージに変わります。そういった概念を転換する意味での「ユニークフェイス」という用語なのかなと考えます。概念や共通認識みたいなものは、言語化されることによって広がっていく。ユニークフェイスという言葉と、それに付随する「特別な顔」という良いイメージが伝わっていくと逆に「うらやましい」に変わっていくかもしれません。

たとえば世界で一番美しいモデルというキャッチコピーをもつWinnie Harlowさんという方がいますし。石井さんのいうように不幸なイメージがつくと、不幸な生き方をせざるを得なくなってしまう。「うらやましい」のほうが優位になり、そういう人が多く表に出てくると、目立ちたくないユニークフェイスの人たちも静かに生きられるのかもしれません。私はあらゆる見栄え論は割とファッションによって一気にイメージを変えられるのではないかと考えている方です。実例として、ハンセン病をテーマにしたファッションイベントもあり、本当に素晴らしかったからですね。

参考リンク  ハンセン病をテーマにしたファッションショーで差別をなくしたい

カバーマークという化粧品

顔の傷をきれいに隠すことができる化粧品の存在も興味深かったです。ニューヨークのオリリー夫人が開発したあざや傷を自然に隠すことを目的とした化粧品。顔に傷やアザがあるせいで差別に遭うこともあり、アザを分からなくすることで、そういった心のケアをするというものですね。日本では原爆被害にあった方たちが使ったのが最初のようです。

参考リンク  カバーマークについて

アザを隠すことにより、心のケアになる面もある反面、「隠している」ことに負い目を感じてしまう側面もあるというのが難しい点。最近では整形も珍しくなくなってきていますが、以前は「整形」というものに対する差別意識も多かったです。しかし、徐々にそういった認識もなくなってきているので、隠したい人は隠しやすく、そのままでいたい人はそのままでいやすくというように、本人がどんな選択をしても「生きやすい」と感じられる社会だと優しいかなと考えましたよ^^。

実体験に基づく名著、必読ですよ!

合わせて読みたい  世界をみじんこと楽しむ!みじんこショップはこちらから みじんこ、缶バッジになったページ


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みじんくん と みじこちゃん

「触覚があるよっ!」
「ユニークだよー」

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