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書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~画面と空間編

  • 12月 11 / 2019
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みじんこアート, みじんこレビュー

書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~画面と空間編

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ユミコチバアソシエイツで書家で現代アーティストの山本尚志さんの個展が始まりましたね!私は書家ではないので、書というものには興味がないんですね。書という文脈から作品を見る気もないのですが(自分と関わりがなさすぎるため)、言語芸術として見た時に、「言葉」っていうのはおもしろいなぁと感じています。
言葉は概念を指すもので、それってけっこう生命観に通じるモノがあるなと今は考えているところです。

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画面を観察する

間近で見ないと分かりにくいかなと思うんですが、この作品って紙は手切りされてるんですよね、なので、周囲が完全にまっすぐではないです。

んで、私自身は最初に見た時にこの作品は「トリミングされている」と思っていて、山本さんにも「トリミングがよかったですね!」と言ってしまったのですが、まったく切っていないそうなのです。これの何がすごい(おもしろい)かと言うと、なんでそもそも私がトリミングしてると考えたかというと、紙の端に「液だまり」みたいなのがないことと、線が紙の端で止まるような感じがぜんぜんなかったからですね。あとは井上有一が一部の作品をトリミングしていたっていう予備知識があったこともありました。
良い悪いではなく、多くの作品ってキャンバスや紙の中にちゃんと収まって描かれていることが多いのです。その「枠感」みたいなのがこの作品には全然ないのです。批評家の海上雅臣さんが以前、「作品がはみ出しているんじゃなく、作品に対して紙が小さすぎる」と言ってたことがあるのですが、顕微鏡でのぞいているように、この作品には紙の先につづきがあるのが分かる感じなのです。そこが画面としての魅力だなぁと思っています。
このあたりの画面感については、印象派あたりの作家で、油彩の画面に人が入り込んできたっぽい描き方をしている作家がいて、その作家さんのことをちょっと思い出しましたね。文脈的にはつながるかなと思います。(名前は忘れたけど)

あいちトリエンナーレに物事の「次」を想像させるような作品があって、この作品のことも思い出しましたね^^

入口と出口とフタと底

山本さんは「物に物の名前を書く」というスタイルを貫き通しています。山本さん自身の思い出に残っている単語をピックアップしているのですが、選ぶ単語は「名詞」が多く、動く・走るとかの動詞になることはほぼないですね。他には物語っぽい長いものだったりもありました。そんな中、入口と出口とフタと底っていうのは、割と概念的な意味合いが強い単語なんですよね。たとえば、コップ、と言われればそれはだいたい、他の人から見てもコップなんですが、入口と出口っていう場合には、自分にとっては入口だけど、他の人にとっては同じ場所が出口だったりすることも。入口と出口、フタと底がそれぞれペアとなって同じ物事の二面性を表しているようなところがあります。
分かりやすく言うと、入口だけあって出口がないとなんか魔界かよ!って感じしますよね笑。フタはかぶせるものがあってこそフタとして機能するし、この4つの単語の中で唯一、単体でも存在できそうなのが「底」だけかもしれない。単語ひとつひとつを考えてみると、出口だけが存在するとか、現実的にはありえないような気もします(VRとかを使った世界になるとまた違うかもしれない)。そういう意味で、この4単語の選択っていうのは、お互いに影響を与え合う概念同士なので、これが並んでいるだけで展覧会が非常に複雑化しているのがわかりますよね。

展開図のような図形

また、今回の図形は点線が出てきていて、展開図っぽい図形になっています。点線ってふだんの使われ方を目にしていると、「ここにつく」みたいな誘導を表しているような気がします。つまり、このフタはここにハマりますよ、と。誘導線だけで紙の端にたどりついてしまっている作品も多いので、入口はフタにくっつくかもしれないし、入口と底がセットになってるのかもしれない。作品の設置のされ方を見ると、展示位置がかなりばらばらにずれてますよね。

↑ これとかよく見ると、平行に展示しているけど、作品も作品ごとの隙間の幅が違います。こういう設置の仕方によって展覧会全体として作品同士の結びつきに「動き」が感じられるのです。空間内で作品を見ていると、それぞれの作品あるいは概念が自由に動き、結びつきあってるように感じます。それは、作品設置の工夫もあるし、展開図のような形状、つながり先を指すような点線、トリミングしているようにすら見えてしまう「紙の外の世界の実感」によって生み出されています。
作品をばらけさせて設置するっていうのはよくある手法なんですが、画面の線とトリミング感も含めて動きを出しているので、空間展示としての質の高さが伺えますよね。

山本尚志 「入口と出口とフタと底」
会期:2019年12月7日(土)- 2020年1月22日(水)
*2019年12月27日(金)〜2020年1月13日(月祝)の期間、展覧会は開催しておりません。
会場:Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿#206
営業時間:12:00-19:00 定休日:日、月、祝日

参考リンク  山本尚志 「入口と出口とフタと底」

今回は画面と空間にしぼって考えてみましたが、次回はさらに「言葉」について考えてみたいと思います、お楽しみに!


みじんこは、トリミングされてるよ!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「いつも半分だよっ。」
「切れちゃってるよー」

mijinconbi

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