アーティストはオリジナルでないといけない、見たことがないものでないといけない、みたいなことをよく言われますが、そもそもオリジナリティってなんなのかっていうのを、草間作品から考えてみました。
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どうなったらオリジナリティがあると言えるのか。
アイデアってけっこう類似のものが多くて、自分しか考えていないことってほとんどありません。アート作品も、近似値を探そうと思うとけっこうできちゃうと思うんですよね。
では、有名なアーティストさんたちにはオリジナリティがあるのか。
こちらは2017年のアーモリーショーで展示されていた草間エリア。
草間彌生さんといえばドットですよね!でも、ドットってどこにでもあるし、草間のオリジナリティって本当に言えるんでしょうか。草間作品を通じ改めて考えてみます。
オリジナリティは形にある
草間彌生といって思い出すのはやはりカボチャ。これですぐにカボチャと分かってしまうのは、予備知識があるからかもしれませんが、すぐにカボチャとわかるというのは、オリジナリティが形にあるからかな、という気もします。
たとえば、もしこの画面がカボチャ色だけで構成されていたら、カボチャだってことも草間彌生だってことも分からないと思うのです。そもそも上記のカボチャはカボチャの典型的な色ではないので、色だけに注目したらとてもカボチャは想起されないはず。形がカボチャ=カボチャ、になっています。つまり、カボチャのオリジナリティはその形によって担保されているのかなと。
このカボチャは描かれ方が非常におもしろくて、輪郭線が描いてなくてパターンによって立体的に描かれてるんですよね。でも、そのパターン自体は非常に平面的。ドットの連なりで盛り上がっているように見えているだけ。古い日本画(巻物とかに描かれてるやつ)と西洋画を比べてみて一番の違いは二次元か三次元か、みたいなところがよく言われています。日本画は輪郭線を描いてあまり描き込まずに「雰囲気」を出してますが、西洋画は肖像画みたいな感じで立体的に描いてることが多いんですよね。ちなみに日本画の典型はマンガです。
https://alu.jp/series/%E8%81%96%E2%98%86%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%95%E3%82%93/crop/XaJh2BxSjOSJOueEtGcwこのカボチャはその折衷みたいな感じで、輪郭線までは描かれていないけど、立体の表し方が非常に「日本的(二次元的)」そういったモノの見方の違いも楽しめる作品です。
オリジナリティは色の組み合わせにある
色の場合は、オリジナリティは組み合わせによって生まれるかなとも思っています。分かりやすくは永谷園。
✓ 参考リンク お茶漬け(お茶づけ) | 商品ブランド | 永谷園
永谷園のお茶漬け海苔の色バランスって、たしか商標登録的なのがされてたと思うのですが、「お茶漬けといえば」な色の組み合わせとして認識されてませんか?アーティストでも、好んで使う色の組み合わせとかトーンとかありますよね。
草間さんの場合、黄色に黒のドットとか、黄色+黒、あるいは赤+白の組み合わせがけっこう草間カラーな気がします。ぜんぜん関係ないところで黄色地に黒いドットを見かけると、どうしても草間さんだ!という感じがしてしまいます。
オリジナリティは第一想起かどうか
草間さんといえばドットだなぁ、という感じは強くありますが、冷静に考えてみて、ドットって草間作品だけでなく、いろんなところに使われていますよね。草間さんを知らなくても使っている人はすごくたくさんいるだろうし、アートの世界ではダミアン・ハーストみたいな巨匠も使っています。
でも、アート界でドットと言われると、なんとなく草間彌生さん、という気がしてしまいます。ダミアンのキーワードを上げるなら、死とか蝶とかホルマリン漬けとかでしょうか。
草間彌生さんで思い起こさせるキーワードを上げると
カボチャ=草間
黄色+黒=草間
ドット=草間
みたいなのが思い浮かびます。
カボチャはそれ自体で成り立っているし、黄色と黒も立ち入り禁止するときの棒にも使われる色だし、ドットなんかあちこちにあふれています。それらが単体でオリジナリティかというと、ちょっと疑問。カボチャは確かに野菜としてオリジナルだなぁという気はしますが。
オリジナリティについて考えを戻すと、この「第一想起になる」っていうのがオリジナリティの正体なのかもしれないとも言えるかなと思うのです。
もしもこれから、アートをやるうえで、カボチャを描いてしまうと、そこに草間彌生を感じてしまうと思うんですね。描く側も見る側も。そのくらいカボチャは草間化してしまっています。
水玉という誰もができる行為、誰もが見たことのあるパターンも、草間彌生の支配下に置かれてしまった。もっと言ってしまうと、日本人で抽象的なパターン=草間、みたいな第一想起をされることもあります。概念でも物体でも、対象物と自分がイコールで結ばれるほど想起されるようになった時、人はそれをオリジナリティと呼んでいるのかもしれません。
草間さんは世界でも本当に一般の人にまで浸透するほど大人気。素晴らしい作家と同時代に生きられて幸せです!
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今日も読んでいただきありがとうございました!Ouma作品はギャラリータグボートさんで販売しているので、のぞいていただけると嬉しいですよ!
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みじんこは、オリジナルだよ!ヽ(=´▽`=)ノ