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15個のリンゴのゆくえ~韓国個展のウラ側のおはなし

  • 7月 29 / 2019
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みじんこアート, みじんこの活動

15個のリンゴのゆくえ~韓国個展のウラ側のおはなし

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最終日がけっこうな大雨だったのはちょっと残念。展示が終わった今日は非常によく晴れていて、残ったリンゴたちを抱えて町中にリンゴ配りに行ってきました。

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配りに行ったのはよく使っているお店、町中で出会ったまったく知らない人たちです。近所を歩いていてたまたますれ違ったおじいさんとか、シスターっぽい女性とか。あとは韓国人だと思われて話しかけられ「韓国語ワカラナイ」と答えたら「イルボンサラム(日本人)?」と聞かれ、そうだよーと答えてリンゴプレゼントしたり。その人は「センキューセンキュー」と言ってリンゴ受け取ってました。配ったエリアはテジョン駅の近くと地下街。見知らぬ人たちはだいたい、えっ、なんだなんだ、いいの?みたいな感じで受け取ってくれました。

プライバシーの関係上、配ったお店についての具体名は控えますが、よく行くお店なので、向こうも私が日本人だと分かっているし、個展のカードや説明の紙を渡してプレゼントしてきました。「おおーまじー、ありがとー」みたいな反応です(英語は通じないのでボディランゲージで推察)。

そんなわけで、すべてのリンゴをテジョンの町に配り終えてきました!参加してくださったみなさん、本当にありがとうございます!批評家さんやブロガーさんがどう紹介してくれるのか、今から楽しみにしています。そちらはまた追ってご紹介しますね!

合わせて読みたい  テジョン(大田) テミ(TEMI) 芸術創作センターレジデンスアーティストOUMA(オーマ)作家 の展覧会を見てきました。(blog)

テジョン市内でも日本製のビールが消えたーみたいな話も聞きましたし、とはいえコンビニのぞいたら普通にキリンビールやポッキーも置いてあるし。町はいたっていつもどおりではあります。そんな中、初めてこういうの見かけましたね。日本って書いてるのだけ分かるんですが、まぁ不買運動の一環なのかなぁ。

テジョンでは日本についての大きな動きはないので、なんとなく、東京で右翼の街宣車をたまたま見かけた、くらいの気分かな。あちこちで見かけているわけでも、市内中心部なわけでもなかったです。
→追記:翌日、その道一帯にこれが増えていたので、周りの人に聞いてみたら不動産会社の広告っぽくて「経済報復してくる日本には不動産を売らない(貸さない?)」っぽいような意味らしいです。※正確な訳ではないのでご注意を。中心部にも「日本製品不買」みたいなバナーは出てるみたいですね、私が気づかないだけで。「いつも続かないし、愛国心を示したいだけ」と冷めた目で見ている人もいました。
→さらに追記:翌日には撤去されていたので、道に沿ってこれがたくさん貼られてたのは1~2日くらいでしょうか。なんなんだろ。。

参考リンク  Artist in Residency TEMI

展覧会を終えて

このタイミングで韓国テジョンで展覧会をやってみて、体感したことはいろいろでしたね。口論もしたし、気も使ってもらったし、自分の気持ちも言ったし、ナーバスになるのも分かるし、たわいない発言に敏感になってるし自分もなるのも分かる。具体的ないろいろは受け取り方によって誤解を招きそうなので避けますが、リンゴが教えてくれたことは大きかった。
リンゴの韓国語「サグァ」は「謝る」という言葉と同じ発音。謝罪の意味としてリンゴを渡した時、それを受け取る、というのは「謝罪を受けた」ということも表すようです。私はこのリンゴに、単に「仲良くしたい」という意味しか乗せていない。それでも韓国では「あ、リンゴ、、ってことは・・・!」ってほぼ反射的に考えるようです。謝罪したくない、という気持ち、受け取りたくない、という気持ち、とりま仲良く、わーいお得ー、高いリンゴだ、1つで十分なのでほかの人に、ありがとー!、おもしろいねえ、美味しかった、あなた受け取るの?、ふーん、いいリンゴだねぇ、いろんな複雑な感情が、このリンゴの存在のおかげで鮮やかに描写されました。そこに多くの日本人、韓国人が関わってくれたこと、助けてくれたことに感謝します。감사합니다(カムサハムニダ)

個人的には、日本製品不買運動の中、韓国人の税金で韓国展覧会をしてることが大々的に知られたら、マジでなんかあるんじゃないかとちょっと心配してました。特に紙のインスタレーションLife Continuous(集合生命)は「触って破壊してもいい作品」として定義していますし。合わせてほかの作品(または私)にも危害が加わらないかとか。まぁ、結局杞憂だったんですが、なんかあった時に激怒するか悲しみを見せるか、平然と愛を説くべきか、とか事前にシミュレーションしちゃいましたよw
過剰反応と思われるかもしれませんが、韓国の人でも「お前の個展でなんか起こらないか心配だ」と考える人もいたし、「なんかあったら逆に有名になれるんじゃない?」って考える外国人もいた。私としてはほかにも、韓国の人が私の個展を一生懸命、宣伝したり手伝ったりしてしまうと、周りの人からなんか言われない?みたいなことを気にしてしまったり、レジデンス先のTEMIは大丈夫だろうか、責められないかとか気にしてしまったり。いろんな気を回しすぎて疲れた笑。それが今の私のリアルな日々です。去年も同じ時期に韓国にいたはずなのに、去年とはまったく違う体験をしました。私が「フランス人」だったら全然違ったんですよね。「日本人」なためにいろいろな葛藤が起こった。学ぶことの多い一か月でした。
こんなですが、一人で海外に来ているのでどこの国にいる時も警戒はします。海外でストーカーっぽい目に遭ってそこそこ怖い思いをしたこともありますし。「そんなに心配しなくても平気だよ」とたとえ日本から言われたとしても、何かあった時に対処しないといけないのは私ひとりですから。ヨーロッパにいる時と違って、英語が通じない率が高いし、意思疎通がなかなか難しい中、ニュースを追っていると不安にもなるし、長く住んでる人が子どもを心配したりする気持ちも分かる。
んで、最終的に達した結論は「話を聞こう」それから「正直な気持ちを話そう」ですね。韓国ってけっこう平和な国のイメージだったけど、たぶん、日本人よりも「戦争」の感覚がもっと近いところにあるような気がします。人それぞれ、いろんな感想をもっているだろうけど、センシティブすぎてなかなかうまく話せない話題ではある。特に日本人には意見を交わすことが苦手な人も多いだろうし。そうして気遣いをしていることが、お互いの距離を少しずつ遠ざけているようなところもあるかもしれない。そういう多くのハードルを越えて、少しずつ、正直な気持ちを交わし合えたらいいかもしれない。もちろん、それがすごく大変なことも理解します。

参考リンク  池上彰の現代史講義 第05回 「朝鮮戦争とその後」

これをきっかけに韓国側の記事をかなり読み込んだので、前より韓国のことがちょっとは分かったかもしれない。同時に、「現代」を生きる人の一人として、韓国メディアがいまだに「戦犯」や「軍国主義」「神風」みたいな言葉を使うことはやめてほしいなぁって思います(神風、は海外でテロが起きた時にもよく使われるんだよね)。って言いたいけど、なかなか言えない。残虐行為について「ナチみたい」的な表現をされることをドイツ人は嫌がるだろうし、つい、あんまり考えずに使ってしまうこと、発言してしまうことを、正直な気持ちを伝えあうことでちょっとずつ変えていけたらいいかな。少なくとも、私はなるべく伝えたいし、知りたい。
そうしていかないと、やっぱり分からないよ、育ってきた環境や時代がぜんぜん違うんだから。韓国に限らず、海外で暮らしてて誤解が起こることってしょっちゅうだし、英語が下手なせいで微妙にイライラされることも普通に起こる。ただ唯一、どんな誤解が起こったとしても、正直な気持ちだけは人を動かす力があるかなと。それはポジティブな発言に限らずです。それこそが、アートの本質であると私は思ってますよ。

合わせて読みたい  韓国の高校生とぶっちゃけトーク~南北朝鮮問題と竹島について考える 日韓関係の改善に歴史の認識は本当に必要なのかを考える~韓国で折り紙とリンゴを配ろう


みじんこは、正直だよ!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「全部ほんとだよっ!」
「ほんとに生きてるよー」

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