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作品を治療している作品においてリアルに手術用縫合糸を使うかどうかは科学的に全く意味がないという話

  • 6月 08 / 2019
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みじんこアート

作品を治療している作品においてリアルに手術用縫合糸を使うかどうかは科学的に全く意味がないという話

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私の作品の中に「作品の病変部分を切除した作品」というのがあります。物の生命性をテーマにした作品であり、「ゾウリムシ」という進化型の作品シリーズの一つなのですが、「手術をするように縫合してるんですね」と言うと、糸が「手術用の糸なのか」というのを聞かれることがあります。「いいえ違います」と言うと、微妙にがっかりされるのですが、縫合糸の種類とかに詳しくない人にとっては、「本物を使っている」というのがリアルの証明になってしまうんだな、ということに気づきました。今日は縫合糸のことから科学のお話を少し。

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手術用の縫合糸は大きく2種類に分かれる

外科手術に使われる糸は、大きく2種類に分かれます。吸収糸と非吸収糸。身体に吸収されるかそうでないか、の違いですね。吸収糸は当然、身体の中を縫う時に使われます。おなかを閉じてしまった後、また開けて糸を取り除くということができないので、生体にとって「異物」である糸が悪さをしないように、身体に吸収されるタイプの糸を使うわけです。非吸収糸というのは、吸収されない糸なので、皮膚を縫合する時など、あとで取り除ける場所を縫うのに使われます。

それを踏まえて作品に実際の手術で使われる糸かどうかを考えてみると、たとえ吸収糸を使ったところで、作品に糸は吸収はされませんよね。じゃあ非吸収糸を使うか?っていうことを考えると、別に「その必要はない」んです。強度があるから変に切れて生体内に糸が残っちゃうことがない、とか、感染しにくいとかあるわけですが、モノ同士の接着ではこういったことは気にしなくていいんです。たとえ糸が切れても、それが異物反応に繋がるわけではないし、そこから感染を起こすわけではない。そういった時、糸は経済面を考えて安いもので十分、なんですね。たとえば、飛行機の中で急に病気になった人を診るために、外科医がボールペンを割ってナイフにしてーみたいな話ってたまにあるじゃないですか。手術用器具は手術用に使いやすくなっているというだけで、絶対にそれを使わなければいけないわけではないんです。平たく言っちゃうと、本物を使わないと縫合っぽくないって考えるほうが科学的でない、素人考えなんです。医療器具って意味があってそうなっているので、意味が役立たないのであれば、使う「必要がない」んですよね。
この作品もそれなら縫合せずにボンドでくっつければいいじゃんっていう考え方もありなんですが、ボンドだと癒着が強くなりすぎるし、結紮した傷によってより「生命」感が出るという理由でこの方法を取っています。

参考リンク  ギャラリータグボートのOumaページ

リアルを使うことは別に科学的でない

科学っていうとなんかテクノロジー使ってそうとか、植物とかカビとか自然にあるもの使ってそう、みたいな感じがあるんですが、そればっかでもないと私は思うんですね。私がテーマにしている「生命」についても、生物学では細胞が生命の最小単位なんて言われてたりするわけですが、この定義考えたのって、そこらのみじんこなわけではなくて、科学者なんですよね。

ヒトのクローンが技術的にはつくれるようになっている今、倫理的なことを含めた「感覚的生命観」というのを伝えていくのもアート、特に科学系のアーティストの仕事かなと思っています。特に私は今、「生命」を感じられる機会の創出を体験型アートによって提供したいなと考えていますが、実際に作品になるのは1年後とかですかね。お楽しみに^^

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みじんこは、最小単位だよ!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「生命だよっ。」
「生きてるよー」

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