もともと臨床獣医師時代は細胞診という「できもの」に針を刺して細胞を調べるのが大好きだったOuma。大学時代の研究室は解剖学で、卒論は脳細胞関連でした。組織学というのは細胞を染色して調べるのが基本なので、色彩的にも形状的にも大好きなジャンルだったんですね。ちなみに脳と肝臓は染色方法のバリエーションもあり、形状的にも美麗な組織の一つです。おススメ。
今日はがん細胞をゲストにお呼びし、ふだん、どんな思いで生活していらっしゃるのかなどについて伺ってみました。
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――(Ouma)今日はお越しいただき、ありがとうございます。
こちらこそ、がんと一言で言ってもたくさんありますが、私でよかったのかな?
――はい、大丈夫、というか嬉しいです。なるべく悪性度の高い方に来ていただきたかったので。
そうでしたか、もともとは獣医さんをされてたんですよね。がん細胞のどんなところに魅力を感じてらっしゃったんですか?
――あ、ちょっと私のインタビューっぽくなっちゃってますが、がん細胞の魅力は「予想外の形状、逸脱」かなと思っています。正常な細胞は規則的に並んでいて予測がつきますが、がんはそうではない。染色すると色合いもきれいなんですよね。
なるほど、それは破壊的なものへの憧れみたいな感じなんですかね。
――うーん、、それは自分でも分かりません。自堕落な生活とかはぜんぜんしないほうなので。他のアーティストさんたちと比べるとだいぶキレイに暮らすほうかなーと。・・・私のほうから質問させていただいてもいいですか?
はい、もちろん、すみませんね、最初から脱線させちゃって。
――いえいえ。ではさっそく質問なのですが、がん細胞さんの存在意義ってなんなのかなーと。なんで生まれてくるのかを伺いたいです。
存在意義、かぁ。ヒトにそもそも存在意義とかあるのって聞きたくはあるけど、まぁあえて自分目線で言うなら「生存戦略」ですよね。
――生存戦略?
はい。私がいたほうが生きやすいということです。
――死に近づいてしまうような気もするんですが。そんなことはないですか?
ああ、そうか。たぶん考え方が違うのかな。何をもって生きているのか、という問いになってきちゃうと思うのですが、つまり生きやすいという意味について。生きやすさってどういうことだと考えます?
――生きやすさ、そうですね。自由に生きられることかな。
自由っていうのは?
――何かを選択する時に、お金のこととか家族のこととか考えずに、自分が望むままの選択ができること。
それ、癌だったら叶いません?身内が癌で「最後にバリ島旅行に行きたいの、美味しいものを食べたいの」って言ったとしたら、みんな協力してくれますよね。
――確かに、それはそうかもしれない。じゃあつまり、がん細胞さんは、そういう意味での生きやすさに対して協力していると。
もちろん、それだけではないですけど。分かりやすくは、そういうことへの貢献もあるという一例です。
――ほかもあります?
人生の濃度っていうのかな、死を目前にすると世界が輝いて見える感覚。そもそも、日常生活の中で、みなさん生きているという自覚を持って生きている人ってほとんどいないのでは。
――あんまりいないでしょうね。ジョブズは毎朝、今日が人生最後の日だったら、と問いかけていたみたいですが。少なくとも私は問いかけても同じ生活しちゃうなって思ってます。
ほとんどの人が生きていないんですよね、つまり。私がいることで初めて、生きることへの実感がもてた、という方もいるんですよ。
――とはいえ、絶望してしまう人もいませんか?
もちろん。しかしそれこそが生きているという実感ですよね。生きたかったから絶望したわけでしょう?死ぬということに対して。
――病気があると、生まれながらにできることが限られていたり、投薬などの必要が生まれたり、痛みを伴ったり、そもそも治療にお金がかかったり、煩わしいことも増えますよね。私は小さい頃から花粉症なのですが、春は本当に動くのもつらくなっちゃう。そういう身体の不自由さを抱えると、健康っていいなって思いますが。
悪者にされがちなのですが、私自身は、ただ純粋に、伸び伸びと自由に生きたいんですよね。栄養をたくさんもらって、仲間を増やして、身体中いろんなところに行ってみたい。そう思ってるんですよね。それが身体全体の生きやすさにつながってるといいなって思いますけど。そもそもなんで他の細胞は癌化しないんだろ。みんなすればいいのに。
――全部ががん細胞だったら、身体が機能しなくなってすぐに死んでしまう気がしますが。
それでも、世界は死なないでしょう?あなた目線の。一人の人は死ぬかもしれないけど。
――そうですね、悲しむ人はいるけど。
そういう人がいるなら幸せだ。それに気づけて何をするか分かっただけでも幸福なことでは。
――なるほど。・・・お時間になりましたので、今日はこのへんで。最後に人間の方々にメッセージをお願いできますか?
私は自由に生きる、あなたの気持ちがどうあれ。あなたはどうしたいですか?
――今日はありがとうございました。また機会があればぜひ、よろしくお願いします!
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みじんこは、新生物だよ!ヽ(=´▽`=)ノ