良著を濃縮還元してお届けするみじんこブックレビュー。今回はChim↑Pom「芸術実行犯」から、本書で紹介されていたおもしろいアーティストをご紹介。
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突然人が動かなくなる駅
まずはこちら。Improv EverywhereのFrozen Grand Central。ニューヨークのグランドセントラルステーションはマンハッタンの中心、まさにニューヨークの心臓です。たくさんの人がごった返す中、突然、人々が固まる・・・!固まった人々が再び動き出した後、人々から拍手が起こってるのも素敵ですよね。
おまえの広告は誘拐した
次はフランスのアーティスト、ZEVS(ゼウス)のVisual Kidnapping。コーヒーブランド、ラバッツァ社の広告からモデルを切り抜いて「誘拐」し、ギャラリーに展示。同社CEO宛にその指の部分を郵送して50万ユーロを要求したらしい。なんとその後、身代金が2005年に本当に支払われたというからおもしろい。
本書では「ただのフラストレーションの発散や落書きと違い、広告主もユーモアによって試される。それにガチで返さざるを得なくなる。社会とのダイレクトなコミュニケーションをアートが成立させている、それを実践したのがゼウス」と評している。
つまらない予測をしてしまうとすると、こういう話題になったことで広告主の「宣伝」効果にもなったはずで、身代金を払ったことでさらに話題になる気がしますね。
バンクシーが描くシンプソンズ
覆面アーティストとして有名なバンクシー。バンクシーががなんとシンプソンズのオープニング映像を手掛けた。内容はなんと、幸せそうな家族がシンプソンズを楽しんでいる裏で、アジアの工場で人々がニコリともせずに労働に従事、動物まで搾取されているというもの。
本書では「バンクシーはテレビの映像をつくることで、テレビという巨大資本におもねらず、個人ではなかなか太刀打ちできない巨大資本をうまく利用しながら、そのいかがわしさをユーモアでもって浮かびあがらせるというハイレベルな調和を行っている」と評している。これ、OKしたシンプソンズ側にもこのユーモアを楽しめる懐の広さがあったってことだよね。
KGBに捕捉されたペニス
「KGBに捕捉されたペニス」というタイトルはロシアのアーティスト集団、ヴォイナの65メートルの作品。彼らは7人の警官に追われながら、23秒の間にサンクトペテルブルクにある27メートル幅の巨大な橋に65メートルのペニスを描いた。跳ね橋なので、これ、立ち上がるみたいです。本書では「2011年にロシア文化省から現代美術部門のイノベーション賞が贈られている」と記載されていたが、「ノミネートはされたが承認が得られなかった」という記事もあったので、真相は分からない。
中国もそうだけど、ロシアも活動に対する規制は厳しいよう。(中国のアートフェアには作品出展前の検閲があるよう)そんな中、彼らは素顔で活動しており、「顔を出すことで、これは認められなきゃいけない権利だと表明できる。アートと人生が一致することでより素晴らしい作品になる」と本書では紹介されている。
✓ 参考リンク 男性器が描かれた巨大絵画、ロシア当局が洗い流す
本書のほうで他にもいろんなアーティストが紹介されてますし、Chim↑Pom自身のアート作品の裏側についても紹介されているのでぜひご一読くださいませ!^^
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みじんこは、アートが好きだよ!ヽ(=´▽`=)ノ