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リサーチをベースにした漫画はアートとして助成金支給してもいいんじゃないかという話

  • 3月 07 / 2019
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リサーチをベースにした漫画はアートとして助成金支給してもいいんじゃないかという話

海外のアーティスト・イン・レジデンスに応募していると、「リサーチャー」の受け入れも多いことに気づく。場所によってはリサーチベースのアーティスト限定のところもあるし、そういったところの条件はけっこういい(調査費用助成のほか、発表機会、現地専門家とのミーティングなどが用意されているケースも)。そもそもリサーチにはお金と時間がかかるからだ。しかし、日本でリサーチベースのアートワークっていうのをほぼ見かけないのだけど(展覧会の公募企画などで見かけることはある)、どこまで認知されているのだろうか。今日はリサーチアートについて考えてみた。

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リサーチベースのアートとは

現代アートの世界に入って海外活動をし始めるまでは、そもそもアートに「リサーチ(調査)」というジャンルがあることを私は知らなかった。ごくごく普通のアートにさほど興味があるわけでない獣医師として暮らしていた私がそうなのだから、多くの日本人は知らないだろう。いや、逆に知識がないからこそ、「えっ、それってアートなの?」とむしろ拒否反応を示すのではないだろうか。だってなんか、アートって感覚的なものの気がするし、なんかを調査してる段階でアートじゃなくて科学っぽいじゃん。。一般的に日本人の感覚ってそんな感じじゃないかな。私がまさにそうだったし。さて、ではリサーチベースのアートっていうのはどんなものかを具体的に見てみましょう。

分かりやすくはこちら。フィンランド、マンッタの美術館で行われていた難民問題をテーマにした展覧会。この展覧会はキュレーションした美術館員とアーティストが一緒に現地に赴き、現地での会話の様子などもビデオで紹介されています。解説文も非常に明快で分かりやすく、「難民」というのがまったく身近でない日本人の私でも興味をもち、考えるきっかけになる素晴らしい展覧会でした(詳細はこちらの記事参照)。

参考リンク  アートを通じて社会を知る~現代アートと難民問題について

「難民」をテーマにした別のアーティストさんが「こういうのは分かりやすすぎて好きじゃない」という意見を言ってたことがありますが、それはちょっと目的が違うと私は思っています。問いを提示するというより、アートというフィルターによって「問題」と「日常」をつなぐ、というのがこの展覧会の目的なんですよね。「突破しにくい国境の鉄条網リスト」みたいなのは、リアリティがあり、アイロニック。アートとか分かんなくても、伝わってくるものがありますよね。この展覧会のあとには、「難民」についての知識がまったくなかった状態から、何かしらの知識を得た状態にはなれるはず。
日本でもChim↑Pomのやってることはリサーチベースのものが多く、スーパーラット(渋谷のネズミを捕まえ、はく製にしてポケモンの「ピカチュウ」を模した形状にする。捕獲する様子を撮った映像と合わせて展示)なんかもいい例ですね。社会のリアルな状況をアートにしたものとしては、介護をパフォーマンス・アートにした折元立身さんという方もいらっしゃいます。

そもそも介護っていうのは、掃除をしてもらうとか、買い物に行ってもらうとか、そういう作業は二の次なんです。介護する側とされる側の温かい人間関係、それがまず第一ですよ。

参考リンク  介護をパフォーマンス・アートに変えてしまう現代美術のアーティスト

自分自身はこういった今現在の社会をテーマにした作品づくりはしないのですが(癒しや生命をテーマにしているので、本質的に生きるものすべてに関わった創作活動をしています)、こういった作品たちは社会の「部分」を「全体」になじませるような効果があり、非常に意義があるアートだと私は考えています。「難民」なんて、日本で生まれて暮らしてたら正直関係ないですもんね。でも「知らない」っていう状況は、それだけで自分の中に偏見が生まれてしまっている。でもね、社会の問題をみんなで少しずつ抱える。自分の困ったことも、みんなに少しずつ助けてもらう。そういう社会ってやさしいじゃないですか。もちろん、できないことは無理しなくていいんですよ。私はいろんな国を渡り歩く生活をしている分、世界に少しだけ「知る」を増やしたい。そうしてこの記事を読む人たちが、世界を一緒につくる仲間であったらいいと思っています。

日本のリサーチアートは漫画の中にあった

このリサーチというアートジャンルは、当然のことながらその制作には相応の調査期間や費用が必要です。マシュー・バーニーが捕鯨をテーマに作った作品とか想像すると、まず「お金かかってんなあ」って思っちゃう笑。貧困、介護、高齢化、LGBT、後継者問題、世の中にはいろんな課題があるわけですが、そもそも課題自体を認識していなければ、問題にすらなってないんです。出来事を「私たち」の課題、として考える人、少なくとも認識する人を増やせれば、課題を抱える人たちが孤独にならずに済む。もちろん、一度や二度の展開では浸透するのは難しいでしょうか、繰り返し伝えられる中でアイデアが生まれることもあるし、具体的な行動を起こす人も現れると思うのです。もっと日本でも「リサーチャー」を支援する動きがあれば、そう思った時、日本には「漫画」があったことに気づきました。

日本のリサーチアートは漫画がダントツ

「闇金ウシジマくん」をはじめとする綿密な「調査」を基にした漫画が多くあります。史実を基にしたフィクションとしては「キングダム」「大奥」がありますが、児童虐待をテーマにした「ちいさいひと」なんかは詳細な取材を基にしているのでかなりリアル。私は小さい頃、日本史を漫画で勉強してましたし、初期に英語を勉強したのは英語版ドラゴンボール(相手を殺したい時の英語をたくさん覚えられる)でした。
漫画は「ストーリー」になっている分、登場人物に感情移入できるし、大人から子供まで読みやすい。社会の問題を知り、自分の一部にするのに、こんなに適した表現手段ってなかなかないんですよね。
日本ほど漫画のジャンルが多様化している文化をもつ国ってほかにないんじゃないかと思います。一部の国では「漫画」「アニメ」というだけでイコール子ども向け、という偏見が根強くありますし。日本人に漫画が「アート」という認識はないですが、漫画・アニメの社会的地位はかなり高いです(海外では、アニメ音楽を作っている人はクラシック音楽よりも「下」と思われてしまうところもあります。でも、日本では久石譲さんとかちゃんとファンが多いですよね。これについては、世界的に知られる日本現代音楽の作曲家が一般には全く知られていないという逆の課題が起こっていますが)。
リサーチベースの漫画にアート助成金を出すっていうのがなかなか結びついてこないですが、漫画家さんあるいは志望者で、リサーチを基にした漫画を描きたいと考えている人は、アート助成金制度などに応募してもいいんじゃないかと思っています。同時に、受け入れ先でも「漫画家も歓迎!」と声を上げられるといい。漫画家さんが選ばれた場合、アーティスト側が「なんだよ、現代アートじゃないのに」とか言わずに「そうだよ、漫画もアートなんだよ」と称賛できるといい。リサーチベースの漫画がアートとして歓迎されることで、リサーチベースの現代アーティスト自体も認知が上がるんじゃないか、私はそう考えます。
日本は漫画がアートであることをもっと推していいんじゃないだろうか。ブルージャイアントはそろそろノーベル文学賞をもらったほうがいい。

合わせて読みたい  現代アーティストになりたい人のための~初心者の第一歩から海外展開まで役立ち記事まとめ

 

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みじんくん と みじこちゃん

「漫画になりたいよっ。」
「脇役でもいいよー」

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