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書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~概念と言語編

  • 12月 28 / 2019
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書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~概念と言語編

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ユミコチバアソシエイツで書家で現代アーティストの山本尚志さんの個展が開催中です。こちら「書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~画面と空間編」と。「書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~言語編」のつづきで最終回です。

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言語と概念の関係性

個展の空間づくりや言語については一度記事を書いているので、今回はさらに「概念」に絞って作品を読み解いてみます。言葉っていうのはなんらかの「概念」を表しているもので、たとえば「コップ」と呼ばれると、飲み物を入れて飲みやすいなにか、になるわけですよね。この概念の把握って実はかなり高度な知的作業で、動物だと違う形状のコップを「同じくコップ」だと認識できなくなるんですよ。ちょっとコーヒーカップを「コップ」として認識できたとして、マグカップを出された時に「それはコップではない=コーヒーカップではないから」になっちゃう。人間はコーヒーカップもマグカップも、デザインが全然違ったとしても「コップだねー」って認識できちゃう。これはけっこうすごいことなのです。はっきりとした境界のないあいまいさがありながら「同じもの」と認識されるってことですから。

合わせて読みたい  書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~画面と空間編 書家・山本尚志個展「入口と出口とフタと底」を読み解く~言語編

概念の振れ幅

山本尚志さんの個展「入口と出口とフタと底」で問われていることの一つを、この概念の「振れ幅」だと私は考えています。

この中に、出っ張ってる「出口」があります。横から見た状態で考えると、これは「出口」なのか「入り口」なのかわかりません。見方によってはへこんでいる風にも見えちゃうからですね。

なんとなく、入口と出口、フタと底が対比してそうに感じますが、入口はどこらへんで底になるのか。フタはどこらへんで出口になるのか。先ほどの「コップ」で考えてみると、液体が入ってればコップになりそうですが、スープ皿みたいに平たいもののことを私たちは「コップ」とは考えないですよね。でも、どこまで平たくなれば「皿」になり、どこまで深ければ「コップ」になるのかはっきりした境界をもっていません。それでも私たちは「なんとなく」これが「皿」これが「コップ」という共通認識をもっている。でももし、この皿のように見える物体に「コップ」と書かれていたら、私たちは皿をコップと認識するでしょうか? それとも、いや、形は皿なんだから、コップと書いてあっても「皿」だよね、って考えるのでしょうか。

物に物の名前を書くというスタイルをつづけている山本さんの作品ですが、形と名前が対応していないために、言葉が指し示す概念が大きく揺らいでいます。今回の個展では4つのワード、入口・出口・フタ・底がまじりあっていますが、言葉が指し示す概念がぐちゃぐちゃになっている。言葉とそれが指し示す概念について、改めて考えたくなると思いませんか?

山本尚志 「入口と出口とフタと底」
会期:2019年12月7日(土)- 2020年1月22日(水)
*2019年12月27日(金)〜2020年1月13日(月祝)の期間、展覧会は開催しておりません。
会場:Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿#206
営業時間:12:00-19:00 定休日:日、月、祝日

参考リンク  山本尚志 「入口と出口とフタと底」


みじんこは、概念だよ!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「みじんこだよっ。」
「いのちだよー」

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