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現代アート作家の自己批評術~初心者がやりがちな典型的ダメ作品について考える

みじんこアート, みじん講義

現代アート作家の自己批評術~初心者がやりがちな典型的ダメ作品について考える

こんなに素晴らしい作品をつくっているのに、「あなたの作品を取り扱いたい」「紹介したい」「買いたい」そんな声がかからない。考えられる理由は2点。1)気づかれていない 2)作品がダメ。
1)の気づかれていない、に関しては、とにかく見てもらえるようにあらゆるところで発信・発表しつづけること。今日は典型的なダメ作品について考えてみました。

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1)バリエーションがない

以前、書家・山本尚志氏のインタビュー記事でもご紹介しましたが、アートコレクター佐藤辰美氏が作家・作品を見る上でのポイントというのがあります。

・いつごろから作品を作り始めたか
・何種類、合計何点の作品点数があるか
・20種×5点以上のバリエーションがあるか
・それはキチンとした時系列データとしてまとめられるか
・大作、中品、小品と書き分けられるか
・納期までに求めに応じて、作品点数をまとめられるか
・人を感動させるヒストリーはあるか
・作品は誰にも似てないか
・サボってないか

20種×5点以上のバリエーション、大作・中品・小品と書き分けられるか。自分でいいな!と思う作品ができると、ついそればかりつくってしまう。新しい作品が出ないということは、作家としての将来性がゼロになっちゃってますよね。常に新しい作品を意識すること。
ちなみに私はこのバリエーション部分はかなり弱点です。これはキャリアの浅さが出ちゃう部分でもあるんですよね。作品はつくればつくるほどクオリティが上がる。ということは、下手すると過去作品のクオリティが足りていないことに気づいてゴミ化=作品が減る、んですね。そして私の作品は、大作か極小品ばかり。現在の私は各国を移動しながら制作しているので、作品を持ち運びつづけられるか、というのもネックになっています。
今後は、「系統樹」のように、作品そのものを自由に拡縮できるものも考え中です。


「系統樹」ポストカードサイズの作品が線でつながり巨大な作品に。(まとめて持ち運びやすいという制作上のメリットもある)

参考リンク  書家・山本尚志氏へのインタビュー「第2回/書家の強みと日ごろ意識すべき具体的なトレーニング(前編)」

2)アイデアがありがち

初心者でやりがちなのは「愛」なんじゃないかと私は思っています笑。愛って言いがち、というか。村上隆氏は芸術闘争論の中で、西欧における現代美術のコンテクストは

1)自画像
2)エロス
3)死
4)フォーマリズム(歴史)
5)時事

だと言ってますね。
現代アートをやるのに、現代アート作品だけを見ている、現代アート作品だけを分析するというのは致命的です。これだと社会一般に言われていることに自分が染まっていることに気づけないからですね。ドラマを見て気づくこと、CMを見て気づくこと。思考の自動反射や社会の中で空気のように馴染んじゃってる思い込みに気づくこと。
ところで1万時間の法則、というのをご存知でしょうか。誰でも1万時間やればその道のプロになれるという。これに対して、私が今ハマりまくってる山口周さんがこんなことを言っています。

本当の意味で芸術家と言えるのは音楽の世界では作曲家しかいない
この作曲という行為に関しては、才能のある奴は最初からいい曲を作るし、才能がない奴にいくら訓練してもいい曲は作れない
参考リンク  「一万時間の法則」に感じる違和感

もともと、この1万時間の法則はバイオリニストについて調べたものだったようですね。それが他の業種に当てはまるのか?という問題。しかし、この1万時間の話自体はかなりいろんなところで引用されていて、一人歩きしている印象があります。なんでもプロになるには1万時間、みたいな。
練習によって、技術力は確実に向上する。しかし、創造性は練習によって鍛えられるのか。そもそも、創造性ってどうやって練習すればいいんでしょう?
ちょっと横道にそれちゃいましたが、そこはかとなく言われていることをそのまま自分の「意見」として使っていないか、見返す必要はアリですね。

3)何かに似てる

作品そのものに対する既視感。どっかで見たことがある。これはダメの典型ですね。この比較対象も現代アートだけにしないこと。作品としては見たことないけど、雑貨で似たようなのある、とか。これは見せる機会が増えると、自然と情報が集まってきます。私の場合は圧倒的にキース・へリングでした。もうね、黒い均一な線で画面を埋めると何を描いてもキースと思われてしまいます。私は自作をプリントしたバッグや紙財布を持ち歩いているので、日常的にそれを使っていますが「あー、キースへリングでしょう?私も好き!」といろんな国で言われまくりました。
よーく見たら全然違うんですが、パッと見そう思われちゃうというのは考慮すべき点です。そのまま変更せずにいくか、路線を変更するかは作家次第ですが、私は変えました。


Space, Pen on board, 2014, 29.7cm×42cm(11.7×16.5inch)

4)見たまんま

男性っぽい形状、女性っぽい形状が抱き合ってる絵で「男女の愛情がテーマ」みたいなやつのことですね。「愛」って書いてあって「愛」を表現とかね。あ、大丈夫です。私もやったことありますよ!爆。でもまぁ、ちょっと底が浅すぎですよね。「愛」って書いてあって、「社会をミクロレベルで見た場合、その最小単位はヒトではなく、人が瞬間ごとに抱く感情的な反応である」とか主張してたらヤラレタ感ありますけどね。あ、ちなみにこの主張例はテキトーです。

5)売りがない

売りがない、というか「売りが言えない」。作品を買おうかと迷ってる人が目の前に来たとして、作品のおもしろさを一言で言えるかどうか。その言葉にした「売り」に競合がないかどうかを考えるといいですね。「大胆な線が美しい」のであれば、同じように「大胆な線が美しい」作品がないかどうか。「社会性のあるテーマを扱っている」のであれば、同様のテーマを扱った作家がいないかどうか。特に著名な作家で類似がないかはチェックしたほうがいいですね。他の作家が自分より圧力のある作品をつくっていたら、自分の作品が取り上げられることはまずありません。

今回は、独学で現代アートを始めようという超初心者向けのNGポイントについて考えてみました。次は半歩前に進んで初心者を抜け出すために典型的ダメパターンを自覚するお話です、ぜひ^^

合わせて読みたい  現代アートについて考える~初心者の第一歩から海外展開まで役立ち記事まとめ


みじんこは、売りがありません!ヽ(=´▽`=)ノ

みじんくん と みじこちゃん

「特徴がないよっ。」
「みじんこだよー」

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