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ブラジルの新具体主義(ネオコンクレティスム)を支えた3人のアーティスト

みじんこアート, みじん講義

ブラジルの新具体主義(ネオコンクレティスム)を支えた3人のアーティスト

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先日お会いしたブラジルを代表するアーティスト、エルネスト・ネトさんも新具体主義(ネオコンクレティスム)を継承した作家さんなんですが、今日はネオコンクレティスム、ブラジルの美大の先生から解説を聞いたののまとめです!

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ネオ・コンクレティスムとは

リオデジャネイロで起こった芸術運動なんですが、1950年代にサンパウロで起こった「コンクレティスム」を引き継いでいます。ポール・グレアムの「都市と野心」にもありましたが、この運動、それぞれの都市の特徴が表れているそうです。サンパウロは幾何学的な都市、対してリオデジャネイロは町自体がもっとオーガニックらしいんですね。

参考リンク  ネオ・コンクレティスム(新具体主義)

サンパウロ市内で見たフランツ・ワイスマン(Franz Weissmann)さんの作品もネオコンクリティスム。かっちりかっちりなわけじゃなく、幾何学的であってもどこかちゃんと並んでなかったり、ずれがあったりしてますよね。

ネオコンクレティスムを支えた3人のアーティスト

ブラジルのネオコンクリティスムを支えた重要な3人の作家(Helio Oiticica、Lygia Clark、Lygia Pape)をご紹介する前に、ネオコンクリティスムの変化のステージを。
1段階:表面の変化、2段階:スペースの変化、3段階:身体性をもつ
このような段階的な変化があったようです。ちなみに、エルネスト・ネトさんもこれらを引き継ぎつつ、現在は先住民の生活を学びながら作品に活かしているようでした。また、ネオコンクレティスムは「主観的」な芸術とのこと。さらっと流し聞いてしまったんですが、主観的な芸術って鑑賞者が主体的に関われるっていうことですかね。。誰か分かったら教えてください。

1)表面の変化

Helioの作品は、コンクリティスムのカッチカチがちょっとゆるやかになる感じからスタートしました。


https://enciclopedia.itaucultural.org.br/pessoa48/helio-oiticica画像はこちらのサイトから引用。

参考リンク  Helio Oiticica

1950年代に世界でどんなことが起こってたかというと、アメリカでは抽象表現主義(パフォーマンスに強い)、日本では具体(目に見えないもの、アクションを含む)、フランスではニューリアリズム(不可視)、イタリアではアルテポーヴェラ(マテリアルに特徴)などが起こっていました。ブラジルはネオコンクリティスムの時代に入ったとこですね。

2)スペースの変化

1961-62年ころのネオコンクリティスム第2世代です。立体的になっていて、鑑賞者が歩きながら見ると、その見栄えが大きく変化するようなものです。当時はまだ、インスタレーションとかモビールとかいう名前がなかったので、こういう系のアートにHelioがSpacial Relefsみたいな名前をつけていました。

ブラジルでは「身体的な接触」がとても重要なのですが、このネオコンクリティスムが始まるまで、触れるアートっていうのがそもそもほとんどなかったんです。1965年にHelioのトロピカーリャ(Tropicália)というかなり大型の作品をつくっています。楽園っぽい雰囲気なんですが、これはブラジルのイメージにファベーラという貧困エリアの建物を模したものです。


こちらのページに画像が出てるのでご参考まで。

1964年にはブラジルで軍事クーデターが起き、右翼政権ができたんですね。そのころ、アーティストやミュージシャンが創造性を通じた表現の自由のために戦うことを決意したようです。Helioはその時代に生き、赤ちゃんでも触って楽しめるような、誰でもアクセスできる作品をつくったのでした。

参考リンク  The story of Hélio Oiticica and the Tropicália movement

3)身体性

エルネスト・ネトさんも香辛料などを使って匂いの出る作品をつくっていますが、身体で感じられるものへと発展してきたのがネオコンクリティスムの第3段階。Helioはパランゴレ(Parangole)と呼ばれる服をつくったのですが、この言葉はHelioがファベーラで見つけた言葉がもとになっています。

Lygia Clarkは人にモノをぎゅぎゅっとくっつけるような作品をつくったり、セラピー要素のある作品をつくるようになってきます。

Helioのパランゴレの逆バージョンみたいなのもつくってます。身体で触れることによって「体験」する作品なんですね。

Lygia PapeのA Multitude of Formsでは、色と味がまったく関係ない液体が作品としてつくられています。この後から世界中で食べ物や匂いを使った作品が出てきますが、1960年頃のネオコンクリティスムはその先駆け的存在だったんですね。

参考リンク  LYGIA PAPE(A Multitude of Forms)

また、Divisorという作品は、大きな布の切れ目から人が顔を出すようなものになっています。誰かが動くと他の人が引っ張られるので、否応にも人との関係性を実感させられます。
これらがすでに1960年代に行われているということは、2020年にアートをやる人はここから先に進めたものを求められているんですよね。心震えます、笑。

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