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現代アート作家の自己批評術4~コンセプト、作品、プレゼンの見直し方

  • 1月 31 / 2019
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みじんこアート, みじん講義

現代アート作家の自己批評術4~コンセプト、作品、プレゼンの見直し方

久しぶりの現代アート批評術。前回の「現代アート作家の自己批評術3~新人作家として気をつけること」では、展覧会をやること、やっている前提で書いてしまいました。でも、もっと前の段階、機会をくれる人に見つかるための作品自体の見直しが大事だったことに気づき、今回はそのまとめです。

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頑張ってるのに作品が評価されない。そういう時は何がダメって作品がダメ。インターネットのおかげで作品が見つかりやすくなってるので、今の時代に「良い作品」をつくっているのに見つけてもらえない、ということは、作家本人が作品をあえて露出しない場合を除いて、ほとんどないんじゃないかと思っています。じゃなければ発信回数が少なさすぎるか、ですかね。
良い作品をつくるために考えるポイントは3点。コンセプト、作品(画面)、プレゼンテーション。

1)コンセプト

作品の裏側部分、作家の哲学あるいは研究内容ですね。オリジナリティのある画面だけでも、作品は十分売れますが、コンセプトの強度なしに自作が長く生き残っていく、歴史に残っていくことはありません。たとえば、ヨーゼフ・ボイスの「社会彫刻」。この考え方はさまざまなところで受け継がれているし、影響を受けている作家は多いです。私もその一人。制作に迷う時に、この概念が精神的支柱になることもある。デュシャンの「泉」がアートの幅を拡張したのと同様に、この「社会彫刻」という言葉は「彫刻」の概念を拡張しましたよね。
こんなコペルニクス的発想が最初からできる天才はいいのですが、そうじゃない場合はまず、自分の表現の核を決める。「生命とは」「美とは」とか自分が気にかかるものならなんでもいいです。ちなみに獣医だった私は「治療の代わりになるアートの探求」がスタートで、そこから癒しとは何か、未来の医療とは何か、を考えながら今に至っています。スタートを決めておかないと、いろんなところに穴を掘るのと同じ。たまたま思いついた「ちょっとこれいいかも!」みたいな作品ばかりになってしまいます。そして残念ながら、そういうちょっと思いついたアイデアってだいたい誰かがやっていて、全然新しくも挑戦的でもないんですよ。だからもう、「自分が考えてることくらい、誰かがすでにもっとすごい規模でやっている」と考えておく。その前提で驕らずに自分が掘りたいところを深堀りしていく。そうすると、ちゃんと良いものが自分の中から発見され、つくるのが楽しくなってきます。
注意するのは自分だけのオリジナルの視点かどうか。たとえば「未来は不確か」「時間は平等」「世界は一つ」とかって、アートじゃなくてもどこでも聞いたことがありますよね。なので、それらがコンセプトになってたとしても別に驚かない。「まあそうだよね」っていう感想になる。あとは類似の作家がいないかどうかをチェックすること。自分より有名作家がすでに自分よりすごいことをやってれば、違いを考えないといけない。意図的にずらすというより、他の人と完全に考え方が同じということはありえないので、とにかく考えを掘り進め、違いが出るところまで考え尽すこと。考える材料を増やすという意味で、自分のコンセプトに近いことを学ぶことも大事。Oumaで言えば、生命の定義、医療とアート、死、幸福とはなにか、心理学など。体的な知識をもっていると、プレゼンの際にも説得力が増します。


鑑賞者が創作に加われる体験型インスタレーション「集合生命」自然そのもののように展示中も常に変化しつづける。

2)作品

画面が似ていても、コンセプトが異なれば違う作品として見なされます。なので、最初に考えるべきはコンセプト。それを伝えるための作品ですから、コンセプトがなければ作品が思いつきを超えません。逆に、コンセプトがあって、それを作品にどう乗せようかと考え続けると、作品とコンセプトが刺激し合って自分でも予想外の発想が出てくるようになります。そうなると制作も楽しくなるし、自分でも変化が目に見えるようになります。コンセプトを持たないまま作品を作っていると、技術的なこと以外での進歩を感じにくいですよね。それは作家としてはもったいないと思うのです。
しかし、既視感のある画面だと、コンセプトを知ろうとするほど立ち止まってもらえない。なので当然、画面にも驚きが必要。画面というと絵画っぽいですが、作品そのもののことなので、もちろん映像でもパフォーマンスでも概念のみを示す何かでも構いません。


集合的生命観を表す作品「系統樹」
伊藤若冲の升目描きのように、同サイズの作品の集合体でできている。すべての作品は線でつながっており、販売することで一部が失われていくが、創作もつづいているために増殖し続ける。オープンエンドプロジェクト。

3)プレゼンテーション

最後に必要なのがプレゼンテーション。日本人作家が割と苦手なことが多いのは、ふだんから議論する習慣がないことと、日本人の美術鑑賞者は感想を言うだけで、質問する人が少ないからではないでしょうか。自作を気に入ってくれ、実際に取り扱いを考えてくれるギャラリーや、本気で推すか考えているコレクターほど、作家がやろうとしていることを知りたがります。なので、話し慣れておくほうが絶対にいいです。もし友人がアーティストだという場合には、ぜひ、いろいろ質問して、話す力を鍛えるのに協力してあげてください^^ ちなみに私は2013年の六本木のギャラリー、UNAC TOKYOでの個展で某美術館の館長や某美大の教授などが来てくれたのですが、「楽しくやれました」コメントしかできずに、チャンスを逃したことがあります笑。そもそもコンセプトもなく、作品も個展の作品1点だけのような感じだったのでしょうがないのですが、現代はネット経由で誰が見てるか分かりません。チャンスがきた時にしっかりつかめるよう、常に準備をしておきましょう!
プレゼンテーションとしては、それほど興味を持ってない人も惹きつけられるような「短いおススメ」と、しっかり話を聞いてくれる人用の「詳細ワード」を用意しておくとよいです。あとは、科学的な論拠を調べる気がない人は、科学的専門用語を使わないほうがいいです。私は元獣医だったこともあり、知識がない人が「シナプス」「ニューロン」と雰囲気だけで口にしているのを聞くたびに「なぜカッコつけるんだろ」って思います。美術関係者で畑違いのはずの医療用語、生物用語にやたら詳しい人もいるので、知識がないまま専門用語を口にすると質問された時に言葉に詰まってしまいます。


「元獣医師で細胞をモチーフに作品制作しています」がOumaの短いおススメポイントです。元獣医で現代アーティストって世界でもかなり稀なので、これで割と話を聞きたいと言ってもらえます。自分の何が売りになっているのかは、話をした時の相手の反応で分かるので、とにかく「こうしたら興味持ってくれるかな」を考えながらいろいろ試してみましょう。心の片隅に置いてもらえたら、あとで声がかかることもあるかもしれないですから^^

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