最近は公式サイトで漫画を無料公開してくれるところが増えたんですよね。昔の漫画だとたまにAmazonプライムで無料DLとかやってるし。制限しても結局違法サイトができてしまうっていうイタチごっこ問題もあるのでしょうが、読んでくれる人の総量が増えることで、作家さんご本人に還元されるものが増えるといいよなーって思います。
今日は魅力的な漫画を前に、これだけ人を惹きつけるのはなぜか、を考えてみました。
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お勧めしたい漫画
今日現在、お勧めしたい漫画はこちら。どちらも少年ジャンププラスというアプリから初回は無料で全話読めるので、ぜひ読んでみてください。どちらも絵もすごくうまいんだなぁ。
【地獄楽】主人公の忍者・画眉丸(がびまる)が死にたいと言いながら死ねない理由が第一話で明かされるのですが、そこがちょっと謎解きっぽくなっていて一話目から引き込まれる。さらに主人公が立ち向かわなければならない課題が与えられ、物語をけん引するんですよね。村上春樹さんの小説も謎が出てくる展開、謎が解き明かされる展開が早いんですよね。主人公とヒロイン(佐切/さぎり)の名前に濁音が入ってるのもひそかにポイント高いのかなぁって予想しています。私は名前をつけるのがけっこう苦手なんですが、主人公の名前がぶっちゃけ「トイレンコン」だったら、世界観崩れるってのもあるけど、ファンとしてなかなか「好きです!」って言いにくくない?w
【忘却バッテリー】スポーツものっていろいろあると思うんですが、天才捕手だったはずの主人公が、記憶喪失であほになって野球なんてやりたくなくなっちゃった設定。ギャグのテンポが心地よくておもしろいのと(「カルピス、うっす」が好きですw)、登場人物たちの感情の動き、動作に生きている人間としての「リアリティ」がある。漫画によっては、かっこいいキャラだけど、こんな極端な性格の人間なんてこの世にほぼいねーよwみたいなのあるじゃないですか。完全体じゃないキャラクターの人間らしさがキャラクターの魅力につながっているし、彼らの生きたセリフがそのまま名言になってしまう感じ。
「何度も読みたくなる」秘訣はなにか
アプリで漫画を読んでいると「何回も読みたくなる」漫画と、「おもしろいけど1回読んだら話わかってるしもういっか」って思う漫画と、「そもそも読まない」漫画があるんですよね。そもそも読まないのはちょっと置いておいて、この内容分かってるのに「何度も読みたくなる」ってなぜなんだろうっていうのをちょっと考えてみます。小説だと村上春樹が好きなのですが、村上作品は一度読んだら二度は読まないのに絶対買ってるんですよね。なんか置いておきたい感じ。自分の場合、漫画で「買う」のは何度も読みたくなるものだけなんですよね。
1)絵が好き
私にとっては「買う」上ですごく重要な要素はこれなんですよねー。「絵が見たい」
地獄楽の賀来ゆうじさんって、もとは「ファンタズマ」という漫画を描かれていたそうなんですが、ファンタズマの頃の絵ってもっと現代的というか、分かりやすく一般ウケしそうな感じなんですよね。なんかのインタビューを読んだら、編集さんと話して絵を変えたようで。今の絵はもっと土っぽさがあるんですよね。キャラクターの微妙な表情の作り方とかほんとにうまくて大好きなんですが、これだけ絵質を変えるためには相当努力されたんだろうなぁっていうのも感じられて、ホントに尊敬します。やっぱり面白いものって一朝一夕にできないですよね。ファンタズマで諦めてたら地獄楽には出会えなかったわけで、苦労もされたようなんですが、やめないでくださって感謝って感じです。
2)名言・名シーンがある、ストーリーが圧倒的
諦めたらそこで試合終了ですよ。
誰もが知ってるこのセリフ。スラムダンクの名言なわけですが、これほんとに何十年も前のセリフなのに、世代を超えて通じるってけっこうすごいですよね。これだけ浸透しているってことは、心に響いたって感じる人が多いわけで、そのシーンをもう一度見たくて手元に置いておきたいっていう人も多いはず。
売れてる作品を考えると、ドラゴン桜で有名な三田紀房さんは、ご自身でも言ってましたが「絵はそこそこで決してうまくない」と。こちらはストーリーの魅力で人気を得ているタイプですよね。料理漫画しかり、なんかを「学べる」要素がある作品も、買って手元に置いて「楽しめる教科書」的に繰り返し読みたくなるものかもだと思います。メンタリストDaiGoさんの動画とかも制作作業中に繰り返し聞いてるんですが、「学ぶ」系のものってふわーっと通過しても基本的に身につかないんですよね。だからこそ、手元において、必要な時に読み返す。そういう思いが「買っておく」にもつながるかなと。
手塚治虫大先生も「絵」単体で見たら、そこまですごーく上手ではないと思うんですよね。ほかにうまい絵を描ける人はたぶんいっぱいいる。でもストーリーのオリジナリティと深みが圧倒的。よく考えたら、人生で手塚治虫漫画ほど読み返したものはないかもしれない。ストーリー覚えてるのに、そこにあれば何度でも読んでしまう。明らかな「名言」みたいなのは思い出せないけど、ストーリー全体がずしりとくるんですよね。なんていうか、答えを与えてくれない圧倒的な問いかけ、みたいな感じ。ぶっちゃけ、絵ならほかの人に任せることってできると思うのです。漫画と一枚絵の違いはやはりそこにストーリーがあるかどうか。作品の裏にあるストーリーが伝えてくるものの重みにより、何度でも見返してしまいたくなるというのは、現代アートにも通じるものがあるかなと。
ストーリーについて追記すると、「王道」のストーリー構成ってあるんですね。分かりやすく少女漫画でいうと、少女漫画の構成は全部これ。
主人公に好きなみじんこがいて、そのみじんこを好きな別のみじんこがライバルで、主人公のことを好きなみじんこもいて、っていう例のやつです。基本的な構成は全部これでシチュエーションが職場だったり学生だったりで変わるくらいなんですよね。短い話だと振られることもあるけど、巻数が積み上がるやつは必ずカップルになる。話に展開があるとしても、主人公の友達がこのバリエーションにハマるだけなので、少女漫画というのは基本的にストーリーが膨らむものはほとんどありません(主人公がなんらかの夢をもっていて、それを叶える形式になっているものは別)。冷静に考えて、少女漫画で50巻ごえしてるやつってほぼないはず。それは話を膨らませられるような舞台装置がないからなんですよね。あ、悪口ではないです。少女漫画は基本的に「疑似恋愛したい」という欲望を満たすものなので、舞台装置による展開が求められていないということ。
忘却バッテリーも「記憶喪失」という展開は非常に斬新なんですが、強い仲間が増えていくという展開は「王道」です。7人の侍型、あるいはドラクエ型ですね。勇者が仲間に出会って仲間がどんどん増えていって巨大な敵を倒す、みたいな。王道だし知ってるけど、いつもおもしろいよね、このパターン。というかむしろ、次の仲間を期待してしまうよね。
王道はストーリー構成が苦手な人にとっては非常にありがたい型なんですが、その他の要素をちゃんと組み込んでおかないと、類似が多い分埋もれる可能性も高くなるのかなぁと。
3)キャラクターの魅力
漫画ってよく「キャラクター人気投票」やってるじゃないですか。投票数公開をしていないところはキャラ人気があんまないのかなって予測しちゃうんですが、地獄楽の第1回人気投票の結果ってけっこうすごかった。メアド登録で1人1票なのに、総投票数が1万ごえしてたんですよね。人気キャラが登場人物全体に広がっていて、極端に分かれていないところも、キャラクターの個性分けがしっかりできているような気がしています。
魅力的なキャラクターっておもしろいことに「生きているように扱われる」んですよね。応援コメントなんか見てても、キャラクターを生きた人物として話しかけている人が多い。生きたキャラクターってすごく共感しやすくて、キャラクターと自分が一体化する感覚が、さらに物語に引き込ませるのかなと思っています。
そんなわけで、今日はおもしろい物語についてのお話でした!
みじんこにも話しかけて欲しいよ!ヽ(=´▽`=)ノ